2015年11月30日月曜日

野火  FIRES ON THE PLAIN

壮絶すぎる、地獄絵図。

戦争の悲惨さ、悲劇、地獄をこれでもかというくらい力強く、強烈に、ストレートにぶつられる。しばらく打ちのめされるくらいに重い。

市川崑監督が映画化した同名タイトルの作品とは違い、スプラッター映画とも呼べる壮絶な戦闘描写で痛々しい、そして悲惨すぎる戦争の実態をこれでもかというくらいに描く。

第二次大戦末期のフィリピン・レイテ島。田村二等兵は結核を煩うが野戦病院にも部隊にも戻れなくなり、ジャングルをさまよいはじめる。そこで田村が見たものとは。

極限の状態で描かれる人間模様。
人肉と戦争描写にフォーカス。そこが現代流の描きかた。
このトラウマ級のインパクトは決して商業的な狙いではなく、戦争への恐怖を伝える手段。


安保法案が可決された直後の公開というのは何という因果なのか。
塚本晋也監督は自主制作でこの映画を公開。商業的でない作品の大変なところ。
それでも塚本監督のスタンスは偉い。

キャストもいい。
新鋭・森優作の錯乱、リリー・フランキーの恐怖、中村達也の狂気。
夏の劇場を満席にする、戦争の悲惨さをたたきつける良作。


<作品概要>
「野火」 FIRES ON THE PLAIN
(2015 日本 )
監督:塚本晋也
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作、中村優子、山本浩司
原作:大岡昇平
配給:怪獣シアター

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