くせ者ぞろいの密室劇!タランティーノ節全開!
設定を聞いただけで、くせ者たちによる大殺戮がもう予想できる(笑)
タランティーノだからもう撃ちまくり、血しぶき上がりまくりの展開になることは必至。
ある吹雪の日、雪原にぽつんとたたずむ「ミニーの紳士洋品店」に偶然集まった8人。
賞金稼ぎにお尋ね者、保安官に死刑執行人。
くせ者ぞろいで全員に秘密がある。そして緊張が高まる中、最初の殺人が起こる。
もうタランティーノ節全開!
特にサミュエル・L・ジャクソンのくせ者ぶりは際立ちまくり。
一見バラバラに集まった男たちの過去や秘密が徐々に明らかになり繋がりだしていく。
長さも気にならず緊張感をもったまま楽しめる。
今回の撮影は、「ウルトラ・パナビジョン70」という、1966年の「カーツーム」以来使用されていない70mmフィルムを引っ張り出して撮った密室劇。広大な大自然を70mmフィルムで撮るかと思いきや本作はほぼ室内。なのに70mmフィルム(笑)
このあたりのこだわりもタランティーノらしい。
美術は、種田陽平で「キル・ビル」以来。
この細部までこだわりぬいて作り込まれたセットは、種田陽平によると「ミニーの店には何でもある。ドラッグストアであり、バーであり、レストランでもある。ただ紳士用品だけないんだ(笑)」。
ほとんどがこの室内での出来事になるため、とにかく70mmフィルムに耐えうるクオリティが求められた。
音楽は、巨匠エンニオ・モリコーネ。
過去5作で楽曲使用していて、マカロニウェスタン好きのタランティーノらしいチョイス。
キャストも個性的な面々。
いつものタランティーノ組ではないキャストたちもかなりいい味を出している。ジェニファー・ジェイソン・リーは本作でアカデミー助演女優賞にノミネートされるほど女盗賊団を怪演。素顔がよく分からないくらいボコボコにされながらの扱いがすごい(笑)
他にもデミアン・ビジル、チャニング・テイタム、ウォルトン・ゴギンズらもニューフェイスながらそれぞれくせ者振りを発揮。
元々この映画のベースとなった脚本が漏れたことにタランティーノが激怒して製作を中止。その後いろいろあって映画化までこぎつけたとか。このキャストをそろえて一夜限りの公開脚本読み合わせをした評判がかなり良かったのがキッカケだとか。気分屋のタランティーノらしいエピソード。
危うくお蔵入りになりそうだった本作。もしなっていたらもったいない。
<作品概要>
「ヘイトフル・エイト」 THE HATEFUL EIGHT
(2015 アメリカ 168分)
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジャニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、ジェームズ・バークス、チャニング・テイタム
音楽:エンニオ・モリコーネ
衣装:コートニー・ホフマン
美術:種田陽平
配給:GAGA
字幕:松浦美奈
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