2016年4月27日水曜日

マジカル・ガール  MAGICAL GIRL

因果が応報するファムファタール作品。

またまた変な映画がやってきた!
スペインの新鋭カルロス・ベルムト監督による長編デビュー作。
予想もつかない話の展開に謎めいた登場人物。スペインの経済不況が背景にあったり、日本のアニメがモチーフになっていたり、全体を包む雰囲気も独特でシュールすぎる内容で面白い。

余命わずかな白血病の少女アリシア。そんな娘の願いを叶えようとルイスはアリシアの大好きなアニメ「魔法少女ユキコ」の衣装をプレゼントしようとする。オークションサイトで見かけるその衣装の高額なお金を手に入れるためにルイスは偶然であったバルバラの弱みにつけ込んでいく。


長山洋子の「春は、SA・RA・SA・RA」が大音量でかかるのに、画面は洋画というかなり面白いシチュエーション。その雰囲気のままこの独特な世界にもっていかれる。

キャストも全く知らないので、誰が主役なのかもよく分からない。
それに二つの話、過去の話が断片的に挟み込まれ、話がどう展開していくのかも読めないドキドキな感じ。


経済不況のスペインらしく、アリシアの父親ルイスも失業中。娘の願い事ノートをチラ見してあのコスチュームが欲しいことを知るんだけど、次のページに小さく書いてある「13歳になりたい」にはグッときてしまう。
失業中にもかかわらず、高額なそのドレスを手に入れようとするあまり、宝石店を強盗しようとまでするがそれと止めたのは、バルバラだった。この偶然の出会いをきっかけにルイスはバルバラにつけ入り、大金を手に入れる。
バルバラも大金をつくるために怪しげな知人を訪ねる。


アリシアからルイスへ。ルイスからバルバラへ。バルバラからダミアンへ。
そしてダミアンから・・・
因果は応報する。

前半にはられた伏線が、後半になってたたみかけるように回収されていく。
この展開お見事。
誰かのために役立とうという気持ちは、だがしかし悪事によってそれを成そうという行為も一緒に連鎖されていく。
それは恐るべきファムファタールによって増幅されていく。


ブラックユーモアも満載すぎて、すぐには消化できないほどいろんな展開がつながりだす。見終わった直後より、ひと息ついて考えてからの方が面白さが実感できる。


それにしてもあのトカゲの部屋ではいったい何が・・・(笑)


<作品概要>
「マジカル・ガール」  MAGICAL GIRL
(2014年 スペイン 127分)
監督:カルソル・ベルムト
出演:バルバラ・レニー、ルシア・ポシャン、ホセ・サクリスタン、ルイス・ベルメホ、イスラエル・エルハルデ、エリサベト・ヘラベルト
配給:ビターズ・エンド

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