2013年10月2日水曜日

わたしはロランス  LAURENCE ANYWAY


本当に24歳? 新鋭グザヴィエ・ドラン!

10年にも渡る複雑過ぎるふたりの恋愛叙事詩。ただでさえややこしい恋愛事情に加え10年もの歳月を描くのにはある程度の経験がいるはずなのに。
グザヴィエ・ドラン。24歳にしてカンヌの常連。ガス・ヴァン・サントをして「グザヴィエの作品の大ファン」と言わしめる。監督・脚本だけでなく、プロデューサー、出演、編集、アートディレクションなど多才ぶりを発揮する間違いなく天才。

ロランス、35歳、イケメン。彼女のフレッドと同棲中。アントニオ・バンデラスをすっきりさせたようなベリーショートヘアがよく似合う男前。彼女のフレッドは歌手のAIをちょっと年取らせた感じ。仲睦まじいふたりだったが、ある日、ロランスは告白する。「女になりたいんだ」と。フレッドは激しく動揺するも、そんなロランスを受け入れ、応援し、一緒にいることを決意する。


ロランスは性同一性障害なのだ。
男性として生まれたけれど自分の中には女性の自分がいて、それを隠していることに耐えられなくなる。だけどフレッドのことは愛している。そしてイケメン。ん〜、複雑。
ロランスは女性として生きることを決意しフレッドは応援する、なんだかイベントごとのように明るく振る舞い、初めて女装して職場に向かう日を過ごす。その職場とは、なんと学校!(ロランスは教師なのだ) 女装初日、生徒で騒がしい教室にロランスが入ってきたときのあの空気感、そして間。更に女生徒が質問の手を挙げて・・・(笑) このあたりの展開、すごく巧い。



明るく振る舞うも実際は苦悩に耐えきれなくなるフレッド。カフェで失礼なウエイトレスに不満と想いをぶちまけるシーンは圧巻。この女優さん(スザンヌ・クレマン)、最初はおばさんっぽい印象だったけど、映画の最後にはとてもチャーミングな女性に思えた。
この他にも、涙があふれる場面でソファの上から滝ように水が降ってきたり、ふたりの幸せに満ちた逃避行の場面では、カラフルな服が舞う「(500)日のサマー」に匹敵する名シーンなど演出のみどころが多い。
複雑過ぎる状況でいかに愛せるか、究極のラブストーリーなのだ。

Xavier Dolan

音楽にもすごくこだわっていて、劇中にもPVになっている部分もある。
公式ページで見ることができます。
それにしても、すごい才能が出てきてものだ。

ポスターと実際映画を観た印象が大分違ったんだけど、国よってポスターのクリエイティブが全然違うのが面白い。

アメリカ版

ドイツ版

台湾版

<作品概要>
わたしはロランス」  LAURENCE ANYWAY
(2012年 カナダ=フランス 168分)
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:メヴィル・プポー、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ
配給:アップリンク

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