分かっているようで分かっていなかった電気グルーヴという存在を丁寧に紹介してくれたドキュメンタリー。
バラエティ的な側面が目立ちがちだけど"アーティスト 電気グルーヴ"の凄さが分かる一品。
冒頭にでる「電気グルーヴとは?」というテロップの通り、1989年のデビュー当時の映像から2014年の「FUJI ROCK FESTIVAL'14」のグリーンステージのパフォーマンスまでを時系列で編集し、元メンバーやロッキンオン編集長、レーベル担当、ミュージシャン仲間などの証言を随所に交えて丁寧に映像を紡いでいく。
常に下ネタでふざけたことばかりなイメージな電気グルーヴだけど、そんな彼らの格をなんとなく上げてみせる演出として「ナレーションが英語」というのが効いている。
なんだか海外メディアが制作しているようで、"グローバルなアーティスト感"をもって最初から紹介され、バラエティな側面じゃなくて"音楽性"であったり”パフォーマンス”が、かなり早い時期に時代を先取ったハイクオリティなものだったことが海外から紹介されている感じになる。
元メンバーのまりん、ロッキンオン編集長、ソニーミュージックの担当者などの証言からも彼らの音楽性の高さがよく分かる。
だけど実際、当時はオールナイトニッポンで下ネタを連発するお笑い芸人なんだかミュージシャンなんだか分からない人たちだった。
ピエール瀧はバラエティ番組などテレビの世界で活躍して、とてもテクノミュージックを日本に浸透させた功績あるバンドメンバーとは思えなかった。笑
もちろん、「N.O」や「シャングリラ」は大ヒットしてたから知っていたし普通に好きだったけど当時にその音楽性の高さはとても認識していなかった。
90年代にヨーロッパのクラブシーンでテクノに触れ、それを取り入れ日本でいち早く展開し、ドイツなど海外でもその存在感を高めアーティストとしての地位を築いていった電気グルーヴ。
大根監督にとって電気グルーヴは「一番怖い先輩」「できれば一緒に仕事したくなかった」などの存在だとか。笑
時系列で証言交えて撮っているだけのようでいて、「電気グルーヴとは?」がこんなにあぶり出されるとは。これが大根監督の実力なのか、電気グルーヴが本当にすごいだけなのか。
彼らの楽曲を聴き直したいと思える良作。
<作品概要>
「DENKI GROOVE THE MOVIE ? 石野卓球とピエール瀧」
(2015 日本 115)
監督:大根仁
出演:石野卓球、ピエール瀧、スチャダラパー、天久聖一、ケラリーノ・サンドロビッチ、日高正博、道下善之、中山道彦、小山田圭吾、砂原良 徳、山口一郎、山根克己、山崎洋一郎、CMJK、DJ TASAKA、Andy Absolon、WESTBAM
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン