2014年12月19日金曜日

紙の月  Pale Moon


音楽の使い方が絶妙! little moaの楽曲が映える映画

吉田大八監督。やっぱり映画作りが巧い。
普通の主婦が、なぜ巨額の横領事件を起こしたのか?
一見地味な内容だけど、宮沢りえをとてもキレイに撮っていて、ファッションも良くてテンポがいいから最後まで飽きさせない。

一見は何不自由ない暮らしの梨花だが、夫とすれ違う日々の中、年下の大学生の光太と出会い親密になっていく。ある日、顧客から預かったお金を1時的に借りてしまう。最初は1万円だけだった。しだいに梨花は横領を繰り返すようになる。何かが吹っ切れたように。

原作は人気作家の角田光代の同名小説。
犯罪事件だけどお金というより、男と女のロマンスにフォーカスしている。


年下大学生の池松壮亮との関係が急するぎるけどそこはご愛嬌。
あのホームからゆっくりと降りてくるシーン。
実に映画的。
そして、little moaの曲がかぶさる。
あのシーンはサイコーにかっこいい!

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコの「Femme Fatale」が主題歌っていうことで目立ってますが、この映画の音楽は、little moaでしょ。

映画「紙の月」オリジナル・サウンドトラック

それにしても、宮沢りえがキレイ。
最近は舞台などでも評価が高く、アラフォー女優として輝いている。

劇中のファッションも良かった。銀行員としての地味な制服とそこに羽織る同じネイビーの上着が清楚でオシャレで、制服姿の中で他の行員との違いがさりげなく演出される。
私服もシンプルなモノトーン調が基本。

だけど、ホテルでの豪遊を決め込んだ日。
待ち合わせのリゾート風の帽子姿は、ハッとするほどエレガント!
それまでが地味だっただけに、エレガントさが際立つ。

「トニー滝谷」の時もそうだったけど、こういう透明感があって、品がある人物像やファッションに宮沢りえはよく映える。
休日に繰り返すデートの時も、ファッションはカラフル。家庭にいる時との対比が服装にすごく現れている。


やりたいことをやり切った主人公と対極の軸として描かれるのが小林聡美の役どころ。
やりたいことが見つけられずに、冒険などせずに日々を過ごしている。
破滅するほど相手にそそぐのは、相手のためなのか、自分のためなのか。
それでも甘えを増長させて、結局は相手のためにはならない。

なんだかんだ犯罪はいけません。
最後、エンドロールが白かった。それも新鮮。


<作品概要>
紙の月」  Pale Moon
(2014年 日本 126分)
監督:吉田大八
原作:角田光代
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美、平裕奈
配給:松竹

2014年12月17日水曜日

ゴーン・ガール  Gone Girl


結婚てば、おそろしい、、、 フィンチャー節のサスペンス

サスペンスと言えば、どんでん返し。
だけど、「そうきたか」となるあたりが、フィンチャー節が効いているところ。
ただのどんでん返しではありません。
2時間オーバーだけど、緊張感を持続させられるテクニックはスゴい。

愛する妻の失踪。
理想の夫婦に、ある日突然おとずれた事件。
荒らされた形跡。次々に浮かび上がる新しい事実。その先にある真実は何なのか。

すぐに記者会見したり、辛口コメンテーターにボロクソに言われたり、自撮されて画像をバラまかれたり、アメリカのマスコミの過熱ぶりなどシニカルなメッセージもあったりする。

そして、この展開。
期待を裏切らせない、見事な起承転結。
それにしても、女性てば、結婚てばおそろしい、、、


<作品概要>
ゴーン・ガール」  Gone Girl
(2014年 アメリカ 148分)
監督:デヴィット・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ
配給:20世紀フォックス

2014年12月13日土曜日

[CM] cybozuのショートムービー「大丈夫」


サイボウズのショートムービー第1弾は働くママを応援!

働くママたちのインサイトを強烈に捉えた見事なショートムービー。たちまち共感を得て話題に。

子育てと仕事の両立に格闘し、疲弊しながらも懸命に毎日を生き抜く姿を描いたのは、自身も母であるCMディレクターの
川島永子。クリエイティブ監修は、日清カップヌードルの「hungry?」シリーズでも有名な中島信也。
主演は、こちらも1児の母として働く女優・西田尚美。
今どきの働く母を等身大で体現してみせた。


クラウドサービスのcybozu社は、自社サービスを活かして在宅でも仕事ができる環境づくりを訴求する広告として、このショートムービーを制作した。


<作品概要>
「大丈夫」
(2014年 日本 3分)
監督:川島永子
クリエイティブ監修:中島信也
出演:西田尚美
制作:東北新社
製作:cybozu

2014年12月5日金曜日

2014年 映画(洋画)興行収入ランキング TOP10


早くも2014年の「映画興行収入ランキングTOP10」の洋画部門が発表!

1位はもちろん、あの作品。

1位 「アナと雪の女王」(ディズニー) / 3/14公開 / 254.7億円



2位 「マレフィセント」(ディズニー) / 7/5公開 / 65.3億円



3位 「GODZILLA ゴジラ」(東宝) / 7/25公開 / 32億円



4位 「ゼロ・グラビティ」(ワーナーブラザース) / 2013年12/13公開 / 31.8億円



5位 「アメイジング・スパイダーマン2」(ソニーピクチャーズ) / 4/25公開 / 31.2億円



6位 「トランスフォーマー/ロストエイジ」(パラマウント) / 8/8公開 / 31.2億円



7位 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(ワーナーブラザース) / 7/4公開 / 15.7億円



8位 「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(20世紀フォックス) / 9/19公開 / 14.2億円



9位 「ホビット 竜に奪われた王国」(ワーナーブラザース) / 2/28公開 / 14億円



10位 「ノア 約束の舟」(パラマウント) / 6/13 / 13.7億円



「アナと雪の女王」は圧巻の1位。
日本映画の歴代興収をみても堂々の3位。
2位タイタニックが272億円なのでもう一息ということろまで迫る大健闘。
この一作品で今年の興行を引っ張ったといっても過言ではない。

2位の「マレフィセント」は「アナ雪」上映館での大量CM投下で、ディズニーのお姫様モード効果がダイレクトに興行に結びつき、大ヒット。
アンジーなど人気キャストではあるけれど、これは「アナ雪」効果と宣伝の勝利。

「ゼロ・グラビティ」は昨年公開からで大健闘。
シリーズものが多い中、オリジナル作品でここまでの大ヒットは嬉しい。

2014年12月4日木曜日

映画ポスターの巨匠 野口久光


昔は全て手描きだったポスターのグラフィック

映画のポスターに限らず、映画館の看板も昔は職人さんによる手描きが一般的だった。
中央線の青梅駅には、手描きの映画ポスターが駅に展示されていて、レトロな印象を今に残している。

その映画ポスターを1000枚以上手がけたのが、グラフィックデザイナーの野口久光氏。
元々、映画会社の社員として洋画ポスターのデザインをずっと手がけてきた。

数々の名作のポスターを手がけてきたが、代表作は、監督のトリュフォーをも魅了したという「大人は判ってくれない」。(実際、「二十歳の恋」の中で「アントワーヌとコレット」の小道具として使われている)

たしかに文芸座など名画座や、映画本でよくお見かけしてました。

その他、代表作としては、
「天井桟敷の人々」
「第三の男」
「禁じられた遊び」
「嘆きの天使」
「巴里祭」
など



日経新聞の記事で知ったけど、今年は野口氏の没後20年なのだとか。
彼のポスターのコレクターである根元隆一郎さんは、ポスターの展示会を企画するも当初は受け入れられなかったが、なんと今年、2014年3月にパリのシネマテークフランセーズで実施。本場のうるさい批評家たちにも絶賛されたのだとか!

現在は、京都で展覧会を実施中。
この展覧会、ぜひ全国をまわってもらいたい。


<実施概要>
主催:京都市、京都文化博物館、朝日新聞社
監修:根本隆一郎
企画協力:NPO法人 1古き良き文化を継承する会
期間:2014年10月7日〜12月7日まで京都文化博物館
会場:京都文化博物館

2014年12月3日水曜日

第15回東京フィルメックス 受賞結果  TOKYO FILMeX 2014  


アジアの新鋭監督を発掘する映画祭

11月22日から30日までの9日間開催。
コンペティション部門の9本中5本が監督長編第1作、2本が2作目というフレッシュな顔ぶれ。
「アジアの新鋭監督を発掘する」というコンセプト通りのラインナップとなった。

審査委員長はジャ・ジャンクー。
オープニング作品は、塚本晋也監督の「野火」。
特別招待作品は、アモス・ギタイ、モフセン・マフマルバフ、ツァイ・ミンリャン、キム・ギドク、、、そうそうたる顔ぶれ。

東京国際映画祭よりカラーがハッキリしていてかなり潔い映画祭。


<受賞結果>

◉最優秀作品賞
クロコダイル」(フィリピン) Crocodile / Bwaya
監督:フランシス・セイビヤー・パション













◉審査員特別賞
彼女のそばで」(イスラエル) Next to her
監督:アサフ・コルマン











◉スペシャル・メンション
シャドウデイズ」(中国) Shadow Days / 鬼日子
監督:チャオ・ダーヨン














◉観客賞
プレジデント」(グルジア=フランス=UK=ドイツ) The President
監督:モフセン・マフマルバフ












◉学生審査委員賞
「彼女のそばで」(イスラエル) Next to her
監督:アサフ・コルマン












<開催概要>
第15回東京フィルメックス」 TOKYO FILMeX 2014
主催:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
共催:朝日新聞社、J-WAVE、テレビ朝日
期間:2014年11月22日(土)〜11月30日(日) 9日間
会場:有楽町アサヒホール、TOHOシネマズ日劇
助成:芸術文化振興基金、カナダ大使館

2014年12月2日火曜日

フューリー  FURY


戦車が主役!

ブラッド・ピットが主演と製作総指揮を務める本作。ブラピは、脚本を読んですぐに出演を決めたのだとか。
そんな本作の企画を発案したのは、監督・脚本のデヴィッド・エアー。元軍人という異色の経歴で、トレーニング・デイ」、「S.W.A.T」などの脚本やシュワちゃん主演の「サボタージュ」の監督をしている。その作品群をみるとなんとなくそのキャリアが伝わって面白い。

1945年、ドイツ戦線。終戦間際の時期にナチス・ドイツの猛烈な抵抗の中、FURYと銃砲にペイントされた戦車に乗り込む、コリアー軍曹のチームは、欠員に戦闘経験ゼロの新米兵を加入させ、危険な作戦に挑んでいく。

戦闘シーンの臨場感はすごい。
“戦車”にフォーカスしたところが新しい。戦車同士の戦闘シーンは手に汗握る。しかもドイツ軍のティーガーという戦車は装甲が厚く、味方の銃弾を全部跳ね返してしまう。


監督のこだわりで、ヨーロッパ中のコレクターから“ホンモノ”の戦車を借り受けて、英国ボービントン戦車博物館所蔵の世界にたった一台のティーガー戦車も撮影に使用した。
戦車内の細部にこだわるところが戦車マニアにも必見のポイント。

それと、気になったのが銃弾の軌道。
銃弾の軌道が色づけされて鮮明に描かれているんだけど、敵と味方でその“色”が違う!
味方は赤い軌道で、敵は緑色の軌道になっている。
この演出によって激しい銃撃戦の中でも撃っているのか、撃たれているのかの状況は瞬時に分かる。

他にはない初めての演出ではないだろうか。
だけど現実とは違うその“分かりやすさ”は逆にゲームっぽい印象を与えてしまい、リアルな戦争という生々しさの邪魔をしてしまう気もした。


新米兵を演じたのは、ローガン・ラーマン。
どこかで見たことがあると思っていたら「ウォールフラワー」のチャーリーだった。
ウブで汚れを知らないその雰囲気は荒くれ者ぞろいのFURYのチームでいいアクセントになっている。

キャストでは、シャイア・ラブーフも出ているが、クリント・イーストウッドの息子のスコット・イーストウッドもさりげなく脇役で出ていたりする。

それにしても、50代とは思えないブラピの肉体美は素晴らしい。


<作品概要>
フューリー」  FURY
(2014年 アメリカ 135分)
監督:デヴィット・エアー
出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス、スコット・イーストウッド、アナマリア・マリンカ、アリシア・フォン・リットベルク
配給:KADOKAWA