“壁の花”(ウォールフラワー)チャーリーの青春
アメリカではライ麦畑の再来と言われるほど批評家からも絶賛されている若者のバイブル的小説「ウォールフラワー」、その待望の映画化。原作者であるチョボスキーは、続々と来る映画化のオファーを断り続け、ベストなタイミングを狙っていたそう。そして自ら監督・脚本を手がけることで満を持して製作となったのが本作。エマ・ワトソンはじめ気鋭の若手をそろえキャラクターの設定を丁寧に作り上げていった。
おとなしくサエナイ16歳の男子・チャーリーは、高校に入っても友達はゼロ。窓際が定位置で唯一しゃべるのは家族だけ、たまに声をかけられても悪口か罵声という日々。ある日上級生のサムとパトリックに出会い、彼らの仲間に迎え入れてもらえることにより、チャーリーの学生生活は一気に輝く青春へと変化していく。はじめてのパーティ、友情、恋。しかし、やがて上級生の彼らの卒業の時期が迫ってくる。
80年代後半〜90年代初頭のアメリカ、青春学園ストーリー。
セリフがいい。
「さよなら、窓際の僕。」
「この瞬間だけは悲しみも消えて生きてる。誓って言う。この瞬間こそ僕らは無限だ。」
「なぜやさしい人たちは、間違った相手とデートを? 自分に見合うと思うからだ。 本人の価値を教えるには? 試せばいい」
キャストがいい。
エマもいいが、チャーリー(ローガン・ラーマン)とパトリック(エズラ・ミラー)が負けずと抜群にいい。この3人で見事にこの映画を引っ張っている。
エマはハリポタのハーマイオニーの優等生キャラからの脱却を図ることに必死なのか、真逆の役に積極的に挑戦している感じだ。「ブリングリング」ではセレブ豪邸の窃盗団のメンバーだし、本作でも過去の傷を負ったはみ出しもの。でも割と役にハマっていていい。
この映画にピッタリな良い役者が揃った。
そして音楽がいい。
スミスが失恋音楽のバイブルと言ってる当たりは「(500)日のサマー」と同じ感覚、この手の映画の選曲のセンスの良さはキーポイントだったりする。
象徴的なのは、Dexys Midnight Runners「Come on Eileen」。
他にもこの映画を彩るカルチャーが満載。
★MOVIES,PLAYS
「ロッキー・ホラー・ショー」
★BOOKS
「アラバマ物語」
「ウォールデン 森の生活」
「路上/オン・ザ・ロード」
「グレート・ギャツビー」
★MUSIC
「Could it be another change』 The samples
「Asleep』 The Smiths
「Teenage Riot」 Sonic youth
「Come on Eileen」 Dexys Midnight Runners
「Heroes」 David Bowie
「Temptations」 New Order
etc
“誰もが共感できる青春”というようなコピーがあったけど、アメリカの高校生活は日本とは全然違うから同じような体験はない。プロムはないし、ゲイなんて絶対カミングアウトしないし、広い自宅でパーティなんてしないし、車にも乗らない。友達のプレゼントにタイプライターを贈るなんて高校生は金持ちだけだ。そういう意味では全く共感できないが、アメリカの高校生活の空気感はとても伝わるし、すごくいい青春映画なのは間違いない。
<作品概要>
「ウォールフラワー」 The Perks of Being a Wallflower
(2012年 アメリカ 103分)
監督・脚本・原作:スティーブン・チョボスキー
出演:ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー、メイ・ホイットマン、ポール・ラッド、ケイト・ウォルシュ、ニーナ・ドブレフ、エリン・ウィルヘルミ
配給:GAGA
0 件のコメント:
コメントを投稿