2014年10月2日木曜日
プロミスト・ランド Promised Land
“シェール革命”の裏側が見える
シェール革命と言われるようにシェールガスはアメリカにとってエネルギー産業を中心とする経済だけでなく、政治や軍事にまで影響した大きな出来事。
シェールガスの発見で、アメリカは世界最大のエネルギー資源輸入国から世界有数のエネルギー資源輸出国へと変わった。
そのくらい大きな出来事で、日本でもマスコミで大きく報道されて、今でも記事になったりする。
だけど下降線をたどるアメリカ農村部の住民たちの間で救世主なのか環境破壊なのかという問題が起きていることは知らなかった。
大手エネルギー会社の敏腕セールスマンのスティーブは、新しい営業エリアの地権者たちを順当に口説き落としていた。ところが、ある日、町内集会で異議を唱えた元大学教授による環境破壊への指摘によって、決議は延期されてしまう。更にその噂を聞きつけた環境保護団体のメンバーが妨害活動を始め、住民たちの意見は割れスティーブは苦境に立たされる。スティーブは危機を脱するために奮闘するが。
ストーリーとしても結構良くできていて、意外な展開に思わずダマされちゃうほど。
監督は、ガス・ヴァン・サントだけど(マット・デイモンとは3度目のタッグ)、脚本は主演の2人、マット・デイモンとジョン・クラシンスキーが書き上げている。俳優なのに脚本家としてもなかなかやるな、この2人。
マット・デイモンにしては元々この作品で監督もする予定だったらしい。それがあまりの多忙さにスケジュールが合わず、信頼のおけるガス・ヴァン・サントにバトンタッチのお願いをしたのだとか。
石油の輸入大国だったアメリカは産油国である中東から安定した石油確保をするために積極的に軍事介入をしてきたけど、シェール革命によって中東への興味は薄れてしまった。
劇中でも、中東への戦争で親を亡くした子どもがいて、「そいつの親は何のために死んだのか」というようなセリフが出てきて、その矛盾にふれている。
社会派なテーマはマット・デイモンらしい。
シェール革命に沸くアメリカの内側を舞台に、人間らしさや、人としてどう生きるかを考えさせられる作品。
<作品概要>
「プロミスト・ランド」 Promised Land
(2012年 アメリカ 106分)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、ローズマリー・デウィット、ハル・ホルブルック
配給:キノ・フィルムズ
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