宇宙空間という完全に限られた場所に取り残されるというかなり絶望的な環境で人はどう出るのか?
マット・デイモン演じるマークは、植物学者として、科学者としての知識と技術をフル活用して生き抜くことを全力で試みる。
とにかくポジティブに可能性にかける姿がいい。
火星での有人探査中、嵐の事故で行方不明になったマーク。気づくと仲間たちはマークが死亡したものとして火星を飛び立った後だった。次の探査機が来る数年後まで、何もない火星で生き抜くことを決意するマーク。限られた食料の中で果たして生き残ることができるのか。
この映画を演出する最大の効果は「音楽」。
しかも、70年代のディスコミュージック!
このアゲアゲのテンションが妙にいい。無機質で音もない火星という荒野とのギャップ。
マークのポジティブな行動を支え続ける最高のアイテムになっている。
音楽の効果ってすごいなって思ってしまう。
監督は、巨匠リドリー・スコット。「エイリアン」、「ブレードランナー」などのSFものは初期の名作。78歳にしてコンスタントにハイクオリティ作品を発表し続けていて、イーストウッドやウディ・アレンらハリウッドのおじいちゃんたちはとても元気。
リドリー・スコットは、映画界に入る前はCMディレクターとして活躍。
その中でも有名なのは、アップルのCM「1984」。
赤茶けた土が延々と広がる火星の荒野。
ロケ地どこ?って思ったけど、どうやらヨルダンにあるワディ・ラム砂漠だとか。
ワディ・ラムとは月の谷の意で、この場所はアラビアのロレンスがトルコ軍を撃破したことでも有名な場所らしい。意外と由緒ある場所。
宇宙空間でのアイテムで気になったのが、トイレの排泄物をキレイにジップしておくシステム。乾燥させていて肥料になるのであればもっと一般社会で応用できそうなのに。
それにてもあの謎すぎる中国企業は何だったのか(笑) ※中国国家航天局らしい
アメリカにもない高度な技術を持ち、好意だけでアメリカに技術協力をする。
「中国政府には反対されたけど、NASAで働く親戚の働きかけでアメリカに協力するという危ない橋を渡る」くらいの背景がないと。
あまりにもあっさり協力しすぎ。
原作からどの程度変わっているのか分からないが、小説「火星の人」はアンディ・ウィアーがブログで発表し、その後キンドル版がベストセラーとなったもの。
アンディ自身は重度のSFオタクだそうで、趣味は軌道力学の計算というとても変わり者。
デヴィット・ボウイの「スターマン」もまるっと使われていて良かった。
<作品概要>
「オデッセイ」 THE MARTIAN
(2015年 アメリカ 142分)
監督:リドリー・スコット
原作:アンディ・ウィアー「火星の人」
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャスティン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・ペーニャ、ショーン・ビーン、ケイト・マーラ、セバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョホー
配給:20世紀フォックス映画
字幕:風間綾平
0 件のコメント:
コメントを投稿