2016年2月25日木曜日

ドリーム ホーム 99%を操る男たち  99HOMES

サブプライムローン問題、現場で起こっていたこと

銃で自殺した男の浴室からこの映画は始まる。
事件現場にいる刑事ものの一場面かと思いきや、そこは住宅ローンが払えずに銀行に差し押さえになった住人へ催告する不動産屋の話。
リーマンショックの発端となったサブプライム問題の現場で何が起こっていたのかを描き出す社会派ドラマ。
主演は、「ソーシャル・ネットワーク」や「スパイダーマン」シリーズのアンドリュー・ガーフィールド。

日雇い大工でシングルファザーのナッシュは、ある日突然不動産ブローカーのカーターによって自宅を差し押さえられてしまう。いきなりやって来た警官や男たちによって次々と自宅から家財が運び出されていくがなす術もない。裁判所も相手にしてくれず路頭に迷った時、カーターから手伝いのバイト話が持ちかけられる。背に腹はかえられないものの、その仕事は自分と同じような債務者の自宅を差し押さえることだった。


映画「マネーショート」では、サブプライムローンの危険性を見抜き、バブルとなっていた不動産市場の真逆に賭け、リーマンショックで大儲けをした男たちを描いたけど、ここでは実際に現場で家を追われている人々が描かれる。

ナッシュがカーターに手を貸し差し押さえていく家の住人たちは、貧しい白人や言葉さえ通じない移民や、老人たち。
ナッシュ自身、無職でシングルファザーなのに立派な戸建の持ち家に住んでいる。そのこと自体がおかしいけどこの不動産バブルでは、このような返済能力のない貧しい人たちに銀行がローンを組みまくった。この不良債権(サブプライムローン)は、他の金融証券とごっちゃまぜにされて、優良債権として売り出される。だから誰もこの不良債権を気にせずいくとこまでいってしまった。


返済能力以上のローンを組んでしまう方もそうだけど、金儲けのために一般市民を食いものにしたしたウォール街の罪は重い。
いま1%の富裕層が、99%を支配していると言われているほど格差が広がっていて、さすがのアメリカでも問題視されてきている。

アメリカの大統領戦では、サンダース氏のような社会主義的な人が指示を集めている。今までのアメリカでは考えられなかった現象。
サンダース氏は、「公立大学の授業料無料化」、「国民皆保健医療の実現」、そして「ウォール街の金持ちへの課税」を公約として訴える。


そして、2011年に巻き起こったのが「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)という市民運動。彼らのスローガンは、「WE ARE 99%」。アメリカでは上位1%の富裕層の所得は増え続けている。そういった格差に対する抗議が、大学を出ても職がない若者を中心に訴えられた。

この原題にはそういったアメリカ社会の闇に対する警告の意味も込められている。


<作品概要>
ドリームホーム 99%を操る男たち」  99HOMES
(2014年 アメリカ 112分)
監督:ラミン・バーラミ
出演:アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ローラ・ダーン、ノア・ロマックス、アルバート・ベイツ
配給:アルバトロス・フィルム

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