2013年12月9日月曜日

もらとりあむタマ子


山下敦弘×前田敦子 とある帰省娘の春夏秋冬

山下監督が「苦役列車」に続いて前田敦子を主演に迎えた最新作。自堕落な日々を過ごす若者の人生の曲がり角の1年を切り取ってゆる〜い感じで描く。脚本は山下監督の盟友・向井康介、大学時代の同級生にしてデビュー作「どんてん生活」以来のコンビ。

元々は音楽チャンネル「MUSIC ON!TV」の30秒のステーションIDとして制作されていたものだったとか。それが長編化して釜山国際映画祭にまで出品される作品となった。

東京の大学を卒業したが就職せず実家に戻り、父が営むスポーツ用品店で手伝う訳でもなく、家事をする訳でもなく、寝ころんでマンガを読んでは日々を自堕落に過ごすタマ子、23才。 目的もなく無気力で友達もいない、父親に悪態をつくが、そんな父親に女性の影がちらつきはじめちょっとしたざわつきがタマ子を動かしていく。

テレビのニュースを見ては「ダメだな、日本は。」と偉そうにうそぶく。すかさず父が「ダメなのは、お前だ」と突っ込む。「ちゃんと就職活動してるのか」。それに対して
「その時がきたら動く。少なくとも今ではない!」と目をひんむいてタンカをきる(笑)ダメダメな人のただの逆切れが妙に面白い。このあたりが山下・向井コンビの巧いところだ。中学生とのコミカルなやり取りも笑える。タマ子が読んでいるマンガが「天然コケッコー」で山下監督のメジャーデビュー作のタイトルだったりする。


20代。誰にだってちょっと人生を休んで自分と向き合う時間があるものだ。世間からは肩身の狭い時期かもしれないが、その時間で得られるものだって必ずあるのだ。

それにしてもこの映画、話題の二人なのに全国わずか27館での公開とは少ない。
パンフレットが前田敦子ファンを意識してか、写真のアップで異様でデカい。。。


<作品概要>
もらとりあむタマ子
(2013年 日本 78分)
監督:山下敦弘
出演:前田敦子、康すおん、伊東清矢、鈴木慶一、中村久美、富田靖子
配給:ビターズ・エンド

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