2015年4月30日木曜日

インヒアレント・ヴァイス  INHERENT VICE


松田優作ばりのサイケデリックなヒッピー探偵映画

大好きな映画作家ポール・トーマス・アンダーソンの最新作。主演は「ザ・マスター」に続きホアキン・フェニックス、原作は現代アメリカ文学の天才と言われるトマス・ピンチョン。

その割には宣伝もされず、かなり地味な公開。もうやってたんだばりにあわてて鑑賞。
このメンツでこのひっそりと公開の扱い。
さぞかし残念な結果になっているんだろうと、全く期待をせずに観に行ったのが良かったのか、予想に反しかなりギャグが織り交ぜられ面白かった。

1970年代ロサンゼルス。ドラッグ常習者の私立探偵のドックは、元恋人のシャスタに彼女の今の恋人で不動産王のミッキーについての調査を依頼される。ところがその直後のミッキーもシャスタも姿をくらませてしまう。
やがて、FBIや刑事ビッグフット、闇の組織などが絡む陰謀に巻き込まれていく。


最近のポール・トーマス・アンダーソンと言えば、シリアスで重厚で威厳のある大河ドラマという感じだけど、そのつもりで観に行くとかなり肩透かしな感じだけど、そのギャップも面白い。
ホアキンのヒッピーなもみあげもうけるが、ジョシュ・ブローリンのゴリラのような顔に角刈りの刑事キャラもかなり笑わせてくれる。
お気に入りのパンケーキ屋(なぜか日本人が経営)での「ちょっと! もっとパンケイク!!」という日本語の注文には劇場も爆笑。(なんで日本語なんだ)


とにかくタバコを吸い続けていて、マリファナとかボンベ?とかいろんなものを吸っている(笑) まともに考えられているのか分からないのによく依頼がくるものだ。

キャストはかなり豪華で、他にはオーウェン・ウィルソン、リース・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロ、エリック・ロバーツなどなどで登場人物が多くて誰が誰なんだか物語を追うのがちょっと大変。
でも、肩の力を抜いて観るのがいい。
ファッションや音楽など70年代カルチャーの見どころ。



<作品概要>
「インヒアレント・ヴァイス」  INHERENT VICE
(2014 アメリカ 149分)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ホアキン・フェニックス、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、キャサリン・ウォーターストーン、リース・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロ、マーティン・ショート、ジェナ・マローン、ジョアンナ・ニューサム、エリック・ロバーツ、ホン・チャウ
原作:トマス・ピンチョン
配給:ワーナー・ブラザース映画



2015年4月29日水曜日

マジック・イン・ムーンライト  MAGIC IN THE MOONLIGHT


皮肉屋の手品師 VS 若くて美しい占い師

抜群の安定感の映画作り。
ウディ・アレンの映画は本当に安心して観に行ける。オープニングタイトルのおしゃれなフォントに軽快な音楽。この組み合わせを冒頭に見せられるだけてもうウディ・アレンの世界に入ってしまう。

天才的なマジックで有名な手品師スタンリーは、ある資産家が信じ込んでいる占い師の正体を暴いてほしいと依頼され、資産家の家に意気揚々と乗り込むが若くて美しい占い師に、知らないはずの情報を次々と当てられ、徐々に彼女に惹かれて入ってしまう。


今回のウディの分身は、名優コリン・ファース。
才能はあるのに皮肉屋で友達は少ない手品師役。
この人は本当に巧い。
気品があって「英国王のスピーチ」でも名演だったし、コミカルなこともできる。
でもこういう役はやっぱりウディ・アレンにはかなわない。まあ本人だからしょうがないけど。
コリン・ファースの一番のハマり役はやっぱり「シングルマン」。
映画自体もとても素晴らしい。


それにしても、エマ・ストーンがかわいい。
「バードマン」では、不良娘だったけど対照的な印象。
そして相変わらず音楽がいい。

手品師と占い師。本当のことを煙に巻く職業の二人が自分たちの本当の気持ちを巡り右往左往するロマンティックコメディ。
軽快なテンポで楽しめる珠玉の作品。


<作品概要>
「マジック・ イン・ムーンライト」  MAGIC IN THE MOONLIGHT
(2014年 アメリカ=イギリス 98分)
監督:ウディ・アレン
出演:アイリーン・アトキンス、コリン・ファース、エマ・ストーン、マーシャ・ ゲイ・ハーデン、ハミッシュ・リンクレイター、サイモン・マクバーニー、
配給:ロングライド

2015年4月28日火曜日

[PV] チリ・ゴンザレス「ADVANTAGE POINTS」


天才と皇帝のコラボレーションPVが笑える

自らをミュージックジーニアス・天才と呼ぶゴンザレスが新たにコラボレーションをしたのは、これまた自らを皇帝と名乗るバイオリンなど弦楽器を操る四人組、弦楽四重奏のカイザーカルテット。

ゴンザレスのピアノが加わった五重奏でこの豪華な演奏がかなりいい。
だけどそのPVがかなり面白い展開になっている。
「バリー・リンドン」?
中世ヨーロッパの男同士の決闘の行方は?



<作品概要>
「Advantage Points」
(2015 カナダ 4分)
監督:
出演:
音楽:チリ・ゴンザレス、カイザーカルテット
レーベル:Beat Records

2015年4月27日月曜日

Mommy/マミー  Mommy


今にも崩れそうなギリギリの緊張感で、母への愛を掘り下げる

「トム・アット・ザ・ファーム」に続く監督5作目で、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した本作。この時はジャン=リュック・ゴダール監督の「さらば、愛の言葉よ」とのダブル受賞。
若干26歳と83歳の超ベテランという面白い組み合わせでのW受賞。

グザヴィエ・ドランは、常にマイノリティの弱者の目線で描かれることが多い、いつもギリギリの一歩間違えれば落っこちてしまいそうな緊張感の中でマイノリティたちはもがき苦しみ、救いを求めている。

シングルマザーのダイアンは、トラブルメイカーで施設帰りの愛息子スティー ヴと暮らすものの、普段は無邪気だがキレると何をしでかすか分からない息子に戸惑っていた。
ある日向かいに住む引きこもりの主婦カイラと親しくなり、元教師の彼女の教えでスティーヴも徐々に打ち解けていくのだが。


主演のスティーヴ役のアントワン=オリヴィエ・ピロン。ホントにこんなやついそうというスティーヴを見事に体現。マコーレ・カルキンが高校生になったかのようなビジュアルが印象的。
カイラ役もどこかで見たような、、、と思っていた「わたしはロランス」のスザンヌ・クレマンだった。
みんなドラン組。

ドランの映画はいつも緊張感に満ちている。
ちょっとしたことで崩れ去ってしまいそうなギリギリの綱渡りをしているような緊張感。
母と息子、そこに近所の引きこもり主婦のカイラが加わることで微妙な三角関係が出来上がり、安定するのではなく、逆にどこから崩れるのか分からないようになる。
そんなサスペンス要素もドランの特徴。


音楽も魅力のひとつ。
その中で、オアシスのワンダーウォールがこんなにハマるとは思わなかった。

そして、画面サイズ。
途中で気づいたけど、あっ、縦長?
普通は横長の映画の画面がサイズが、iphoneで撮ったかのように若干の縦長サイズ。
あとで調べたらアスペクト比は、1:1とのこと。(つまり正方形)
最前列で観てたから縦長に見えたのかも。
それにしてもこのサイズで撮るのは珍しい。
いろいろチャレンジしてるな、グザヴィエ・ドラン!


恵比寿ガーデンシネマが復活してから初の鑑賞。
最初がこの作品で良かった。
満席だったのも良かったし、やっぱりいい劇場だ。
パンフレットが高い! 1000円とは。


<作品概要>
「Mommy/マミー」 MOMMY
(2014年 カナダ 138分)
監督・脚本:グザヴィエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリヴィエ・ピロン
配給:ピクチャーズデプト

2015年4月26日日曜日

[CM] TOYOTA G's Baseball Party


スポーツカーを野球で表現してみた、このCM

トヨタのスポーツカーである「G's」のコンセプトは、

SPORTSCARS for ALL

そのスポーツに国民的競技の野球をチョイスして作成されたのがこのCM。
街中で有名選手がサッカーをするCMは、ナイキやアディダスなどスポーツメーカーのCMでお目にかかっているけど、こちらは街中で野球。
有名選手は出ていないものの、イチローや野茂を思わせる商店街の人々が登場!


クロマティがカメオ出演しているあたりが面白い。

<作品概要>
「TOYOTA G's Baseball Party」
(2015年 日本 3分)
監督:
出演:稲村亜美、ウォーレン・クロマティ
製作:TOYOTA



2015年4月25日土曜日

セッション  WHIPLASH

狂気のセッション

狂気をはらんだ映画は怖い。
そしておもしろい。 疲れるけど。
「ブラックスワン」のような緊張感。
全編にわたってこの緊張感が支配する。

名門音楽院に進学しジャズドラマーを目指すニーマンは、伝説の教師フレッチャーの指導を受けることになるが、鬼コーチの指導は次第に狂気をおび、徐々にニーマンを追い詰めていく。

フレッチャー演じるJ・K・シモンズは、「フルメタルジャケット」の鬼軍曹のごとく生徒を追い詰めていく。この演技でアカデミー賞助演男優賞を受賞したほどの怪演。
そして、それに応えるのは友達もいなくドラムに全てを捧げる孤独な天才ニーマン。
まるで「ソーシャルネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ演じるザッカーバグのよう。
ニーマンを演じるのは、若手俳優マイルズ・テラー。
これからが楽しみ。


そして、音楽。
ドラムのリズムで全編通すのは、「バードマン」に続き、この「セッション」もそう。
名門音楽院の話だけに、全編ジャズのセッションが流れる。
本来、自由なセッションのはずのジャズ。だけど、鬼教師フレッチャーの支配するビッグバンドは、一切のズレは許されない。当然アドリブなんかなし。
ちょっとでもテンポがズレようものなら一気に二軍行き。
「ファッキン、テンポ!!」と怒鳴られる。
観ていてもテンポがズレているかどうかなんて一切分からないけど。(笑)

サントラ版

こういう音楽映画はサントラもいい。
映画の原題になっている「WHIPLASH」とは劇中に練習曲としても出てくる曲で、意味は「首のムチ打ち」。ドラムに熱中するあまりかかってしまう疾病だそう。
もうまさにこの映画そのもの。

そしてこの映画のすごいところが、音楽映画の皮をかぶったサスペンスであること。
狂気をおびた師弟の攻防。音楽を超えたセッションの見応えがすごい。


<作品概要>
「セッション」  SHIPLASH
(2014 アメリカ 107分)
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、メリッサ・ブノワ、ポール・ライザー、オースティン・ストウェル、ネイト・ラング
配給:GAGA

2015年4月24日金曜日

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) BIRDMAN or (the unexpected virture of ignorance)


すごさを出しているのが、このライブ感!

映画らしい映画とでもいうのか、映画でないとできない表現というのか、映画でできることを遊びつくしたというのか、とにかくすごい。面白い。

全編ワンカットかのようなシーンのつなぎ方とか、ドラムベースのテンポで緊張感を保ち続けたり、撮影や音楽の演出も巧い。

「バードマン」というヒーロー映画でかつてスターになったリーガンは、今は落ちぶれて資産も尽きかけているが、ブロードウェイで再起を図った勝負に出る。

監督は、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。はじめて観たのは東京国際映画祭で何の前知識もない状態で度肝を抜かれた「アモーレス・ペロス」。それから「21グラム」や「バベル」など生と死の運命みたいな重いテーマが多いけど大好きな監督。


アカデミー賞では作品賞と監督賞を堂々の受賞。
ちなみに、昨年は「ゼロ・グラビティ」でアルフォンソ・キュアロンが作品賞と監督賞も受賞。この二人はメキシコ出身の同郷仲間で、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロも合わせた三人でチャチャチャ・フィルムズを設立し映画製作を行っている。
二人が連続で受賞してデル・トロもかなりプレッシャーか(笑)

そしてこのキャスティング!
「バットマン」で一世風靡したマイケル・キートンを主役に、そして現在の大ヒットアメコミ作品「アメイジング・スパイダーマン」のエマ・ストーンを助演に添えるあたりとか、振り切ってるとこがいい。
スパイダーマンがちょいちょい出てくるあたりもいい。


それにしても、この映画のすごさを醸し出しているのが、このライブ感!
ワンカットのようなリアルタイムのように進んでいく感じが、舞台っぽい。
そう、ブロードウェイを描いているだけあって、このリアルタイムにアドリブ的に物事が進んでいくようなライブ感がこの映画の持ち味。
(それを演出するために、秒単位の演出で俳優は相当大変だったらしいが、、、)

そしてそれを演出するのがワンカットかのようなこの撮影。
撮影はこのひと、

エマニュエル・ルベツキ

この人、天才!
実は、アカデミー賞は昨年に続き2年連続で撮影賞を受賞している。
昨年受賞したのは、「ゼロ・グラビティ」。
一体どうやって撮影したのかと話題をさらったあの映像。
本作でもやってくれました。


それにしても、宣伝であの背後霊のようなバードマンを見てたのでいつでるのかと気になりすぎてしまい、肩透かし。あまりあのバードマンで煽らないでほしかった、、、


<作品概要>
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
(2014 アメリカ 120分)
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ、リンゼイ・ダンカン、メリット・ウェバー
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:アントニオ・サンチェス
配給:20世紀フォックス

2015年3月25日水曜日

ムーミン 南の海で楽しいバカンス Muumit Rivieralla


海外版らしいアニメーション表現!

この色彩はやっぱり海外のモノ。
あのトーンは日本にはない。
ファミリーでも観れるけど、けっこうオトナ向けな、人生経験を積んだひとの話だったりする。

原作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年を記念して制作された本作。
監督はフランス人のグザヴィエ・ピカール。企画段階ではハリウッドの大手スタジオからも声がかかっていたみたいだけど、手描き表現と芸術性にこだわったピカール監督に白羽の矢が立った。

ムーミン一家は南の海リビエラへバカンスに行くことに。ムーミンとムーミンママをよそにフローレンとムーミンパパは、バカンス地のセレブの御曹司や、貴族とパーティに明け暮れて、気持ちはバラバラに。


フローレンお嬢さんがかなり俗っぽい。そんなキャラだったんだ。
贅沢な暮らしにのめり込んでいくことで、ムーミンたちの普段のスローライフが逆に際立って見えてくる。
豪華なリゾート地の浜辺にあるボートの下に暮らすなんて。
ボヘミアンに憧れる貴族からは褒められるものの結局は彼もその暮らしを受け入れることはできないのだ。

さま〜ずの二人の声優もいい感じだった。


<作品概要>
「ムーミン 南の海で楽しいバカンス」  Muumit Rivieralla
(2014年 フィンランド 77分)
監督:グザヴィエ・ピカルド
原作:トーべ・ヤンソン
出演:(声)高山みなみ、大塚明夫、谷育子、かないみか、子安武人、佐久間レイ
配給:ファントムフィルム

2015年3月24日火曜日

女神は二度微笑む  KAHAANI


新生インド映画を代表するような一作

最近のインド映画は、歌わない、踊らない、2時間くらい、と今までのインド映画の特徴に当てはまらない作品が続々と登場して日本でも公開タイトル数が増えてきている。

あの大勢での一糸乱れぬダンスシーンが癖になっている人には物足りない、というか完全に別ジャンルなのが最近のインド映画。
インドのライフスタイルが変わりつつあるのか、それとも外国輸出を意識してなのかは分からないけれど、レベルが高いことは間違いない。
「マダム・イン・ニューヨーク」、「スタンリーのお弁当箱」、「めぐり逢わせのお弁当」などミニシアターながら日本でもヒット作が多く、「きっと、うまくいく」はその中でもかなりの大ヒットとなった。


妊婦のヴィディヤーは、行方が分からなくなった夫を探しに遠くロンドンからコルカタに訪れる。警察署で出会ったお人好しの警察官ラナとともに独自の捜査を始めるが、誰も夫の存在を知らないという。闇社会の影がちらつき警察上層部からも横槍が入る。一体何が起こっているのか、捜査を進めるにつれ二人は危険に巻き込まれていく。

原題のKAHAANIとは物語の意。
それにしても、よくできた脚本。
さっそくハリウッドリメイクが決まったというのも納得。
最後まで予断を許さない本格的なサスペンスで、今までのインド国産になかったタイプのまさに新生インドを代表するような作品。


インファナルアフェアもそうだったけど、その香港ならではの感じが良かったのだけど、今回もコルカタ(カルカッタ)の雑多な街の感じや民族的な発音の話とか異国を感じさせてくれる要素にみごとにストーリーが溶け込んでいるからいいのだ。


<作品概要>
「女神は二度微笑む」 KAHAANI
(2012年 インド 123分)
監督:スジョイ・ゴーシュ
出演:ヴィディヤー・バーラン、パラムブラト・チャテルジー、ナワーズッディーン・シッディーキー
配給:ブロードウェイ

2015年2月24日火曜日

フォックスキャッチャー  FOXCATCHER


スティーブ・カレルの怖すぎる怪演!

「ノーカントリー」のハビエル・バルデム並みの不気味さ。そして何を考えているのか分からない怖さが全編に渡って最初から最後まで続く。
事件が起こることは分かっているので、それがいつ起こるのか、淡々とした中にもハラハラがある。

監督は「カポーティ」のベネット・ミラー。本作でアカデミー賞にもノミネートされた。

レスリングの金メダリストのマーク・シュルツは、ある日アメリカ屈指の大財閥であるデュポン家のジョン・デュポンに呼び出される。それはオリンピックに向け自らスポンサードするチーム"フォックスキャッチャー"への誘いだった。破格の条件と兄へのコンプレックスで誘いにのるマーク。やがて兄デイブも加わり歯車が狂い始める。


とにかくスティーブ・カレルが怖すぎる!
とても「40歳の童貞男」のひととは思えない。。
コメディ路線から一転、こんな演技もできるんですね。
そして、あんなにわしっ鼻だったっけか?

キャストでいうと、脳みそまで筋肉でできているかのような弟をチャニング・テイタムが好演!? 動き方とかゴリラみたいだった(笑)
そして、シエナ・ミラーは、おばんさん化して最初気づかなかったくらい、、、

マーク・ラファロは、「はじまりのうた」とはまたちょっと違った頼れる先輩で指導者的な兄を見事に演じてアカデミー賞の助演男優賞にもノミネート。
時代を感じさせるファッションやビジュアルも印象的。
とにかく”いい味”を出す、とてもいい役者さん。

それにしても、ジョン・デュポンの闇とは何だったのか?


<作品概要>
「フォックスキャッチャー」 FOXCATCHER
(2014 アメリカ 135)
監督:ベネット・ミラー
出演:スティーブ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、シエナ・ミラー、アンソニー・マイケル・ホール
配給:ロングライド 

2015年2月22日日曜日

はじまりのうた  BEGIN AGAIN


こういう映画が流行るって嬉しい

とにかく、キーラの歌声がキュート!
力んでない自然体な感じの弾き語りは、彼女の新しい一面を見せてくれてとても魅力的。

彼女のファッションも今っぽくて良くて。特に日本では好まれる感じのテイスト。
パンフレットでもファッション誌風におおたうにさんのイラスト付きファッション解説が載っているほど。

最初は全米5館での限定スタートしたもののクチコミで1300館に急拡大! なんとトップ10入りも果たすというすごい人気を博した作品。

ここ最近ヒット作もなくあげくの果てに会社までクビになった落ちぶれた音楽プロデューサーのダンと、ミュージシャンの彼と失恋し音楽の道を諦めかけていたグレタはある夜、ライブハウスで偶然に出会う。二人は新しい未来に向けて自力でアルバム制作を試みる。


監督は、「ONCE ダブリンの街角」(06)でストリートミュージシャンの恋を描いて注目されたジョン・カーニー。
音楽へのこだわりがすごく感じられるけど全然嫌味なところはない。
「あの頃ペニー・レインと」のキャメロン・クロウみたいにいい音楽を上手く活用できる監督として今後も活躍してもらいたい。

お金がないことを逆手にとって、ニューヨークの街角をスタジオに、街の音をバックにアルバムを作るなんてとっても素敵なアイデア。


キーラ・ナイトレイの歌声も良かったけど、
マーク・ラファロのちょっとダメだけど憎めない感じのキャラ感がサイコー。
ジェームス・コーデンの愛嬌あるキャラもいい。
アダムは映画初出演、彼の歌声が劇中で聞けるからファンにも嬉しい演出。

ニューヨークの街角でゲリラロケして街の音と一緒にデモテープを作る。お金がないことを逆手にとっての見事な演出。
こういう音楽愛にあふれた感覚が伝わってくる作品が日本でもヒットしてもらいたい。


<作品概要>
「はじまりのうた」 Begin Again
(2013 アメリカ 103分)
監督:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レビーン、ヘイリー・スタインフェルド、ジェームス・コーデン、シーロー・グリーン、キャサリン・キーナー
配給:ポニーキャニオン 

2015年2月21日土曜日

花とアリス 殺人事件


その時期でしかありえないような空気感がいい

君さ〜
っていう呼び合い方がいい、
それって大人になってからじゃ言わないから。

中学生の花とアリス。
時代設定は前作よりも遡る。
対照的な二人が出会って事件が起こる。
目の前のことが「全世界」な学生にとっての大冒険が始まる。
こういう"青春モノ"っていい。

両親の離婚により転校することになったアリスは、初日からクラスの異変に気付く。
どうやらこのクラスでは以前に殺人事件が起こって、そのいわくつきの席が自分が座ることになった空いていたこの席らしい。
花屋敷に住む隣人は誰なのか? 事件に関係するユダとは? 果たして殺人事件の真相は何なのか? 


それにしても、花のストーカーばりの恋愛観はすごい(笑)
蒼井優なんて特に中学生のイキイキした感じをすごく出していた。二人ともアラサーなのに(笑) さすが役者さん。
前作ではキットカットとコラボしてたけど本作でもちゃんとキットカットが登場。

岩井俊二監督は、長編アニメーションは初。実写をトレースする感じのアニメーションで、"ロストスコープ"という手法。
この制作手法は、タウンワークスのCMで試されている。

音楽もすごく良くて、ヘクとパスカルが担当。
キットカットとのスペシャルコンテンツも配信中。


その年齢の時にしかない輝きを切り取った作品って、ガス・ヴァン・サントの「永遠の僕たち」とか、ソフィア・コッポラの「somewhere」とかいろいろあるけど、どれもいい。
瑞々しい作品たちだ。


<作品概要>
「花とアリス 殺人事件」
(2015年 日本 100分)
監督・脚本・原作:岩井俊二
出演:(声)蒼井優、鈴木杏、勝地涼、木村多江、平泉成、相田翔子、鈴木蘭々、郭智博、キムラ緑子
音楽:ヘクとパスカル
配給:ティ・ジョイ


2015年2月14日土曜日

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ  Fifty Shades of GREY


女子による、女子のためのスタイリッシュなSMラブストーリー

女子が好きそうな禁断ラブストーリーの展開。
全世界で1億人を虜にしたというエロティックでミステリアスなネット発のこの小説(女性原作)を、脚本、原作と全て女性によって映画化。

監督は、若き日のジョン・レノンを描いた「ノーウェア・ボーイ ひとりぼっちのあいつ」を撮ったイギリス人、サム・テイラー=ジョンソン。

若くして巨大企業のCEOとして名をはせるクリスティアン・グレイに学生新聞の取材を申し入れたアナスタシア・スティール。二人は出会ったその日から惹かれあい、支配的なクリスティアンは彼女にアプローチし始める。そして、意外な「契約」を申し出る。


とてもスタイリッシュに描かれた都会のラブストーリー。
だけど簡単に言うと、ドS男に調教される奥手女子。
そして、そのドS男はイケメンで大富豪で完璧なのだけれど、過去のトラウマで恋愛に臆病な体質という母性本能をくすぐるような、少女マンガか韓流ドラマのような展開。

こういうシチュエーションが女子に好まれるのは日本に限らず万国共通なんですね。
原作ではいろいろとバックグラウンドが描かれているのだろうけど、映画ではかなり省略されている感じ。
それに、クリスティアンの過去のトラウマは一体なんだったのか。
スタイリッシュでとてもカッコイイのに、思わせぶりすぎてよく分からなかったのが残念。


それにしても、R15指定ならモザイクはもういらないんじゃないでしょうか。
作品の本来の姿をただただ邪魔しているだけの存在。
いろんな意味でもったいない。


<作品概要>
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」  Fifty Shades of GREY
(2015年 アメリカ 126分)
監督:サム・テイラー=ジョンソン
脚本:ケリー・マーセル
出演:ジェイミー・ドーナン、ダコタ・ジョンソン、ジェニファー・イーリー、ルーク・グレイムス
配給:東宝東和 


2015年2月13日金曜日

トラフィック  trafic


ジャック・タチの遺作 「トラフィック」

ユロ氏がまたまた巻き起こす珍道中。
ジャック・タチの映画ってストーリーだけを見ると大したことはない。
本作もパリの工場からアムステルダムのモーターショーへ移動する、というだけの話だけれでも、ユロ氏がまっすぐ辿り着くわけもなく(笑)

車は故障するし、ガス欠になるし、田舎の修理工の家で一夜を明かし、ワンシーンごとに衣装チェンジする広報ウーマンに引っ張り回され、珍道中は続く。
果たして無事にたどりつけるのか。

この映画が製作された1971年当時急成長を遂げていた自動車業界へのアンチテーゼの意味合いもあってのテーマだったとか。
本来は便利で快適なはずの移動手段である自動車が、大渋滞を巻き起こし、
逆に不快で進まないという皮肉をタチはユーモアを交えて表現したのでしょう。


それにしても出てくる車が今では珍しいクラシックカーばかり。
色といいフォルムといい素敵な車たちが総出演。
そして、ユロ氏がデザインしたというキャンピングカー!
子どものような遊びごころにあふれ素敵な機能が満載。

「007」のボンドカーとはまたひと味違った魅力の車が見どころ。


<作品概要>
「トラフィック」 trafic
(1971年 フランス=イタリア 97分)
監督:ジャック・タチ
出演:ジャック・タチ、マリア・キンバリー、マルセル・フラバル、オレノ・ボステル、フランソワ・メゾングロス、トニー・クレッペル
配給:日本コロンビア  ※日本初公開1995年

2015年2月12日木曜日

トム・アット・ザ・ファーム  Tom a la ferme


グザヴィエ・ドランが描くサスペンス

田園地帯を駆け抜ける1台の車。
画はとてもキレイなのになぜかザワザワする感じ。もうそこからグザヴィエ・ドランの描くサスペンスの世界に入り込んでいる。

カナダの劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの戯曲を映画化した原作モノ。演劇を観に行ったその日になぜ映画化しないんだとその場で映画化のオファーをしたんだとか。

事故で亡くなった恋人の葬儀に出席するため恋人であるギョームの実家に訪れたトムは、弟がゲイであったことを母親に隠し通している兄フランシスに目をつけられる。
ゲイであることを内密にすることを強要され理不尽なフランシスの支配下に徐々に屈していくトム。緊張感のある危ういバランスで物語は進んでいく。


ストックホルム症候群に陥ったようなトム。
サラを呼んでおいてのフランシスをかばってしまうあたりは、ぞぞぞ、と結構ヤバさを感じる。
バーテンダーの話。

そして、最後にお母さんが出てこないあたりがすごく不穏な空気で不安にさせる。

それにしてもホントに25歳?
この感性に影響される人は多いだろうな。


本編の前後に監督本人のインタビューや舞台挨拶の様子も。
計算しているところ感性でやってるとこのバランスがいいのかも。


<作品概要>
「トム・アット・ザ・ファーム」 Tom a la ferme
(2013年 カナダ=フランス 102分)
監督:グザヴィエ・ドラン
原作:ミシェル・マルク・ブシャール
出演:グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナル、リズ・ロワ、エヴリーヌ・ブロシュ
配給:アップリンク