2014年4月13日日曜日
Peace
相田流ドキュメンタリー「観察映画」の老老介護
「選挙」(2007)、「精神」(2008)に続く、相田和弘監督による観察映画第三弾。 ナレーションや音楽を排し、リサーチや台本もない、相田監督独自のスタイル。それが“観察映画”。演出を一切なくすことで、対象のリアルな部分があぶり出される。
今回の“観察”の対象になるのは、相田監督の奥さんの実家である柏木家。そこに暮らすネコたちと、ボランティアに近いヘルパーとして過ごす柏木夫妻の日常を見つめる。
自宅の庭で近所のネコたちに餌付けをする夫・柏木寿夫、最近はどこからか来た“よそもの”の野良猫がまぎれこみ、エサを奪うように。それまでの秩序が崩されてしまい悩みのタネに。
妻・柏木廣子は高齢者や障害者向けのヘルパーのNPOを運営するが、最近は国の福祉予算が削減されるのが悩みのタネに。
身寄りのない一人暮らしの老人宅へ安否確認の日々。
ヘルパーとして91歳の老人を介護するものの、その当人が70歳を超えている。これがいまの日本現実。老老介護の実態をリアルに目撃することになる。
「平和」と「共存」のヒントを題材に、選んだ撮影場所が奥さんの実家。一番身近な日常の場を選んだ。 相田さんの選ぶ題材はいつも面白い。選挙もそうだし、精神科もそう。タブーと言われようがそこに本質が見いだせそうなところ選ぶ嗅覚。一切の演出を排するため、対象の質が重要だ。何が起こるか分からないし、何も起こらないかもしれない。ドキュメンタリー作家の真髄が問われる。
ネコだってちょっとしたことで、いままでの秩序はくずれてしまう。
「平和」と「共存」を問いかける。
<作品概要>
「Peace」
(2010年 日本=アメリカ=韓国 75分)
監督:相田和弘
出演:
配給:東風
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