2014年4月20日日曜日
ある過去の行方 THE PAST
ストーリーテリングの巧さに驚き!のサスペンス
とにかくストーリーテリングが巧い!
時間軸で物語は進行していくけど、話の内容としてはどんどん過去に遡っていく。ある地点から話は始まるが、説明は一切ないまま物語は進行していくため、登場人物の会話から今どういう状況なのかを推測するしかない。その演出の仕方がたまらなく巧いのだ。もう観ていてその映画作りの技術の高さに感心してしまうくらい。
そして、昼ドラのように愛情と憎しみがもつれ合う複雑な人間関係が浮き彫りになっていく。
妻との離婚手続きのため、4年ぶりにパリに戻ってきたアーマド。妻の自宅に泊まることになるが、そこには妻・マリー=アンヌの新しい恋人サミールの息子もいて新しい生活を始めている姿があった。だがどことなく、不穏で円満でない空気があり、そして、長女リシューの告白により、隠れた過去と真実が次々と明るみになっていく。
監督は、イランの新鋭アスガー・ファルハディ。本作が長編6作目。まだ若干41歳なのに若手とは思えない、熟練監督のような見事な作品づくり。前作の「別離」(2011)もかなりの傑作。これまでにもベルリン国際映画祭などで受賞している。
本作は、フランスで製作されているフランス映画。主演はアルゼンチン出身のベレニス・ベジョで、あの「アーティスト」の女優。
昼ドラのように男女の人間関係が愛と憎しみの中で絡み合う。 日本人的には見ていてちょっと分かりづらいけど、フランス社会の中で、イラン人である元夫アーマドに替わる新恋人が、またまた中東系の容姿となると、タイプなのか未練なのかということがその時点で推測される。 外国映画だとなかなかそこに気づきにくいのが残念。。
でもサミールが出てくる前は、彼の息子しか出てこず、息子フアドはいかにもフランスの子どもなのでその時点は想像できないかも。 それにしてもフアド役の子はよかった。あのわがままボーイぶりは最高だった。長女のリュシー役のポリーヌ・ビュルレも負けずといい。マリオン・コティヤールのような魅力を持っている。
それにしても、いい作品だ。
<作品概要>
「ある過去の行方」 THE PAST / Le Passe
(2013年 フランス=イタリア 130分)
監督:アスガー・ファルハディ
出演:ベレニス・ベジョ、タハール・ラヒム、アリ・モッサファ、ポリーヌ・ビュルレ、ジャンヌ・ジェスタン、サブリナ・ウアザニ
配給:ドマ、スターサンズ
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