生きかた模索中 いまどき、N.Y女子ライフ
それにしても、「フランシス・ハ」というタイトルはどういうことでしょうか?
フランシスが登場人物なので「ハ」は苗字なんだろうけど、そんな苗字はアメリカにありますか。中国人ならありそうだけど、フランシスは明らかにアメリカ女子。
映画は、まるでそんなタイトルだとは知らなかったと言わんばかりに、苗字には全く触れずに進んでいく。
監督は、ウェス・アンダーソンとタッグを組んで脚本を担当してきたノア・バームバック。監督作の「イカとクジラ」が評判だったのにも関わらず8年ぶりの日本での新作公開。
フランシス、27歳、ニューヨーク在住。ダンサー志望だけどずっと実習生。親友のソフィーとはいつも一緒で家だって二人でシェアしている。恋より親友を選ぶようなフランシスも、周囲が結婚したり身を固め出し、不器用ながらも自分の生き方を模索し出す。
モノクロのニューヨークを疾走するイキイキとした映像は、まるでヌーヴェルヴァーグの映画のように躍動している。 ニューヨークでモノクロだから「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のジム・ジャームッシュかとも思ったけど、音楽や青春っぽさがやっぱりヌーヴェルヴァーグ的。
男にはよく分からない“女子の友情”要素が満載の本作。ノア・バームバックはよくこの脚本書けたなと思ったけど、なんと主演のグレタ・ガーウィングが共同脚本に! それで納得。 というかグレタは主演だけでなく脚本でもその才能を発揮。ますます今後が期待です。
それにしても、あんなに大親友でいつも一緒だったのに、相談もなく他の友達と同居を決めたり、結婚して海外(日本)に行っちゃうとかソフィーもヒドイ。
そのソフィーを演じたミッキー・サムナーは、あのスティングの娘なんだとか。
そして、レヴ役のアダム・ドライバーは、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」で「Mrケネディ」の歌に参加していたアル・コーディ役。
みんな無名と思いきや、売り出し中の若手がそろってる。
あと、この映画で使用される音楽を知っておくともっと楽しめるはず。
※パンフレットより引用
♪ Camille / Georges Delerue
「私のように美しい娘」(フランソワ・トリュフォー監督)
♪ King of Hearts La Pavane Polka・King of Hearts Le Repos / Georges Delerue
「まぼろしの市街戦」(フィリップ・ド・ブロカ監督)
♪ L'ecole buissoniere / Jean Constantin
「大人は判ってくれない」(フランソワ・トリュフォー監督)
♪ Domicile Conjugal / Antoine Duhamel
「家庭」(フランソワ・トリュフォー監督)
♪ Modern Love / David Bowie
「汚れた血」(レオス・カラックス監督)
♪ Negresco's Walts / Georges Delerue
etc
“不器用で大雑把だけどチャーミングな彼女”という映画紹介の一文でフランシスを表現する言葉がそのままヒントになっていた「ハ」という名前の謎が最後になって明らかに(笑)
ノア・バームバック監督はやっぱり面白い。日本未公開が多いのが残念。これを機に未公開分も観れるようにしてほしい。
<作品概要>
「フランシス・ハ」 FRANCES HA
(2012年 アメリカ 86分)
監督:ノア・バームバック
脚本:ノア・バームバック、グレタ・ガーウィング
出演:グレタ・ガーウィング、ミッキー・サムナー、アダム・ドライバー、マイケル・ゼゲン、パトリック・ヒューシンガー
配給:エスパー・サロウ