2014年8月27日水曜日
GODZILLA ゴジラ
今度のハリウッド版リメイクは大丈夫か。
前回のリメイクでは、ゴジラは怪獣ではなくイグアナのような恐竜になっていたというとても残念な状況だっただけに今作では、渡辺謙が劇中で発する「ゴジラ」の発音が日本風だったことだけでテレビで特集される程の注目を集めていた。
雑誌「Pen」でも特集が組んだりと、やっぱりゴジラは盛り上がる。
採掘場で偶然発見された謎の生命体の卵。研究機関「モナーク」では極秘にその生命体を施設で管理下においていた。ところがある日、その繭がふ化しようとする、あわてて抹殺指令を出すも時既に遅く、謎の生命体「ムートー」は施設を飛び出してしまう。それを追うフォードや芹沢博士。そして博士はムートーを排除するためにゴジラが復活すると推測する。
監督は、1975年生まれの英国人ギャレス・エドワース。幼い頃からゴジラなどSFが好きで、長編映画の実績はほぼないけれど本作で大抜擢。こういう思い入れある人が撮った方が変な誤解は少なくなる。それに監督は旅先で偶然見つけたゴジラDVDセットをなけなしのお金をはたいて買い求めていた過去を持つ“ゴジラファン”なんだとか。
渡辺謙など日本人キャストやスタッフも参加したおかげで、無事「恐竜」ではなく、「怪獣」として描かれていた。
キャストで意外だったのは、主役のアーロン=テイラー・ジョンソン。新人の俳優さんかと思いきや「キックアス」のデイヴだとは! マッチョな軍人さんになっていて全然気づかない。あんなにオタク高校生だったのに(笑) 確かにパート2ではマッチョになっていたけれど今やパート1の面影はない。
エリザベス・オルセンは、「オールド・ボーイ」に続いていい役をゲット。セレブで有名なオルセン姉妹の妹だけにアメリカでの知名度はすごいだろうけど、日本向けの作品でいい役を得てるので日本でもこれから注目の女優。
ゴジラシリーズを観てきていないだけに今までとの比較はできないければ、ゴジラの動きは何だか動物っぽい。CGの技術が高過ぎるのだと思うけどリアルな生き物な感じがしてしまう。怪獣と動物は違うんだけど、どう違うのか上手く説明できないけど何だかまだちょっと違う気がしてしてしまう。
<作品概要>
「GODZILLA ゴジラ」
(2014年 アメリカ 124分)
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン
配給:東宝
2014年8月24日日曜日
ぼくを探しに ATTILA MARCEL
シルヴァン・ショメが描く実写世界は、まるで「アメリ」のようにポップ。
シルヴァン・ショメ待望の新作は、なんと実写映画。「パリ・ジュテーム」で既に実写を撮っていたのを知らなかっただけにビックリ。アニメ作家の枠に収まらない多才ぶりを発揮させている。
「ベルヴィル・ランデブー」のサントラで使われた曲「アッティラ・マルセル」から着想を得て、さらにフランスの文豪マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」のエッセンスを織り交ぜたという本作。わりと分かりやすく作品の中でも演出されている。
幼い頃に両親を亡くしたショックでしゃべれないまま大人になったピアニストのポール。いつもお揃いの洋服でそっくりな叔母姉妹とともに静かに暮らしていたが、ある日同じアパートに住むマダム・プルーストの部屋を訪れたことをキッカケに失われた記憶を得ていくことに。
「ベルヴィル・ランデブー」で出てきた老婆の3姉妹を思わせる叔母姉妹。物語の中でもかなりのキーパーソン。いつも同じような(まるっきり同じではない)洋服を身にまとい、キャラができている。
写真右がなんと、ベルナデット・ラフォン! 観ている時は全く気づかなかった。本作が彼女の遺作になったそう。
それにしても主人公の周りはみんな女性たち。母親、叔母姉妹、マダム・プルースト、そして中国人(笑)。彼女たちがポールの人生に多大な影響を与えている。
映画を彩る美術や衣装などはすごくポップで「アメリ」っぽいと思ったけど、プロデューサーが、「アメリ」と同じく、クローディー・オサールなんだとか。
アニメでなくてもショメの個性は十分に発揮されていた。アニメ作家が実写を撮る例はたまにあるけど、最近では同じくフランスのパトリス・ルコントが、逆にアニメで新作を作るというかなり珍しいことをやってのけた。※「スーサイド・ショップ」
ポップでハッピーな本作。「ベルヴィル・ランデブー」のようなダークで毒のある感じはあまりなかったが、ルコントはアニメで毒を効かせていた。
<作品概要>
「ぼくを探しに」 ATTILA MARCEL
(2013年 フランス 106分)
監督:シルヴァン・ショメ
製作:クローディー・オサール
出演:ギョーム・グイ、アンヌ・ヌ・イ、ベルナデット・ラフォン、エレーヌ・バンサン、ルイス・レゴ、ファニー・トゥーロン、キー・カイング
配給:トランスフォーマー
2014年8月22日金曜日
ニシノユキヒコの恋と冒険
モテっぷりがいい。猫のように女性の懐に入っていくニシノユキヒコ。
竹野内豊はイケメンだが、ニシノユキヒコのモテっぷりを体現するのにはタダのイケメンではダメであったろう。が、結構ハマっていた。
そしてニシノユキヒコの周りに集まる女性たちを豪華女優陣が飾る!
麻生久美子に本田翼、成海璃子、尾野真千子などなど、そうそうたるキャスティング。
ニシノユキヒコは、女性の求めることが本能的に分かってしまう生粋のプレイボーイ。彼の周りにはいつも彼に惹かれる女性が列をなす。
なのになぜかいつも女性の方から彼を振ってしまう。そんな不思議な魅力をもつニシノユキヒコの恋愛遍歴を優しいタッチで描く。
それにしても、そうそうたる女優陣。こんな美女たちにモテまくるのだから羨ましい。
本田翼の小悪魔というか悪魔というかの役どころがすごくハマっていていい!
新鋭の中村ゆりかもかわいかった。
監督は、「人のセックスを笑うな」、「犬猫」の井口奈巳監督。
井口監督らしく、「次郎長シリーズ」など古典へのオマージュや、師匠である映画評論家山田宏一氏の映画本が登場したりする。
それにしても参考にした映画がサッシャ・ギトリの「トランプ譚」だというのが驚き(笑) 本当に古典が好きなんだなー
<作品概要>
「ニシノユキヒコの恋と冒険」
(2014年 日本 122分)
監督:井口奈巳
原作:川上弘美
出演:竹野内豊、尾野真千子、成海璃子、木村文乃、本田翼、麻生久美子、阿川佐和子、中村ゆりか、藤田陽子、並木史郎、田中要次
配給:東宝映像事業部
2014年8月21日木曜日
渇き。
ぶっとびまくった過激バイオレンス!
三池崇史か園子温かと思うくらいのぶっ飛び感。
今回中島哲也監督が主演に大抜擢したのは、NTTドコモdビデオのCMで注目を浴びた小松菜奈。彼女をミューズに破天荒なお父さん役所広司との共演で、けっこう描写のキツイ、マンガ的映像表現でパンチあるミステリー仕立ての映画に仕上がった。
酒に暴力。破天荒過ぎて仕事も家庭も失った元刑事の藤島は、失踪した女子高生の娘・加奈子を捜しはじめるが、調べる程に優等生だった印象とは程遠い娘の実態が明らかになっていく。そして、それに比例し藤島の暴走もエスカレートしていくことに。
殴られる時にマンガ的な☆のイラストと骨が折れたような音で衝撃を表現するあたり、演出にもかなりマンガ的で今っぽい新しいやり方だなー、と中島監督らしさを感じる。
壮絶な親子というとこでは、「私の男」の方がすごいかな。
復讐劇ということでいうと「オールド・ボーイ」の方がやっぱりすごい。中島監督が「オールド・ボーイ」日本版を撮ってみても面白いかも。
今作でいうと(原作を読んでいないだけに)、なぜそいつは殺されたのかとか分からないことが多い。登場人物がみんな狂い過ぎていて、映画全体が暴力と裏切りと恨みとでカオスな感じ。ツッコミどころは満載。
好き嫌いはハッキリと別れるタイプの作品。
キャストはかなり豪華。
<作品概要>
「渇き。」
(2014年 日本 118分)
監督:中島哲也
原作:深町秋生
出演:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ、橋本愛、國村隼、黒澤あすか、青木崇高、オダギリジョー、中谷美紀、森川葵、高杉真宙
配給:ギャガ
2014年8月13日水曜日
[CM] 「STROBE」 by LEXUS
レクサスの新CMは、グローバルの広告キャンペーン「AMAZING IN MOTION」の第三弾になる「STROBE」。全身が光る人間「ライトマン」がクアラルンプールの夜の街を駆け巡る姿はとても幻想的。CGではないアナログな演出手法がより凄さを際立たせている。
車のCMなのに車が走る姿は一切出てこない。ライトマンが最後に降り立つ時に始めてレクサスが登場する。それでいて、レクサスが追求する「驚きと感動」を表現している。
監督は、世界各国で広告賞を取るアダム・バーグ。
ライトマンも人形ではなくみんな生身のスタントマン!
メイキング映像を見るとよく分かる。
そして、このアメイジングなシリーズはこちら。
第1弾「SWARM」
第2弾「STEPS」
更に、
アダム・バーグの秀逸すぎる代表作がこちら。
「Carousel」
ピエロの強盗団と警官の銃撃戦の静止した場面を自由にさまよう不思議な体験。
「WALLS」
オーストラリアのペイントメーカーのCM
街中がカラフルになっていく幸福感あふれる内容。
<作品情報>
「STROBE」 by LEXUS
(2014年 インターナショナル 90秒)
監督:アダム・バーグ
出演:
製作:TOYOTA
2014年8月9日土曜日
100,000年後の安全 into eternity
消えない火を手に入れた人類への警告
あの小泉純一郎元首相の主張を脱原発に180度変えたのが、本作で取り上げられたフィンランドの放射線物質処理施設だとか。
この事実を知るとちょっと怖い。
ナレーションは、何だか昔話のような語り口。
「あるとき人類は、火を手に入れて発展した。やがてとても強力で消えない火をも手に入れた。そしてやがてコントロールできなくなり、山奥の誰も入れない場所に埋めたのだった。」
快適な生活や便利さの代償としての放射線物質。これらが無害になるには10万年の月日を要すると言われる。10万年もの間、それを“そっと保管しておく”ことができる場所は、地球上にはないらしい。。。
それは地震や津波、ハリケーンなどの自然災害から火事や戦争などの人的災害によって、保管を脅かされる。この地球上で一番“そっと保管”できそうな場所が、太古から地層が変わっておらず、地震がおきず堅い岩盤の地層で守られたフィンランドの山奥オルキルオトの地下数百メートルに掘られた施設だ。
だけど、10万年後の人類が今の我々の言葉や記号を理解するかどうか分からない、そんな心配をしている専門家たち。放射線物質から燃料が今後取れるようになれば逆にそれは宝の山になるという専門家もいたが、10万年後までも心配しなくてはいけないゴミを出し続けるエネルギーというは、どうなのか。そこにスポットを当て話題を呼んだドキュメンタリー。
<作品概要>
「100,000年後の安全」 INTO ETERNITY
(2009年 デンマーク=フィンランド=スウェーデン=イタリア 75分)
監督:マイケル・マドセン
出演:マイケル・マドセン
配給:アップリンク
2014年8月8日金曜日
オールド・ボーイ OLD BOY
何とも壮大な復讐劇!
そこまでやるか。というところまで振り切っているところがすごい。
主演はジョシュ・ブローリン。酒に溺れるダメ男がよく似合う。そしてみごとなオッサン体型。
ウディ・アレンの「恋のロンドン狂騒曲」でも見せつけたダメなオッサンぶりが全開。だけどこちらの作品では大分ワイルド。
商談が破談になった夜。泥酔したジョーは、東洋系の美女に誘惑され、翌朝見知らぬ安ホテルの部屋で目覚める。やがて監禁されていることを知り、そこから何と20年間も監禁生活を強いられることになるジョー。誰が何のためにこんなことをするのか。謎だらけの中、ある日部屋の外へ解放されることになるが。
原作は、土屋ガロンと嶺岸信明によるマンガ。2003年には韓国のパク・チャヌク監督により映画化もされており、第57回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞している。
ジョシュ・ブローリンだとはポスタービジュアルでは気づかなかった。映画が始まってもあのぶよぶよのオッサンぶりをみていると全く気がつかない。ポスターに使われているシーンになってはじめて「あっ」と思ったくらい(笑)
キャストでは、サミュエル・L・ジャクソンの悪役ぶりがサイコー。ホントにクセのある役をやらせたら天下一品。
そして、そのサミュエルの部下たちと繰り広げるワンカットのアクションシーン!アメリカ人なのに角材使うか?とか囲んでいるチンピラたちが若干もてあそび気味などツッコミどころはあるもののワンカットでやりきったこのシーンは必見。
日本原作を韓国で映画化し、さらにアメリカで映画化。それだけ魅力ある題材。
壮大すぎる復讐劇で、これはホントにビックリな内容だった。
韓国版は観てないが、暴力描写やグロさにかけては韓国映画はすさまじいから、あちらの方が題材には合っているのかもしれない。
そして、天才チェ・ミンシクが主演とくればかなり興味はそそられる。
<作品概要>
「オールド・ボーイ」 OLD BOY
(2013年 アメリカ 103分)
監督:スパイク・リー
原作:土屋ガロン、嶺岸信明
出演:ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン、シャルト・コプリー、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・インペリオリ、ポム・クレメンティフ
配給:ブロードメディア・スタジオ
2014年8月7日木曜日
罪の手ざわり A Touch of Sin
現代中国を内側からえぐる!ジャ・ジャンクーらしい待望の新作
2013年の第66回カンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞。劇映画では「長江哀歌」から7年とちょっと時間があいての新作発表。思いっきり銃をぶっ放したりと、最近のイメージよりはちょっとあか抜けた感があるかも。
「山西省の男」
「重慶の男」
「河北省の女」
「広東省の男」
それぞれ実際に起きた事件をベースに、4つのエピソードにのせて、犯罪者となってしまった普通の人々の姿を罪を犯した彼らの目線で描く。
中国ではただの犯罪者。
ただその背景には現在の中国がかかえる社会的問題が潜んでいる。その当事者の目線で描くことによって、現代中国の社会問題が浮き彫りになってくる。
この手の映画を作らせるとジャ・ジャンクーは本当に名人芸。
その社内情勢が犯罪者になってしまった彼らをつくり出したとも言える。あいかわらずなジャ・ジャンクーの挑戦的なメッセージは、いまの中国を知る文献とも言える作品。
最近はウイグルにも問題を抱え、近隣諸国とも摩擦が多いかの国。
映画を通してもっとお互いを知るのもいいのでは。
<作品概要>
「罪の手ざわり」 A Touch of Sin
(2013年 中国=日本 129分)
監督:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、チアン・ユー、ワン・パオチャン、ルオ・ランシャン、チャン・ジャーイー
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
2014年8月6日水曜日
[PV] Perfume 「 Cling Cling」
Perfumeの「Cling Cling」のPVがいい。
チョコラBBのCMでも使われているこの曲だけど、PVはあの種田陽平が美術監督をつとめ、かなりお金をかけている。監督は、「スパイス」以来にPefumeを手がけた島田大介。サカナクション、木村カエラ、RADWIMPSなどのPVで有名。
エキゾチックなアジアンテイストがいい。
<作品概要>
「Cling Cling」
(2014年 日本 2分)
監督:島田大介
美術:種田陽平
出演:Pefume
2014年8月4日月曜日
こっぱみじん
誰かが好きな誰かは、誰かのことが好き。
恋愛ってそうそう簡単なものじゃない。世の中そんなに都合よくできてない。
その中をもがき苦しむ若者たちを優しいまなざしで描いたのが本作。
監督は、「OL愛汁 ラブジュース」で高い評価を得た田尻裕司。田尻監督ほか、いまおかしんじ、榎本敏郎、坂本礼の4人による映像制作会社「冒険王」による作品の第一弾。
特に目標もなく日々を惰性で過ごす楓。ある日幼なじみの拓也が地元に帰ってくる。何かと励ましてくれる拓也に惹かれはじめる楓、兄の彼女とともに4人で楽しく過ごす日々が訪れるが、ある出来事をきっかけにそのバランスが崩れ出していく。
主演の我妻三輪子は、「はなればなれに」、「恋に至る病」など最近のインディーズ映画でも主演をはるこれから注目の女優。愛くるしい笑い顔が印象的。
好きな人は別な人のことを好き、という構図は最近では今泉力哉監督の「サッドティー」にも通ずるものがある。今泉監督の方がもっとポップでキャラがたっていてマンガっぽい。音楽の使い方やテンポも全然違うけど、こちらもインディーズながら意外と泣けるけっこう良い作品だ。
<作品概要>
「こっぱみじん」
(2013年 日本 88分)
監督:田尻裕司
出演:我妻三輪子、中村無可有、小林竜樹、今村美乃、
配給:トラヴィス
2014年8月3日日曜日
ホドロフスキーのDUNE JODOROWSKY'S DUNE
世界で一番有名な"作られなかった映画”の話
「スター・ウォーズ」、「ブレード・ランナー」など映画史に残る数々のSF映画に多大な影響を与えた幻の映画があった。
「エル・トポ」、「ホーリー・マウンテン」など奇想天外な作風でカルト的人気をほこるアレハンドロ・ホドロフスキー監督の幻のSF大作「DUNE」。驚くべきほどに豪華なキャストやスタッフで、制作されなかったのにこれだけの影響力を残し、実現していたらどれほどのことになっていたのかと思ってしまう壮大なプロジェクト。
幻のSF大作「DUNE」について、監督本人や当時の関係者へのインタビュー で、製作が頓挫した過程や、作品の全貌に迫る。
当時決まっていたキャストは、
芸術家のサルバドール・ダリ、そしてダリの愛人で数々のロックスターと浮名を流した、モデルのアマンダ・リア。ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、アンディ・ウォーホル作品の役者ウド・キア、アメリカ映画界の巨匠オーソン・ウェルズなど
今考えても信じられないキャスティング!
そして、スタッフ陣も、
バンド・デシネの天才メビウスがキャラクターデザイン、「エイリアン」の美術を手がけたH.R.ギーガーやダン・オノバン。音楽は、ピンク・フロイドが担当。
こちらも豪華。
ホドロフスキーのいきいきとした証言がいい。
「ドラッグなんかやらなくてもブッ飛ぶような映像作品を作るんだ」と言う。
特にデヴィット・リンチが「DUNE/砂の惑星」を撮ることが決まったと知ったときから作品を観た後の感想までのくだり、子どものようにはしゃぐホドロフスキーのあのリアクションが映画の中で一番面白かった。
<作品概要>
「ホドロフスキーのDUNE」 JODOROWSKY'S DUNE
(2013年 アメリカ 90分)
監督:フランク・パビッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セイドゥー
配給:パルコ、アップリンク
2014年8月2日土曜日
私の男
エロくて 濃厚で 硬派で 素晴らしい
かなり淫靡で重厚で見応え十分な快作。
モスクワ国債映画祭で受賞するのも納得の演技と作品の重厚感。(作品賞と主演男優賞のW受賞)
やっぱり、浅野忠信は初期の頃のように狂気を秘めた男の役が一番似合う。
原作は、桜庭一樹の直木賞受賞作。舞台となった北海道出身でもあり、「鬼畜大宴会」、「海炭市叙景」の熊切和嘉監督が映画化。
奥尻島地震に被災し孤児となった花を遠縁の淳悟
が引き取り、親子として暮らしていくふたり。最北の荒涼とした土地を舞台に、孤独を埋め合わせるような秘めたる禁断の愛を描く。
何かが軋むようなすごく不気味な音が鳴り響くところから映画は始まる。それは流氷の音なんだとすぐに分かるのだけれど、音だけ聞かされていると何かの悲鳴のような感じに聴こえる。すごく陰鬱な物語がこれから始まるのだと言う演出がかなり効いている。
流氷が漂う北海道の寒々とした、常にどんよりとした空の雰囲気が、フィルムのざらざらとした質感と妙にマッチしていた。後から知ったけど、東京のシーンではデジタルで撮影し、荒涼とした北海道との違いの演出がされていたのだとか。どうりで北海道のシーンはざらついた感じがしたと思った。(実際は予算の問題でもあったらしいが結果的に最高の演出になっていた)
浅野忠信の狂気を秘めた演技が良かった(高良健吾に絡むあたりサイコーだ)けれど、相手をする二階堂ふみも負けていない。それをまとめ上げた熊切監督の手腕も素晴らしいが、あの二階堂ふみの圧倒的な存在感はすさまじい。ホントに只者ではない。
そして、あの日本映画史に残るラストシーン!
荒木経惟氏いわく、「二階堂ふみ、ビッチでいいねぇ」
<作品概要>
「私の男」
(2013年 日本 129分)
監督:熊切和嘉
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤竜也、モロ師岡、河井青葉、太賀、三浦誠己、相楽樹、安藤玉恵、三浦貴大、山田望叶
配給:日活
2014年8月1日金曜日
オール・ユー・ニード・イズ・キル Edge of Tomorrow
ゲームのようにトム・クルーズが死にまくる!
トム・クルーズといえば分かりやすい程の主役級スター。トムが主役であれば絶対的な安心感でトムは死なない(笑)。いくらハラハラドキドキしても、心臓の弱い人でも、最後は大丈夫という保証がもたらされる。それがトム・クルーズの映画。だけど本作ではいとも簡単にトムが死ぬ。
しかも、これでもかっ、というほど死にまくる(笑) そういう点である意味とても新鮮な映画。
近未来の地球。宇宙からの侵略者と世界各国の連合軍との激しい戦争も地球側は劣勢にたたされている。軍の広報担当のケイジ少佐(トム・クルーズ)は前線には絶対に行きたくない弱腰ながら強引に最前線に送り込まれ、戦場であっけなく戦死する。ところが目覚めるとそこは戦闘前夜。戦死するたびに同じ時間場所に戻り、また戦場へ行く繰り返し。そしてその謎が解け始める。
最初は弱腰だったのに、死んでは戦場へを繰り返すたびにいつしか誰よりも戦場馴れしたベテラン兵となっていくあたりがかなり笑える。周囲のリアクションも毎回それに合わせて同じとこと違うとこを繰り返す。
原作を読んでいないのでどれだけ手が加わっているかは分からないけど、完全にハリウッドのSF大作になっていた。そこはさすがハリウッドで戦闘シーンは迫力満点。
日本はマンガや書籍など知的財産の宝庫。
どこかの国でパクられる前にハリウッドにドンドン売り込むべき。
<作品概要>
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」 Edge of Tomorrow
(2014年 アメリカ 113分)
監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン、ノア・テイラー
配給:ワーナー・ブラザース映画
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