2014年6月6日金曜日
闇のあとの光
作家性が際立つ、メキシコからの刺客
またすごいのが出てきた。
カンヌで監督賞受賞。審査員たちに衝撃を与えたという本作。
魚眼レンズのような独特の映像スタイルとかなり出来上がった世界観。そうとうに特徴的だけど、意味はさっぱり分からない。アピチャッポン・ウィーラセタクンの「ブンミおじさんの森」がカンヌで出てきた時のようなサプライズ感。
メキシコの美しい自然と動物たちに囲まれた、とある村。子ども二人と何不自由なく暮らす幸せな家族。ある日“それ”が突然現れる。家族が寝静まる中に道具箱を持って家の中へと入ってくる。そしてその日から徐々に家族にズレが生じはじめる。
“それ”は一体何なのか。神なのか悪魔なのか、と言われるけどその後に降り掛かる災いとそのビジュアルからして、悪魔でしょ!とツッコミたくなる。そしてあの道具箱は何なのか(笑)いったい何か入っているのか、気になって仕様が無い。
この独特の世界観。そして映像美。これから何かやってくれそうな気配が漂う独特の作家性。カンヌでその期待からの受賞したのもうなずける。
モザイクが一切なしなのは驚いたけど、無い方が全然自然で違和感はない。
女優さんがとてもキレイ、ピアノを弾きながらニール・ヤングを歌うけど、なぜかすこぶる下手。本来はキメるべきシーンでハズす。そのあたりがとてもクセがある。
そして何より、ラストシーンが相当に衝撃的。驚きを通り越して笑ってしまうほど。
これは是非体験として観ておきたいシーン。
劇場では、冒頭に監督のメッセージがあったけど、映画の舞台に監督自身が住んでいるそう。そして映画の理解は観客に委ねるスタンスだというメッセージがあった。
日本の溝口や小津が好きだけど、完全に理解できているとは思わないし、したいとも思わない、だから解説なんて聞きたくない、と。
観たひとが自由に解釈してほしいということだった。
だけどこの監督が一番自由だ。
<作品概要>
「闇のあとの光」
(2012年 メキシコ=フランス=ドイツ=オランダ 115分)
監督:カルロス・レイガダス
出演:アドルフォ・ヒメネス・カストロ、ナタリア・アセベド、ルートゥ・レイガダス、エレアサル・レイガダス、ウィレバルド・トーレス
配給:フルモテルモ、コピアポア・フィルム
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