モダンな家で起こった密かな事件
赤い屋根のモダンな家での暮らしぶりがいい。戦前のまだ戦争に突入する前の、のんびりとした雰囲気がレトロな感じでとてもよく演出されている。家族の話を描かせたら日本随一の名匠山田洋次監督が見事に仕上げ、泣かせてくれる。
黒木華は本作で見事、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した。
昭和11年(1936年)、田舎から出てきたタキは、女中として丘の上の赤い屋根のモダンな家で働きはじめる。家の主人は玩具メーカーに勤めるビジネスマン。ある日、部下で若手の社員・板倉が家に訪れ、妻・時子と親しくなっていく。やがてその仲が段々と親密なものになっていき。
レトロな感じがいい。松たか子は、品があるから時代設定を超えて“良いとこの奥さん役”はよくハマる。着物の着こなしから髪型までしっくりきてた。
吉岡秀隆も、「ALWAYS 三丁目の夕日」に続き昭和の匂い全開。昭和初期のインテリ風がよく似合う。「風立ちぬ」の実写版があれば間違いなく堀越次郎だろう。
その中で、黒木華は田舎から出てきた素朴な感じと、まじめで一生懸命な性格がよく出ていた。ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞できたのも、そのあたりが海外の人たちにしっかりと伝わったということだ。
話の内容的には、「家政婦は見た」(笑)
その家政婦が晩年、孫に語った回顧録として戦前のモダンな家で起こった秘事が物語となっていく。戦争直前の日本というと殺伐として暗いイメージだが、それは敗戦直前。この映画だと戦争勃発時は結構のんびりとした雰囲気だったりする。この時期の描き方としては意外と新しいかもしれない。
それと、山田洋次監督のもとに集まった蒼々たる顔ぶれのキャスト陣。 とにかく豪華。三谷幸喜監督のような、エンターテイメント的なキャスティングではなくて、もっと地味なんだけど、どの役にもそれなりの俳優さんがキャスティングされていて、終わってキャストをみるとビックリという感じ。
みごとなキャストのアンサンブルで安心して泣ける映画。
<作品概要>
「小さいおうち」
(2014年 日本 136分)
監督:山田洋次
原作:中島京子
出演:松たか子、片岡孝太郎、黒木華、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、林屋正蔵、ラサール石井、あき竹城、松金よね子、笹野高史、小林稔侍、夏川結衣
配給:松竹
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