2014年4月17日木曜日
夢は牛のお医者さん
ボーイ・ミーツ・ガールならぬ、ガール・ミーツ・うし!
ひとりの少女が牛を愛するあまり、「牛のお医者さんになりたい!」という夢をもち、それに向かって真っすぐに生きていく、26年間を追ったドキュメンタリー。
元々はTeNYテレビ新潟で、山間の小さな集落の小さな学校に“入学”した3頭の牛と、それを世話する生徒たちを追った番組だった。
その生徒のひとり、高橋知美さんはその経験がきっかけで、獣医になる夢を持つ。しかし、獣医になるにはいい学校に行き、専門の大学に行き、国家試験を通らなければならない。彼女の決意を知った監督も、彼女の夢を一緒に追うことを決意する。
もう、涙が止まらない! 小学校生が牛を世話して、大きくなったら出荷して涙のお別れ、というだけで泣ける内容なのに、それはこの映画ではプロローグ。
その経験で「牛のお医者さんになる」という夢を持った少女、高橋知美さんは、誕生日にお父さんにおねだりして買ってもらったのは、なんと「牛」(笑)
そのくらい牛を愛する純粋で真っすぐな少女。
この小学校の取材以来、監督は彼女の“夢”を忘れていた。
久しぶりに連絡をとったところ、新潟県でも有数の進学校に通う知美さんに会い、勉強に励むため「高校3年間はテレビを見ない」と決めて、獣医学科のある難関の国立大学
を目指す彼女がそこにいた。その決意が本物であることに刺激を受け、彼女の夢を見届けることを監督自身も決意したのだとか。
彼女を追った番組は、たびたびテレビでも放映され、その度に反響が大きかった。あの徳光さんを「泣きの徳光」にさせたのが、当時ズームインで放送されたこの『牛の卒業式』。彼女のひたむきな生き方に「元気をもらう」「勇気づけられる」などのコメントも多数寄せられていた。東日本大震災を経て、映画という形に変えて全国の人たちにこの感動を届けたいと地方ローカル局発のドキュメンタリー映画が紆余曲折を経て誕生した。
それにしても、これはリアル「銀の匙」。
本編でも繰り返される家畜は経済動物という表現。命の値段が決まっていて、価値以上の経費はかけられない。動物が好きなだけではダメで、そんなリアルな現実とも向き合っていかなくてはならない姿がより感動を生む。
ナレーションはAKB48の横山由依、本作でナレーション初挑戦となり、京都弁を封印してしっかりと落ち着いたナレーションで映画を演出した。
エンディング曲は、荒井由美の名曲「卒業写真」を新潟県で活躍するオトノハコの演奏でアーティストUruがカヴァー。いろんな意味で新潟県産の映画だ。
最近は地方発のドキュメンタリーが増えてきているけど、良質なものも多い。大きな予算がかけられない分、ドキュメンタリーになることが多いのだと思うけど、良い作品はドンドンと出てきてもらいたい。
<作品概要>
「夢は牛のお医者さん」
(2014年 日本 86分)
監督:時田美昭
出演:丸山知美(旧姓:高橋)
ナレーション:横山由依(AKB48)
製作:TeNYテレビ新潟
配給:ウッキー・プロダクション
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