2015年5月31日日曜日
だれも知らない建築のはなし INSIDE ARCHITECTURE
建築のはなしを通して現代社会が見えてくる
安藤忠雄は知っているけれど、他の建築家は全然分からない、というスタンスだったけどそこは大して問題ではなく、建築家と言われる人たちの置かれている現状や、普段は表に出てこない思いが聞けるドキュメンタリー。
磯崎新、安藤忠雄、伊藤豊雄、レム・コールハース、ピーター・アイゼンマンら国内外の著名建築家へのインタビューを中心に1970年代からの建築史を描き出す。
今では巨匠と言われる安藤忠雄や伊藤豊雄らが参加した伝説と言われる「P3会議」の様子が面白い。当時まったく無名な日本の新人建築家に対し、そこに参加しているのは世界中の有名建築家たちで、ワールドカップみたいなもの。
当時の日本のプレゼンスは低く、プレゼンテーションも下手な日本人がかなり下に見られていたエピソードは、現代でもそこは変わってないなと妙に納得。
日本人のいいところでもあり、世界に通じないところでもあり。
P3会議参加当時の安藤忠雄は、個人住宅の仕事を中心にしていたそうだけど、世界的に(一般的に)はエリートはやらない仕事なのだったとか。
市庁舎や図書館などの公共施設をやるのが大きな仕事で、そういったところも下に見られる要因だったらしい。
そういう仕事しかできなかった事情はあったかもしれないが、それを語る安藤忠雄の反骨心が画面を等して伝わってきて面白い。
経済性重視の商業施設では建築よりコンピューターが活躍する世界になってるとか。建築家はこの先どうなっていくのか、アーキテクチャになるのか、テクノクラートになるのか、アーティストになるのか。現場で働く職人が減り続ける今の構造を解決しないとけない、などなど 巨匠たちは大きな枠でこれからを真剣に考えている。
それにしても磯崎新がすごい。
みんなの先輩格だけど、ちょっと風格も考えるスケールもひとまわり大きい。
関係ないけど、映画"だれも知らない"タイトルシリーズ。
「誰も知らない」2004/是枝和宏
「誰も知らない基地のこと」2012/エンリコ・パレンティ
「ペルシャ猫を誰も知らない」2010/バフマン・ゴバディ
<作品概要>
「だれも知らない建築のはなし」 INSIDE ARCHITECTURE
(2015 日本 73分)
監督:石山友美
出演:安藤忠雄、伊藤豊雄、磯崎新、トム・コールハース、ピーター・アイゼンマン、チャールズ・ジェンクス、中村敏男、二川由夫
配給:gnome、東風
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