2014年7月10日木曜日
グランド・ブダペスト・ホテル The Grand Budapest Hotel
豪華キャストが駆け抜ける、ウェス・アンダーソンが創り出す世界
切り絵アニメーションと実写が融合したような逃亡劇のくだりはまるでカレル・ゼマンの映画を観ているようで、とある東欧の国がチェコにしか思えない。
限られた宿泊客しかいない、老舗ホテル。
賑わうでも無くみんな閑散とした静けさを楽しみにきている感じ。ある夜、このホテルのオーナーである謎の多い大富豪からホテルのオーナーになるまでの回顧録が語られる。
それは激動の時代を駆け抜けたある一流ホテルの“伝説のコンシェルジュ”の謎を追う冒険譚だった。
豪華キャストが演じる個性的なキャラクターたちは絵本というか、人形劇のようにかっちりとキャラができあがっていて、ウェス・アンダーソンの世界観を際立たせる。特に今回は切り絵を使ったアニメーションなど、チェコのカレル・ゼマンを彷彿とさせる演出で東欧感がより出ていた。
それにしてもティルダ・スウィントンの七変化ぶりはすごい。一見分からないほどのおばあさんぶり(笑)だし、「スノーピアサー」の時は出っ歯のおかしな役だし、だけどキレイな役はしっかりできる。この振り幅はすごい。ニコール・キッドマンには絶対できない。
閑散とした老舗ホテルの感じは、キューブリックの「シャイニング」と同じ設定だけど、この雰囲気は全く違う。美術にもこだわる同じ完璧主義の監督だけど作家性の差がそこにある。
ウェス・アンダーソン好きはとても楽しめる一品。
<作品概要>
「グランド・ブダペスト・ホテル」
(2014年 アメリカ 100分)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラムス、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドグラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、
配給:20世紀フォックス
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