2014年3月23日日曜日
パラダイス:希望 PARADISE;hope
おデブな少女のほろ苦い初恋
パラダイス3部作の第3作目。1作目でケニアのビーチボーイにのめり込むテレサの娘メラニーが主人公。かなりなインパクトの前2作に比べると大分おとなしい感じ。格差へのシニカルさだったり、過剰なところはあまりない。
本作もメラニーはじめ素人を多用して自然な演出で作り上げている。
母親がバカンスに行った夏休み。メラニーはおデブな子供たちが集まるダイエット合宿に行くことに。そこは軍隊の用に規律を重んじ、大好きなおやつや携帯電話を取り上げられ、運動と栄養学の日々。だけど、そこは若者たちの合宿、部屋ではこっそりお酒を持ち込みガールズトークで盛り上がる。やがてメラニーは先生のひとりである中年の男性に恋をして積極的にアプローチを始める。
メラニー、13歳、165cm、81kg。みごとぽっちゃり体型だけど、体重測定で75kgだと言い張りちょっと見栄を張ったりもする。このおデブな体型にもめげず保険医師の先生を好きになってアプローチしだすあたりは微笑ましくはありあまり毒はない。前2作のインパクトがすごかっただけに、物足りない感になってしまうのが正直な感想。格差を痛烈に皮肉るところや、過剰なまでののめり込みっぷりが見所なだけに、もうちょっと振り切った展開を期待してしまった。本気の取っ組み合いも今回はない。
女子高生が先生に恋をするなんて、フツー過ぎだし、もっとありえないくらいののめり込みっぷりを見せて欲しかった。
画の構図は相変わらず左右対称できっちりしてる。なんでもキッチリとルール化されていて、キレイ好きなドイツ人的な感じが伝わる。(オーストリアだけど)
おデブな子たちが整列して、一斉に行進したり、運動している様を滑稽に見せるあたりはちょっとした毒がある。でも周りがおデブすぎてメラニーが普通に見えてしまう。
(運動の先生役が「インポート、エクスポート」の養父だった!)
医師の先生が泥酔したメラニーを森に横たえたのは何だったのかが分からない。
おデブな少女の夏休みのほろ苦い初恋。でも、この間にお母さんがケニアであんなことしてると思うと笑ってしまう。
<作品概要>
「パラダイス:希望」 PARADISE;hope
(2012年 オーストリア 91分)
監督:ウルリヒ・ザイドル
出演:メラニー・レンツ、ジョセフ・ロレンツ、ミヒャエル・トーマス、ビビアン・バルトシュ
配給:ユーロスペース
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