2014年4月16日水曜日

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅  NEBRASKA


偏屈なボケ老人とどこまでも気のいい息子のちょっぴり心あたたまるロードムービー

ブルース・ダーンは本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。カンヌ映画祭では男優賞を受賞。ちょっと間を置いて「は?」と聞き返すあたり、かなり熟年の演技力を感じる。終盤は「は?」言うたびに笑いそうになる(笑)
その他にも、作品賞、監督賞、助演女優賞(ジューン・スキップ)、脚本賞、撮影賞など主要部門でノミネートされた。

ニセ宝くじの当選ハガキを信じて100万ドルの賞金を受け取りに遥々ネブラスカ州リンカーンに行こうとする半分ボケた父に付き合い、疎遠だった息子は、1500kmの旅に出る。途中で立ち寄った生まれ故郷で、昔なじみの仲間たちに100万ドル当選の話をしてしまったことで一躍時の人に。トラブル続きの二人だが旅を通して次第に心を通わせていく。


賞金目当てで寄り添ってくる者が出てきたり、変な親戚が集まったりと、ひとくせもふたくせもある個性的なキャラクターが次々と登場する。田舎の人間くささが満載なのもアレキサンダー・ペインの特徴かもしれない。「サイドウェイ」でも「ファミリー・ツリー」でも変な親戚や登場キャラが、かき回し、それでいて最後には絆が深まっていく。
そんな“アレキサンダー・ペイン流”が見事に、そして静かに物語を進める。


アメリカの田舎町(今作での中西部)は、保守的だったりする。
それを体現していたのが「車」にまつわるエピソード。息子のデイビッドが乗るのは、燃費が良くてコンパクトな日本車(SUBARU)だ。だけど田舎に住む従兄弟たちは、日本車や韓国車をバカにする。(確か、ジャップカーと言っていた) そんなところに現代的な価値観と田舎で保守的な価値観との差が車で表現されていた。

だけどアメリカ人にとって、車は足のようなもの。実用的なアジアの車よりも、燃費は悪くても強くて丈夫なアメリカを象徴するようなアメ車に特別な思い入れがあるのだろう。


最後、新しいピックアップトラックでこれ見よがしに街を走るウディの姿は、それを想いっきり体現している。大逆転の一発だ。


<作品概要>
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」 NEBRASKA
(2013年 アメリカ 115分)
監督:アレキサンダー・ペイン
出演:ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキップ、ステイシー・キーチ、ボブ・オデンカーク、アンジェラ・マキューアン
配給:ロングライド


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