2014年8月13日水曜日

[CM] 「STROBE」 by LEXUS


レクサスの新CMは、グローバルの広告キャンペーン「AMAZING IN MOTION」の第三弾になる「STROBE」。全身が光る人間「ライトマン」がクアラルンプールの夜の街を駆け巡る姿はとても幻想的。CGではないアナログな演出手法がより凄さを際立たせている。


車のCMなのに車が走る姿は一切出てこない。ライトマンが最後に降り立つ時に始めてレクサスが登場する。それでいて、レクサスが追求する「驚きと感動」を表現している。
監督は、世界各国で広告賞を取るアダム・バーグ。
ライトマンも人形ではなくみんな生身のスタントマン!
メイキング映像を見るとよく分かる。


そして、このアメイジングなシリーズはこちら。

第1弾「SWARM」



第2弾「STEPS」

更に、
アダム・バーグの秀逸すぎる代表作がこちら。
「Carousel」
ピエロの強盗団と警官の銃撃戦の静止した場面を自由にさまよう不思議な体験。


「WALLS」
オーストラリアのペイントメーカーのCM
街中がカラフルになっていく幸福感あふれる内容。




<作品情報>
「STROBE」 by LEXUS
(2014年 インターナショナル 90秒)
監督:アダム・バーグ
出演:
製作:TOYOTA

2014年8月9日土曜日

100,000年後の安全  into eternity


消えない火を手に入れた人類への警告

あの小泉純一郎元首相の主張を脱原発に180度変えたのが、本作で取り上げられたフィンランドの放射線物質処理施設だとか。
この事実を知るとちょっと怖い。

ナレーションは、何だか昔話のような語り口。
「あるとき人類は、火を手に入れて発展した。やがてとても強力で消えない火をも手に入れた。そしてやがてコントロールできなくなり、山奥の誰も入れない場所に埋めたのだった。」

快適な生活や便利さの代償としての放射線物質。これらが無害になるには10万年の月日を要すると言われる。10万年もの間、それを“そっと保管しておく”ことができる場所は、地球上にはないらしい。。。
それは地震や津波、ハリケーンなどの自然災害から火事や戦争などの人的災害によって、保管を脅かされる。この地球上で一番“そっと保管”できそうな場所が、太古から地層が変わっておらず、地震がおきず堅い岩盤の地層で守られたフィンランドの山奥オルキルオトの地下数百メートルに掘られた施設だ。

だけど、10万年後の人類が今の我々の言葉や記号を理解するかどうか分からない、そんな心配をしている専門家たち。放射線物質から燃料が今後取れるようになれば逆にそれは宝の山になるという専門家もいたが、10万年後までも心配しなくてはいけないゴミを出し続けるエネルギーというは、どうなのか。そこにスポットを当て話題を呼んだドキュメンタリー。


<作品概要>
「100,000年後の安全」  INTO ETERNITY
(2009年 デンマーク=フィンランド=スウェーデン=イタリア 75分)
監督:マイケル・マドセン
出演:マイケル・マドセン
配給:アップリンク

2014年8月8日金曜日

オールド・ボーイ  OLD BOY


何とも壮大な復讐劇!

そこまでやるか。というところまで振り切っているところがすごい。
主演はジョシュ・ブローリン。酒に溺れるダメ男がよく似合う。そしてみごとなオッサン体型。
ウディ・アレンの「恋のロンドン狂騒曲」でも見せつけたダメなオッサンぶりが全開。だけどこちらの作品では大分ワイルド。

商談が破談になった夜。泥酔したジョーは、東洋系の美女に誘惑され、翌朝見知らぬ安ホテルの部屋で目覚める。やがて監禁されていることを知り、そこから何と20年間も監禁生活を強いられることになるジョー。誰が何のためにこんなことをするのか。謎だらけの中、ある日部屋の外へ解放されることになるが。

原作は、土屋ガロンと嶺岸信明によるマンガ。2003年には韓国のパク・チャヌク監督により映画化もされており、第57回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞している。


ジョシュ・ブローリンだとはポスタービジュアルでは気づかなかった。映画が始まってもあのぶよぶよのオッサンぶりをみていると全く気がつかない。ポスターに使われているシーンになってはじめて「あっ」と思ったくらい(笑)

キャストでは、サミュエル・L・ジャクソンの悪役ぶりがサイコー。ホントにクセのある役をやらせたら天下一品。
そして、そのサミュエルの部下たちと繰り広げるワンカットのアクションシーン!アメリカ人なのに角材使うか?とか囲んでいるチンピラたちが若干もてあそび気味などツッコミどころはあるもののワンカットでやりきったこのシーンは必見。


日本原作を韓国で映画化し、さらにアメリカで映画化。それだけ魅力ある題材。
壮大すぎる復讐劇で、これはホントにビックリな内容だった。
韓国版は観てないが、暴力描写やグロさにかけては韓国映画はすさまじいから、あちらの方が題材には合っているのかもしれない。
そして、天才チェ・ミンシクが主演とくればかなり興味はそそられる。


<作品概要>
「オールド・ボーイ」  OLD BOY
(2013年 アメリカ 103分)
監督:スパイク・リー
原作:土屋ガロン、嶺岸信明
出演:ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン、シャルト・コプリー、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・インペリオリ、ポム・クレメンティフ
配給:ブロードメディア・スタジオ

2014年8月7日木曜日

罪の手ざわり  A Touch of Sin


現代中国を内側からえぐる!ジャ・ジャンクーらしい待望の新作

2013年の第66回カンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞。劇映画では「長江哀歌」から7年とちょっと時間があいての新作発表。思いっきり銃をぶっ放したりと、最近のイメージよりはちょっとあか抜けた感があるかも。

「山西省の男」
「重慶の男」
「河北省の女」
「広東省の男」
それぞれ実際に起きた事件をベースに、4つのエピソードにのせて、犯罪者となってしまった普通の人々の姿を罪を犯した彼らの目線で描く。

中国ではただの犯罪者。
ただその背景には現在の中国がかかえる社会的問題が潜んでいる。その当事者の目線で描くことによって、現代中国の社会問題が浮き彫りになってくる。

この手の映画を作らせるとジャ・ジャンクーは本当に名人芸。
その社内情勢が犯罪者になってしまった彼らをつくり出したとも言える。あいかわらずなジャ・ジャンクーの挑戦的なメッセージは、いまの中国を知る文献とも言える作品。


最近はウイグルにも問題を抱え、近隣諸国とも摩擦が多いかの国。
映画を通してもっとお互いを知るのもいいのでは。


<作品概要>
「罪の手ざわり」 A Touch of Sin
(2013年 中国=日本 129分)
監督:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、チアン・ユー、ワン・パオチャン、ルオ・ランシャン、チャン・ジャーイー
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野

2014年8月6日水曜日

[PV] Perfume 「 Cling Cling」


Perfumeの「Cling Cling」のPVがいい。

チョコラBBのCMでも使われているこの曲だけど、PVはあの種田陽平が美術監督をつとめ、かなりお金をかけている。監督は、「スパイス」以来にPefumeを手がけた島田大介。サカナクション、木村カエラ、RADWIMPSなどのPVで有名。


エキゾチックなアジアンテイストがいい。


<作品概要>
「Cling Cling」
(2014年 日本 2分)
監督:島田大介
美術:種田陽平
出演:Pefume

2014年8月4日月曜日

こっぱみじん


誰かが好きな誰かは、誰かのことが好き。

恋愛ってそうそう簡単なものじゃない。世の中そんなに都合よくできてない。
その中をもがき苦しむ若者たちを優しいまなざしで描いたのが本作。

監督は、「OL愛汁 ラブジュース」で高い評価を得た田尻裕司。田尻監督ほか、いまおかしんじ、榎本敏郎、坂本礼の4人による映像制作会社「冒険王」による作品の第一弾。

特に目標もなく日々を惰性で過ごす楓。ある日幼なじみの拓也が地元に帰ってくる。何かと励ましてくれる拓也に惹かれはじめる楓、兄の彼女とともに4人で楽しく過ごす日々が訪れるが、ある出来事をきっかけにそのバランスが崩れ出していく。

主演の我妻三輪子は、「はなればなれに」、「恋に至る病」など最近のインディーズ映画でも主演をはるこれから注目の女優。愛くるしい笑い顔が印象的。

好きな人は別な人のことを好き、という構図は最近では今泉力哉監督の「サッドティー」にも通ずるものがある。今泉監督の方がもっとポップでキャラがたっていてマンガっぽい。音楽の使い方やテンポも全然違うけど、こちらもインディーズながら意外と泣けるけっこう良い作品だ。


<作品概要>
「こっぱみじん」
(2013年 日本 88分)
監督:田尻裕司
出演:我妻三輪子、中村無可有、小林竜樹、今村美乃、
配給:トラヴィス

2014年8月3日日曜日

ホドロフスキーのDUNE  JODOROWSKY'S DUNE


世界で一番有名な"作られなかった映画”の話


「スター・ウォーズ」、「ブレード・ランナー」など映画史に残る数々のSF映画に多大な影響を与えた幻の映画があった。
「エル・トポ」、「ホーリー・マウンテン」など奇想天外な作風でカルト的人気をほこるアレハンドロ・ホドロフスキー監督の幻のSF大作「DUNE」。驚くべきほどに豪華なキャストやスタッフで、制作されなかったのにこれだけの影響力を残し、実現していたらどれほどのことになっていたのかと思ってしまう壮大なプロジェクト。

幻のSF大作「DUNE」について、監督本人や当時の関係者へのインタビュー で、製作が頓挫した過程や、作品の全貌に迫る。


当時決まっていたキャストは、
芸術家のサルバドール・ダリ、そしてダリの愛人で数々のロックスターと浮名を流した、モデルのアマンダ・リア。ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、アンディ・ウォーホル作品の役者ウド・キア、アメリカ映画界の巨匠オーソン・ウェルズなど
今考えても信じられないキャスティング!

そして、スタッフ陣も、
バンド・デシネの天才メビウスがキャラクターデザイン、「エイリアン」の美術を手がけたH.R.ギーガーやダン・オノバン。音楽は、ピンク・フロイドが担当。
こちらも豪華。


ホドロフスキーのいきいきとした証言がいい。
「ドラッグなんかやらなくてもブッ飛ぶような映像作品を作るんだ」と言う。
特にデヴィット・リンチが「DUNE/砂の惑星」を撮ることが決まったと知ったときから作品を観た後の感想までのくだり、子どものようにはしゃぐホドロフスキーのあのリアクションが映画の中で一番面白かった。


<作品概要>
「ホドロフスキーのDUNE」  JODOROWSKY'S DUNE
(2013年 アメリカ 90分)
監督:フランク・パビッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セイドゥー
配給:パルコ、アップリンク

2014年8月2日土曜日

私の男


エロくて 濃厚で 硬派で 素晴らしい

かなり淫靡で重厚で見応え十分な快作。
モスクワ国債映画祭で受賞するのも納得の演技と作品の重厚感。(作品賞と主演男優賞のW受賞)
やっぱり、浅野忠信は初期の頃のように狂気を秘めた男の役が一番似合う。

原作は、桜庭一樹の直木賞受賞作。舞台となった北海道出身でもあり、「鬼畜大宴会」、「海炭市叙景」の熊切和嘉監督が映画化。

奥尻島地震に被災し孤児となった花を遠縁の淳悟
が引き取り、親子として暮らしていくふたり。最北の荒涼とした土地を舞台に、孤独を埋め合わせるような秘めたる禁断の愛を描く。

何かが軋むようなすごく不気味な音が鳴り響くところから映画は始まる。それは流氷の音なんだとすぐに分かるのだけれど、音だけ聞かされていると何かの悲鳴のような感じに聴こえる。すごく陰鬱な物語がこれから始まるのだと言う演出がかなり効いている。


流氷が漂う北海道の寒々とした、常にどんよりとした空の雰囲気が、フィルムのざらざらとした質感と妙にマッチしていた。後から知ったけど、東京のシーンではデジタルで撮影し、荒涼とした北海道との違いの演出がされていたのだとか。どうりで北海道のシーンはざらついた感じがしたと思った。(実際は予算の問題でもあったらしいが結果的に最高の演出になっていた)

浅野忠信の狂気を秘めた演技が良かった(高良健吾に絡むあたりサイコーだ)けれど、相手をする二階堂ふみも負けていない。それをまとめ上げた熊切監督の手腕も素晴らしいが、あの二階堂ふみの圧倒的な存在感はすさまじい。ホントに只者ではない。

そして、あの日本映画史に残るラストシーン!
荒木経惟氏いわく、「二階堂ふみ、ビッチでいいねぇ」


<作品概要>
「私の男」
(2013年 日本 129分)
監督:熊切和嘉
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤竜也、モロ師岡、河井青葉、太賀、三浦誠己、相楽樹、安藤玉恵、三浦貴大、山田望叶
配給:日活

2014年8月1日金曜日

オール・ユー・ニード・イズ・キル  Edge of Tomorrow


ゲームのようにトム・クルーズが死にまくる!

トム・クルーズといえば分かりやすい程の主役級スター。トムが主役であれば絶対的な安心感でトムは死なない(笑)。いくらハラハラドキドキしても、心臓の弱い人でも、最後は大丈夫という保証がもたらされる。それがトム・クルーズの映画。だけど本作ではいとも簡単にトムが死ぬ。
しかも、これでもかっ、というほど死にまくる(笑) そういう点である意味とても新鮮な映画。

近未来の地球。宇宙からの侵略者と世界各国の連合軍との激しい戦争も地球側は劣勢にたたされている。軍の広報担当のケイジ少佐(トム・クルーズ)は前線には絶対に行きたくない弱腰ながら強引に最前線に送り込まれ、戦場であっけなく戦死する。ところが目覚めるとそこは戦闘前夜。戦死するたびに同じ時間場所に戻り、また戦場へ行く繰り返し。そしてその謎が解け始める。


最初は弱腰だったのに、死んでは戦場へを繰り返すたびにいつしか誰よりも戦場馴れしたベテラン兵となっていくあたりがかなり笑える。周囲のリアクションも毎回それに合わせて同じとこと違うとこを繰り返す。

原作を読んでいないのでどれだけ手が加わっているかは分からないけど、完全にハリウッドのSF大作になっていた。そこはさすがハリウッドで戦闘シーンは迫力満点。
日本はマンガや書籍など知的財産の宝庫。
どこかの国でパクられる前にハリウッドにドンドン売り込むべき。


<作品概要>
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」 Edge of Tomorrow
(2014年 アメリカ 113分)
監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン、ノア・テイラー
配給:ワーナー・ブラザース映画

2014年7月10日木曜日

グランド・ブダペスト・ホテル  The Grand Budapest Hotel


豪華キャストが駆け抜ける、ウェス・アンダーソンが創り出す世界

切り絵アニメーションと実写が融合したような逃亡劇のくだりはまるでカレル・ゼマンの映画を観ているようで、とある東欧の国がチェコにしか思えない。

限られた宿泊客しかいない、老舗ホテル。
賑わうでも無くみんな閑散とした静けさを楽しみにきている感じ。ある夜、このホテルのオーナーである謎の多い大富豪からホテルのオーナーになるまでの回顧録が語られる。
それは激動の時代を駆け抜けたある一流ホテルの“伝説のコンシェルジュ”の謎を追う冒険譚だった。


豪華キャストが演じる個性的なキャラクターたちは絵本というか、人形劇のようにかっちりとキャラができあがっていて、ウェス・アンダーソンの世界観を際立たせる。特に今回は切り絵を使ったアニメーションなど、チェコのカレル・ゼマンを彷彿とさせる演出で東欧感がより出ていた。
それにしてもティルダ・スウィントンの七変化ぶりはすごい。一見分からないほどのおばあさんぶり(笑)だし、「スノーピアサー」の時は出っ歯のおかしな役だし、だけどキレイな役はしっかりできる。この振り幅はすごい。ニコール・キッドマンには絶対できない。

閑散とした老舗ホテルの感じは、キューブリックの「シャイニング」と同じ設定だけど、この雰囲気は全く違う。美術にもこだわる同じ完璧主義の監督だけど作家性の差がそこにある。
ウェス・アンダーソン好きはとても楽しめる一品。


<作品概要>
「グランド・ブダペスト・ホテル」
(2014年 アメリカ 100分)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラムス、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドグラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、
配給:20世紀フォックス

2014年6月27日金曜日

[CM] しりあがり寿


この特徴、すぐ分かる! しりあがり寿ワールド

ガリガリ君で有名な赤城乳業のアイス「ブラック/チョコレートバー」のCMを、
あの、しりあがり寿が手がけた。奇妙でおかしいダンスの振り付けはラッキィ池田。

▼「たべたい」編

▼「じゃない」編

▼「ガリガリ君の会社」編

▼「売上」編


<作品概要>
CM BLACK/チョコレートバー
(2014年 日本 各15秒)
企画・監督:しりあがり寿
イラスト:しりあがり寿
振り付け:ラッキィ池田
製作:赤城乳業

2014年6月19日木曜日

ぼくたちの家族


「舟を編む」より全然いい! 石井裕也の描く“家族” 

「舟を編む」で米アカデミー賞はじめ数々の映画祭で話題となった石井裕也監督の最新作。
石井裕也がテーマにする家族
どんな家族にも大なり小なり問題はあるもの。 誰もが自分の家族を重ね合わせて時分事として作品に入っていける物語。その監督の手腕はさすが。

どこにでもいそうな4人家族。ある日母親が認知症を発症。しかも悪性の腫瘍で余命は1週間。あまりにも突然の出来事に動揺する家族、そして次々と発覚する家族の秘密。
ボロボロになりながらも“最後の悪あがき”を試みながら再生していくある家族の物語。


本当にどこにでもありそうな家族の物語をここまで魅せる監督の手腕もすごいけど、俳優陣が良かった。長塚京三と原田美枝子は演技がマジで上手い! 
主演の妻夫木聡も頼りない長男を好演。
そして、池松壮亮も最近は引っ張りだこの俳優。テレビドラマ「MOZU」、「愛の渦」など話題作で難しい役どころを見事にものにしている。

長男の奥さん家族との会食で使われていた場所は、高尾の料亭「うかい鳥山」。(セリフにも名前が出てた) 吉祥寺から郊外の自宅へ帰るシーンもあり中央線か京王線の設定か。次男との待ち合わせは飯田橋だったけど、自宅のある三好駅は架空の駅。

評判が良かったのもうなずける良作。
個人的には「舟を編む」よりも全然良かった。


<作品概要>
「ぼくたちの家族」
(2014年 日本 117分)
監督:石井裕也
原作:早見和真
出演:妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、長塚京三、黒川芽以、ユースケ・サンタマリア、鶴見辰吾、板谷由香、市川実日子
配給:ビターズ・エンド

2014年6月18日水曜日

インサイド・ルーウィン・デイヴィス  Inside Llewyn Davis


出だしからいい! 音楽がとにかく最高

第66回カンヌ国際映画祭においてグランプリを受賞した本作。音楽通で知られる監督・コーエン兄弟による最新作は、これまた音楽にこだわった良品に仕上がった。上手く人生を生きることができない大人たちを優しくユーモラスに見つめる。ダメダメだけど応援したくなるような主人公ルーウィンがいい。コーエン節が効いてます。

1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。フォークシンガーのルーウィン・デヴィスは、知り合いの家を泊まり歩く宿無し&文無し。いいことなんか全然ない。女友達には妊娠を告げられ、借金もある。成りゆきで預かることになった猫を片手にNYをさまよい歩く。
フォーク全盛前夜のNYを不器用にも生き抜くルーウィン・デヴィスの物語。


ルーウィン・デイヴィスのモデルになったのは、あのボブ・ディランが尊敬したというフォークソングのミュージシャン、デイヴ・ヴァン・ロンク。
音楽通のコーエン兄弟だけに、音楽は生演奏にこだわった。それだけにルーウィン役のキャスティングは難航したとか。 そりゃそうだろう。
とにかく音楽が良かった。あの録音もさすが。T=ボーン・バーネットのすごさか。
それにしてもオスカー・アイザックは生録音に耐えうる最高のパフォーマンス。
この人しかいないだろうという最高のキャスティングだった。

デイヴ・ヴァン・ロックのアルバム

その他キャスト陣では、キャリー・マリガンも良かった。雰囲気が違っていて最初は気づかなかったけど、やはりすごくいい女優さん。
ルーウィンをぼろくそにけなしながら公園でしゃべるくだりはもうサイコー。

ジャスティン・ディンバーレイクも最近は映画で大活躍。「ソーシャルネットワーク」だけでなくいろいろと出演。今作では歌声も披露し、やはり歌手なんだな、と思わせる。

そして助演大賞はなんと言っても茶トラの猫。その名もユリシーズ。動物が重要な脇役の映画ってあるけど(カウリスマキ作品の犬みたいに)、本作も間違いなくそのひとつ。だっこされながら電車に乗るなんて(笑)


<作品概要>
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」 Inside Llewyn Davis
(2013年 アメリカ 104分)
監督:ジョエル&イーサン・コーエン
音楽:T=ボーン・バーネット
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジャスティン・ティンバーレイク,
ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、F・マーレイ・エイブラハム、スターク・サンズ、アダム・ドライバー
配給:ロングライド

2014年6月12日木曜日

サッドティー  SadTea


煮え切らない、煮え切れない男女が交錯する、今泉ワールド。

シガスカオ似の主人公・柏木を中心に、12人の男女が「好きって、何?」の間を行き惑う。今泉監督が「ダメ恋愛映画」というように煮え切らない人たちが織りなすおかしなエピソードが続く。

カフェのバイトと店長。二股に悩む映画監督とその彼女たち。彼女へのプレゼントを買いに言ったお店の店員に一目惚れする男、元アイドルを10年間思い続ける男とその元アイドル、DV、方想い、浮気、十人十色の恋愛模様が微妙につながり合いながら「好きって、何?」を考察する。

とにかく煮え切らない人たち。若さがあふれる恋愛っぷりはすごく今っぽい。


公園を延々と競歩する男の映像から始まる本編。これは映画「somewhere」の冒頭のシーンから引用しているとか。
今泉ワールドで面白い。
その中でも、あの競歩する友人・朝日のインパクトは絶大。役者さんのキャラがすごく活きている。最後に浜辺で絶叫するくだりはもうサイコー。大爆笑だ(笑)

ユーロスペースでは監督本人がチラシを手配りしていたり、上映後に「ありがとうございました。」ってロビーでお客さんに声をかけていたり、PRにいそしんでいた。


今泉作品は室内劇が多い中で、監督の家がロケ地になることが多いとか。室内の小物なんかはセットなのか私物なのか分からないけど、「ホーリーモーターズ」のチラシが貼ってあったり、神楽坂のマンヂウカフェ「ムギマル」の手ぬぐいが貼ってあったり、監督の趣味が伝わる。カフェにも奥さんである今泉かおい監督の「聴こえているふりをしただけ」のポスターが貼ってあった。

パンフレットには、サッドティーのレシピも掲載されている。


<作品概要>
「サッドティー」  SadTea
(2013年 日本 120分)
監督:今泉力哉
出演:岡部成司、青柳文子、阿部準也、永井ちひろ、國武綾、二ノ宮隆太郎、富士たくや、佐藤由美、武田知久、星野かよ、吉田光希、内田慈
配給:SPOTTED PRODUCTIONS

2014年6月6日金曜日

闇のあとの光


作家性が際立つ、メキシコからの刺客

またすごいのが出てきた。
カンヌで監督賞受賞。審査員たちに衝撃を与えたという本作。

魚眼レンズのような独特の映像スタイルとかなり出来上がった世界観。そうとうに特徴的だけど、意味はさっぱり分からない。アピチャッポン・ウィーラセタクンの「ブンミおじさんの森」がカンヌで出てきた時のようなサプライズ感。

メキシコの美しい自然と動物たちに囲まれた、とある村。子ども二人と何不自由なく暮らす幸せな家族。ある日“それ”が突然現れる。家族が寝静まる中に道具箱を持って家の中へと入ってくる。そしてその日から徐々に家族にズレが生じはじめる。


“それ”は一体何なのか。神なのか悪魔なのか、と言われるけどその後に降り掛かる災いとそのビジュアルからして、悪魔でしょ!とツッコミたくなる。そしてあの道具箱は何なのか(笑)いったい何か入っているのか、気になって仕様が無い。

この独特の世界観。そして映像美。これから何かやってくれそうな気配が漂う独特の作家性。カンヌでその期待からの受賞したのもうなずける。



モザイクが一切なしなのは驚いたけど、無い方が全然自然で違和感はない。

女優さんがとてもキレイ、ピアノを弾きながらニール・ヤングを歌うけど、なぜかすこぶる下手。本来はキメるべきシーンでハズす。そのあたりがとてもクセがある。


そして何より、ラストシーンが相当に衝撃的。驚きを通り越して笑ってしまうほど。
これは是非体験として観ておきたいシーン。

劇場では、冒頭に監督のメッセージがあったけど、映画の舞台に監督自身が住んでいるそう。そして映画の理解は観客に委ねるスタンスだというメッセージがあった。
日本の溝口や小津が好きだけど、完全に理解できているとは思わないし、したいとも思わない、だから解説なんて聞きたくない、と。
観たひとが自由に解釈してほしいということだった。
だけどこの監督が一番自由だ。


<作品概要>
「闇のあとの光」
(2012年 メキシコ=フランス=ドイツ=オランダ 115分)
監督:カルロス・レイガダス
出演:アドルフォ・ヒメネス・カストロ、ナタリア・アセベド、ルートゥ・レイガダス、エレアサル・レイガダス、ウィレバルド・トーレス
配給:フルモテルモ、コピアポア・フィルム