2014年8月2日土曜日
私の男
エロくて 濃厚で 硬派で 素晴らしい
かなり淫靡で重厚で見応え十分な快作。
モスクワ国債映画祭で受賞するのも納得の演技と作品の重厚感。(作品賞と主演男優賞のW受賞)
やっぱり、浅野忠信は初期の頃のように狂気を秘めた男の役が一番似合う。
原作は、桜庭一樹の直木賞受賞作。舞台となった北海道出身でもあり、「鬼畜大宴会」、「海炭市叙景」の熊切和嘉監督が映画化。
奥尻島地震に被災し孤児となった花を遠縁の淳悟
が引き取り、親子として暮らしていくふたり。最北の荒涼とした土地を舞台に、孤独を埋め合わせるような秘めたる禁断の愛を描く。
何かが軋むようなすごく不気味な音が鳴り響くところから映画は始まる。それは流氷の音なんだとすぐに分かるのだけれど、音だけ聞かされていると何かの悲鳴のような感じに聴こえる。すごく陰鬱な物語がこれから始まるのだと言う演出がかなり効いている。
流氷が漂う北海道の寒々とした、常にどんよりとした空の雰囲気が、フィルムのざらざらとした質感と妙にマッチしていた。後から知ったけど、東京のシーンではデジタルで撮影し、荒涼とした北海道との違いの演出がされていたのだとか。どうりで北海道のシーンはざらついた感じがしたと思った。(実際は予算の問題でもあったらしいが結果的に最高の演出になっていた)
浅野忠信の狂気を秘めた演技が良かった(高良健吾に絡むあたりサイコーだ)けれど、相手をする二階堂ふみも負けていない。それをまとめ上げた熊切監督の手腕も素晴らしいが、あの二階堂ふみの圧倒的な存在感はすさまじい。ホントに只者ではない。
そして、あの日本映画史に残るラストシーン!
荒木経惟氏いわく、「二階堂ふみ、ビッチでいいねぇ」
<作品概要>
「私の男」
(2013年 日本 129分)
監督:熊切和嘉
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤竜也、モロ師岡、河井青葉、太賀、三浦誠己、相楽樹、安藤玉恵、三浦貴大、山田望叶
配給:日活
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