記憶を巡るダニー・ボイル流のサスペンス。
予告編からして面白そうだったダニー・ボイルの新作「トランス」。その割には公開規模が少なくちょとさみしい感じでは合ったが、その分期待は裏切らない。もっと大体的に宣伝されて、「最後のドンデン返しに必ず騙される!」とか言われるとかえって構えて観てしまうし、期待値が上がり過ぎてハードルが上がってしまうので、ちょうど良かったかもしれない。
ロンドン、サザビーズの競売人であるサイモン(ジェームズ・マカボイ)は、超高額品であるゴヤの「魔女たちの飛翔」がオークションにかけられた日にオークション会場で強盗に襲撃される。見事に絵画を強奪した強盗団だがケースを開けると中は空だった。実は強盗団に通じていた競売人のサイモンだったが、襲撃の際に頭を強打し、一部の記憶を失ってしまう。激怒した強盗団のボス・フランク(ヴァンサン・カッセル)はサイモンを問いつめるが、サイモン自身も何故なのか記憶がなく分からない。行方不明になった絵画を取り戻すため、催眠療法(トランス)によって記憶を戻そうと試みるのだが、予想外の事実が明らかになっていく。
作品自体は、冒頭に強奪され行方が分からなくなった絵画、ゴヤの「魔女たちの飛翔」にとても意味が込められている。だけど残念ながら劇中でこの絵をじっくりと見る機会はない。
ゴヤ 魔女たちの飛翔 |
結構脚本が練られていて、最後までしっかり楽しめる。サイモンはなぜそんな行動に出たのか。当のサイモンが記憶を失っているので、観客と一緒の状態でみんなで記憶を取り戻そうとしていく構図がいい。その鍵となる催眠療法が思いのほか効力を発揮し、徐々に謎が解けていく。そして最後には全てが明かされる。
それにしても思う。サイモン、催眠にかかり過ぎ(笑)
<作品概要>
「トランス」 TRANCE
(2013年 アメリカ=イギリス 101分)
監督:ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・マカボイ、ロザリオ・ドーソン、ヴァンサン・カッセル、ダニー・スパーニ、マット・クロス
配給:20世紀フォックス
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