2014年1月21日火曜日

セブン・ボックス  7BOX 7cajas


DVDスルーの傑作選 世界の映画祭を席巻したパラグアイ発の傑作エンターテイメント!

パラグアイは今まで製作された映画の本数が合計で20本にも満たないそう。そんな映画後進国のパラグアイから、各国の映画祭で話題を呼んだ面白い作品がやってきた。スラム街を舞台に貧困などの問題を描きつつ、説教臭くならずエンターテイメントに徹した作品だ。

巨大なアスンシオン市場で、運び屋として荷車を引く少年ビクトルに、ひょんなことから100ドルもの大金が得られる仕事が舞い込む。ある精肉店から7つの箱を運び出すだけな簡単な仕事なはずだった。ところがその箱に目を付けた商売敵や泥棒、ギャングや警察までが複雑に絡み、箱を巡って物語が加速し始める。

歴代の映画製作が20本以下という信じられないくらい映画が作られていない国から、よくもまあこのレベルの作品が出てきたものだと思う。スラム街を舞台に少年が駆け回る感じは、ダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネア」にも通じるし、ギャングが銃をぶっ放すところは「シティ・オブ・ゴッド」を感じさせる。

2005年の設定だから、携帯電話の画質が悪い動画が撮れるだけで「すげー」となる時代。当然はスマホはなく、ガラケーだけ。そしてそのガラケーすら持てない貧しい少年たち。そのガラケーが小道具としていきてくる。
でも、最高に効いているのが韓国人(笑) 料理店を営む韓国人親子が南米の濃い連中の中で、その“のっぺりとした”薄い顔でスパイスとなっている。


それにしても、新宿・シネマカリテのDVDスルーの傑作選をワンコイン(500円)で劇場上映する企画は素晴らしい。その名も“オト カリテ”。「サブマリン」もそうだったけど、なかなか良い作品がやっている。安いし。パンフレットが無いのが残念。

[主な映画祭出品・受賞歴]
・トロント国際映画祭 正式出品
・マイアミ国際映画祭 観客賞受賞
・サン・セバスチャン国際映画祭 Youth Award受賞
・ゴヤ賞 スペイン語外国映画賞ノミネート
・サンタバーバラ国際映画祭 スペイン・ラテンアメリカ映画賞
・カルタヘナ国際映画祭 監督・脚本賞受賞
・パームスプリングス国際映画祭ニュー。ボイス/ニュー・ヴィジョン賞受賞
・SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 脚本賞受賞


<作品概要>
セブン・ボックス」 7box 7cajas
(2012年 パラグアイ 105分)
監督:フアン・カルロル・マネグリア、タナ・シェムボリ
出演:セルソ・フランコ、ビクトル・ソサ、ラリ・ゴンザレス、ニコ・ガルシア
配給:トランスフォーマー

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