出だしからいい! 音楽がとにかく最高
第66回カンヌ国際映画祭においてグランプリを受賞した本作。音楽通で知られる監督・コーエン兄弟による最新作は、これまた音楽にこだわった良品に仕上がった。上手く人生を生きることができない大人たちを優しくユーモラスに見つめる。ダメダメだけど応援したくなるような主人公ルーウィンがいい。コーエン節が効いてます。
1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。フォークシンガーのルーウィン・デヴィスは、知り合いの家を泊まり歩く宿無し&文無し。いいことなんか全然ない。女友達には妊娠を告げられ、借金もある。成りゆきで預かることになった猫を片手にNYをさまよい歩く。
フォーク全盛前夜のNYを不器用にも生き抜くルーウィン・デヴィスの物語。
ルーウィン・デイヴィスのモデルになったのは、あのボブ・ディランが尊敬したというフォークソングのミュージシャン、デイヴ・ヴァン・ロンク。
音楽通のコーエン兄弟だけに、音楽は生演奏にこだわった。それだけにルーウィン役のキャスティングは難航したとか。 そりゃそうだろう。
とにかく音楽が良かった。あの録音もさすが。T=ボーン・バーネットのすごさか。
それにしてもオスカー・アイザックは生録音に耐えうる最高のパフォーマンス。
この人しかいないだろうという最高のキャスティングだった。
デイヴ・ヴァン・ロックのアルバム |
その他キャスト陣では、キャリー・マリガンも良かった。雰囲気が違っていて最初は気づかなかったけど、やはりすごくいい女優さん。
ルーウィンをぼろくそにけなしながら公園でしゃべるくだりはもうサイコー。
ジャスティン・ディンバーレイクも最近は映画で大活躍。「ソーシャルネットワーク」だけでなくいろいろと出演。今作では歌声も披露し、やはり歌手なんだな、と思わせる。
そして助演大賞はなんと言っても茶トラの猫。その名もユリシーズ。動物が重要な脇役の映画ってあるけど(カウリスマキ作品の犬みたいに)、本作も間違いなくそのひとつ。だっこされながら電車に乗るなんて(笑)
<作品概要>
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」 Inside Llewyn Davis
(2013年 アメリカ 104分)
監督:ジョエル&イーサン・コーエン
音楽:T=ボーン・バーネット
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジャスティン・ティンバーレイク,
ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、F・マーレイ・エイブラハム、スターク・サンズ、アダム・ドライバー
配給:ロングライド
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