2014年5月20日火曜日

チョコレートドーナツ  any day now


マイノリティたちの愛にあふれるお話

ゲイのカップルがダウン症の少年を引き取って暮らす。とても幸せな家庭なのに、マイノリティたちにとって“普通”とは、とてつもなくハードルが高い。
偏見のある世間。
それに負けない勇気、そして何より“愛”。そんなメッセージがつまった作品。

ショーパブで働くパフォーマーのルディは、ある晩、ひとりで店に訪れたポールと出会う。二人はすぐに意気投合しパートナーとなる。同じ頃、ルディは麻薬で逮捕されて残された隣人の息子マルコと知り合う。ダウン症のマルコに同じマイノリティとして親しみを感じるルディだが、社会保護局によってマルコは施設に入れられてしまう。なんとかマルコを取り戻そうと、弁護士のポールとともにルディの挑戦がはじまる。


映画の舞台は、同性愛に対する差別と偏見がうずまく1970年代。
それだけで警官に銃口を向けられ、会社はクビになり、裁判でも負け、社会的信用を得られない。もう、散々な状況。
でも、その世間の中でゲイとして差別や偏見と戦うというのは、考えているよりもずっとずっと勇気と気力と体力がいるのだろう。
普通なら大変と分かっているからカミングアウトなどせずひっそりやり過ごすだろう。


愛情あふれるルディと正義にあふれるポールのコンビだからお互いを奮い立たせて戦うことができたのかもしれない。
負け続けても正義を信じてる。愛を信じてる。
そんな、彼らだから応援したくなるんだろう。

この時代の空気感を描いた作品は、最近だと「ダラス・バイヤーズクラブ」でも『エイズはゲイがなるもの』という偏見が渦巻いているし、「ミルク」もゲイに対する差別がよく描かれている。


音楽が良かった。
ルディは、ポールのはからいでデモテープを取り、シンガーとなる。
最後に、ルディが舞台で歌うのは、ボブ・ディランの「I shall be released」。
この歌詞に出てくるのが、“any day now”で、本作の原題だ。
いつの日か、悩みや辛さから解き放たれると強く歌い上げる。

チョコレートドーナツを食べたときにマルコが見せる至福の笑みが忘れられない。


<作品概要>
チョコレートドーナツ」  any day now
(2012年 アメリカ 97分)
監督:トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハン、アイザック・レイバ、フランシス・フィッシャー、グレッグ・ヘンリー
配給:ビターズ・エンド

0 件のコメント:

コメントを投稿