2013年10月2日水曜日
オン・ザ・ロード ON THE ROAD
これぞ、ビートジェネレーション!
この時代の空気感、カルチャーがそこにはあった。監督はウォルター・サレス。ブラジル人ながらアメリカのカルチャーを題材にみごとに作り上げ、そして伝わった。この時代の空気感はこうだったのだと思う。「モーター・サイクル・ダイアリーズ」に続きみごとな青春ロードムービーを届けてくれた。
原作は、ジャック・ケルアックの自伝的小説「路上」。ビート文学を代表する作品。
1949年、作家志望のサルは、自分の本能に素直に生きるディーンと出会い、彼の生き様に魅力を感じ旅をともにする。彼の破天荒な行動は周りを巻き込み、恋人や家族、友人を犠牲に走り続ける。やがてサルをも捨てていってしまう。数年後、新しい生活を送るサルのもとにやつれ果てたディーンが現れた夜。いままで旅で書き溜めたメモを引っ張り出し、紙をひと続きにテープでとめ、一気にタイプライターをたたく。
ディーンはこの時代の象徴なのだろう。いなくなった父親を探し続けるように、自分の心にぽっかり空いた穴を埋めるべく走り続けなければ生きていけない人種なのだ。自分の欲求に素直で常に刺激と自由を求め旅立ってしまう。破滅すると分かっていても止められない。
ディーンのモデルになった、ニック・キャサディは実際にこのような破天荒な人物だったらしい。結局キャサディ自身は一冊も本を書いていないのに、他のビート作家によって本の登場人物のモデルにされ、カウンターカルチャーの中で伝説的な人物となり、40代の時メキシコで死体が発見された後もずっとヒッピーたちに愛され続けた。
そのくらい強烈な人物だったのだろう。
キャストも良かった。ディーン演じるギャレッド・ヘドランドはこの破天荒キャラをよく体現できていたと思うし、サルを演じたのはアントン・コービンの「コントロール」に主演したサム・ライリー。寡黙な感じがよく出ていた。クリスティン・スチュアートもヌード姿を披露し若手のハリウッドスターながら体を張っていた。
しかしこの時代、日本は戦後まっただ中で若者にこんな余裕はなかったはず。アメリカはこうだったのかとその歴然とした差に愕然とする。
たびたび劇中に登場するプルーストの「スワン家の方へ」、ランボーの詩集、ジャズ、クラシックな車、美しいメキシコの風景、青春の熱気、などなど
旅がしたくなる映画だ!
<作品概要>
「オン・ザ・ロード」 ON THE ROAD
(2013年 フランス=イギリス=アメリカ=ブラジル 139分)
監督:ウォルター・サレス
製作:フランシス・フォード・コッポラ
出演:サム・ライリー、ギャレッド・ヘドランド、クリステン・スチュワート、エイミー・アダムス、トム・スターリッジ、アリシー・ブラガ、キルスティン・ダンスト、ヴィゴ・モーテンセン
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿