2014年12月19日金曜日

紙の月  Pale Moon


音楽の使い方が絶妙! little moaの楽曲が映える映画

吉田大八監督。やっぱり映画作りが巧い。
普通の主婦が、なぜ巨額の横領事件を起こしたのか?
一見地味な内容だけど、宮沢りえをとてもキレイに撮っていて、ファッションも良くてテンポがいいから最後まで飽きさせない。

一見は何不自由ない暮らしの梨花だが、夫とすれ違う日々の中、年下の大学生の光太と出会い親密になっていく。ある日、顧客から預かったお金を1時的に借りてしまう。最初は1万円だけだった。しだいに梨花は横領を繰り返すようになる。何かが吹っ切れたように。

原作は人気作家の角田光代の同名小説。
犯罪事件だけどお金というより、男と女のロマンスにフォーカスしている。


年下大学生の池松壮亮との関係が急するぎるけどそこはご愛嬌。
あのホームからゆっくりと降りてくるシーン。
実に映画的。
そして、little moaの曲がかぶさる。
あのシーンはサイコーにかっこいい!

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコの「Femme Fatale」が主題歌っていうことで目立ってますが、この映画の音楽は、little moaでしょ。

映画「紙の月」オリジナル・サウンドトラック

それにしても、宮沢りえがキレイ。
最近は舞台などでも評価が高く、アラフォー女優として輝いている。

劇中のファッションも良かった。銀行員としての地味な制服とそこに羽織る同じネイビーの上着が清楚でオシャレで、制服姿の中で他の行員との違いがさりげなく演出される。
私服もシンプルなモノトーン調が基本。

だけど、ホテルでの豪遊を決め込んだ日。
待ち合わせのリゾート風の帽子姿は、ハッとするほどエレガント!
それまでが地味だっただけに、エレガントさが際立つ。

「トニー滝谷」の時もそうだったけど、こういう透明感があって、品がある人物像やファッションに宮沢りえはよく映える。
休日に繰り返すデートの時も、ファッションはカラフル。家庭にいる時との対比が服装にすごく現れている。


やりたいことをやり切った主人公と対極の軸として描かれるのが小林聡美の役どころ。
やりたいことが見つけられずに、冒険などせずに日々を過ごしている。
破滅するほど相手にそそぐのは、相手のためなのか、自分のためなのか。
それでも甘えを増長させて、結局は相手のためにはならない。

なんだかんだ犯罪はいけません。
最後、エンドロールが白かった。それも新鮮。


<作品概要>
紙の月」  Pale Moon
(2014年 日本 126分)
監督:吉田大八
原作:角田光代
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美、平裕奈
配給:松竹

2014年12月17日水曜日

ゴーン・ガール  Gone Girl


結婚てば、おそろしい、、、 フィンチャー節のサスペンス

サスペンスと言えば、どんでん返し。
だけど、「そうきたか」となるあたりが、フィンチャー節が効いているところ。
ただのどんでん返しではありません。
2時間オーバーだけど、緊張感を持続させられるテクニックはスゴい。

愛する妻の失踪。
理想の夫婦に、ある日突然おとずれた事件。
荒らされた形跡。次々に浮かび上がる新しい事実。その先にある真実は何なのか。

すぐに記者会見したり、辛口コメンテーターにボロクソに言われたり、自撮されて画像をバラまかれたり、アメリカのマスコミの過熱ぶりなどシニカルなメッセージもあったりする。

そして、この展開。
期待を裏切らせない、見事な起承転結。
それにしても、女性てば、結婚てばおそろしい、、、


<作品概要>
ゴーン・ガール」  Gone Girl
(2014年 アメリカ 148分)
監督:デヴィット・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ
配給:20世紀フォックス

2014年12月13日土曜日

[CM] cybozuのショートムービー「大丈夫」


サイボウズのショートムービー第1弾は働くママを応援!

働くママたちのインサイトを強烈に捉えた見事なショートムービー。たちまち共感を得て話題に。

子育てと仕事の両立に格闘し、疲弊しながらも懸命に毎日を生き抜く姿を描いたのは、自身も母であるCMディレクターの
川島永子。クリエイティブ監修は、日清カップヌードルの「hungry?」シリーズでも有名な中島信也。
主演は、こちらも1児の母として働く女優・西田尚美。
今どきの働く母を等身大で体現してみせた。


クラウドサービスのcybozu社は、自社サービスを活かして在宅でも仕事ができる環境づくりを訴求する広告として、このショートムービーを制作した。


<作品概要>
「大丈夫」
(2014年 日本 3分)
監督:川島永子
クリエイティブ監修:中島信也
出演:西田尚美
制作:東北新社
製作:cybozu

2014年12月5日金曜日

2014年 映画(洋画)興行収入ランキング TOP10


早くも2014年の「映画興行収入ランキングTOP10」の洋画部門が発表!

1位はもちろん、あの作品。

1位 「アナと雪の女王」(ディズニー) / 3/14公開 / 254.7億円



2位 「マレフィセント」(ディズニー) / 7/5公開 / 65.3億円



3位 「GODZILLA ゴジラ」(東宝) / 7/25公開 / 32億円



4位 「ゼロ・グラビティ」(ワーナーブラザース) / 2013年12/13公開 / 31.8億円



5位 「アメイジング・スパイダーマン2」(ソニーピクチャーズ) / 4/25公開 / 31.2億円



6位 「トランスフォーマー/ロストエイジ」(パラマウント) / 8/8公開 / 31.2億円



7位 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(ワーナーブラザース) / 7/4公開 / 15.7億円



8位 「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(20世紀フォックス) / 9/19公開 / 14.2億円



9位 「ホビット 竜に奪われた王国」(ワーナーブラザース) / 2/28公開 / 14億円



10位 「ノア 約束の舟」(パラマウント) / 6/13 / 13.7億円



「アナと雪の女王」は圧巻の1位。
日本映画の歴代興収をみても堂々の3位。
2位タイタニックが272億円なのでもう一息ということろまで迫る大健闘。
この一作品で今年の興行を引っ張ったといっても過言ではない。

2位の「マレフィセント」は「アナ雪」上映館での大量CM投下で、ディズニーのお姫様モード効果がダイレクトに興行に結びつき、大ヒット。
アンジーなど人気キャストではあるけれど、これは「アナ雪」効果と宣伝の勝利。

「ゼロ・グラビティ」は昨年公開からで大健闘。
シリーズものが多い中、オリジナル作品でここまでの大ヒットは嬉しい。

2014年12月4日木曜日

映画ポスターの巨匠 野口久光


昔は全て手描きだったポスターのグラフィック

映画のポスターに限らず、映画館の看板も昔は職人さんによる手描きが一般的だった。
中央線の青梅駅には、手描きの映画ポスターが駅に展示されていて、レトロな印象を今に残している。

その映画ポスターを1000枚以上手がけたのが、グラフィックデザイナーの野口久光氏。
元々、映画会社の社員として洋画ポスターのデザインをずっと手がけてきた。

数々の名作のポスターを手がけてきたが、代表作は、監督のトリュフォーをも魅了したという「大人は判ってくれない」。(実際、「二十歳の恋」の中で「アントワーヌとコレット」の小道具として使われている)

たしかに文芸座など名画座や、映画本でよくお見かけしてました。

その他、代表作としては、
「天井桟敷の人々」
「第三の男」
「禁じられた遊び」
「嘆きの天使」
「巴里祭」
など



日経新聞の記事で知ったけど、今年は野口氏の没後20年なのだとか。
彼のポスターのコレクターである根元隆一郎さんは、ポスターの展示会を企画するも当初は受け入れられなかったが、なんと今年、2014年3月にパリのシネマテークフランセーズで実施。本場のうるさい批評家たちにも絶賛されたのだとか!

現在は、京都で展覧会を実施中。
この展覧会、ぜひ全国をまわってもらいたい。


<実施概要>
主催:京都市、京都文化博物館、朝日新聞社
監修:根本隆一郎
企画協力:NPO法人 1古き良き文化を継承する会
期間:2014年10月7日〜12月7日まで京都文化博物館
会場:京都文化博物館

2014年12月3日水曜日

第15回東京フィルメックス 受賞結果  TOKYO FILMeX 2014  


アジアの新鋭監督を発掘する映画祭

11月22日から30日までの9日間開催。
コンペティション部門の9本中5本が監督長編第1作、2本が2作目というフレッシュな顔ぶれ。
「アジアの新鋭監督を発掘する」というコンセプト通りのラインナップとなった。

審査委員長はジャ・ジャンクー。
オープニング作品は、塚本晋也監督の「野火」。
特別招待作品は、アモス・ギタイ、モフセン・マフマルバフ、ツァイ・ミンリャン、キム・ギドク、、、そうそうたる顔ぶれ。

東京国際映画祭よりカラーがハッキリしていてかなり潔い映画祭。


<受賞結果>

◉最優秀作品賞
クロコダイル」(フィリピン) Crocodile / Bwaya
監督:フランシス・セイビヤー・パション













◉審査員特別賞
彼女のそばで」(イスラエル) Next to her
監督:アサフ・コルマン











◉スペシャル・メンション
シャドウデイズ」(中国) Shadow Days / 鬼日子
監督:チャオ・ダーヨン














◉観客賞
プレジデント」(グルジア=フランス=UK=ドイツ) The President
監督:モフセン・マフマルバフ












◉学生審査委員賞
「彼女のそばで」(イスラエル) Next to her
監督:アサフ・コルマン












<開催概要>
第15回東京フィルメックス」 TOKYO FILMeX 2014
主催:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
共催:朝日新聞社、J-WAVE、テレビ朝日
期間:2014年11月22日(土)〜11月30日(日) 9日間
会場:有楽町アサヒホール、TOHOシネマズ日劇
助成:芸術文化振興基金、カナダ大使館

2014年12月2日火曜日

フューリー  FURY


戦車が主役!

ブラッド・ピットが主演と製作総指揮を務める本作。ブラピは、脚本を読んですぐに出演を決めたのだとか。
そんな本作の企画を発案したのは、監督・脚本のデヴィッド・エアー。元軍人という異色の経歴で、トレーニング・デイ」、「S.W.A.T」などの脚本やシュワちゃん主演の「サボタージュ」の監督をしている。その作品群をみるとなんとなくそのキャリアが伝わって面白い。

1945年、ドイツ戦線。終戦間際の時期にナチス・ドイツの猛烈な抵抗の中、FURYと銃砲にペイントされた戦車に乗り込む、コリアー軍曹のチームは、欠員に戦闘経験ゼロの新米兵を加入させ、危険な作戦に挑んでいく。

戦闘シーンの臨場感はすごい。
“戦車”にフォーカスしたところが新しい。戦車同士の戦闘シーンは手に汗握る。しかもドイツ軍のティーガーという戦車は装甲が厚く、味方の銃弾を全部跳ね返してしまう。


監督のこだわりで、ヨーロッパ中のコレクターから“ホンモノ”の戦車を借り受けて、英国ボービントン戦車博物館所蔵の世界にたった一台のティーガー戦車も撮影に使用した。
戦車内の細部にこだわるところが戦車マニアにも必見のポイント。

それと、気になったのが銃弾の軌道。
銃弾の軌道が色づけされて鮮明に描かれているんだけど、敵と味方でその“色”が違う!
味方は赤い軌道で、敵は緑色の軌道になっている。
この演出によって激しい銃撃戦の中でも撃っているのか、撃たれているのかの状況は瞬時に分かる。

他にはない初めての演出ではないだろうか。
だけど現実とは違うその“分かりやすさ”は逆にゲームっぽい印象を与えてしまい、リアルな戦争という生々しさの邪魔をしてしまう気もした。


新米兵を演じたのは、ローガン・ラーマン。
どこかで見たことがあると思っていたら「ウォールフラワー」のチャーリーだった。
ウブで汚れを知らないその雰囲気は荒くれ者ぞろいのFURYのチームでいいアクセントになっている。

キャストでは、シャイア・ラブーフも出ているが、クリント・イーストウッドの息子のスコット・イーストウッドもさりげなく脇役で出ていたりする。

それにしても、50代とは思えないブラピの肉体美は素晴らしい。


<作品概要>
フューリー」  FURY
(2014年 アメリカ 135分)
監督:デヴィット・エアー
出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス、スコット・イーストウッド、アナマリア・マリンカ、アリシア・フォン・リットベルク
配給:KADOKAWA

2014年11月29日土曜日

駆ける少年  Davandeh


駆ける!吠える! 少年アミル

傑作と言われながらなかなか鑑賞できる機会がない本作。
監督は、イランの鬼才・アミール・ナデリ。日本でも西島秀俊主演で「CUT」という作品を撮っていたりする。その監督の原点とも言えるのがこの「駆ける少年」(1985)。貧しい子どもたちの底抜けに明るい姿が震災後の暗くなってしまった日本へのメッセージの意味もあり、2013年に劇場公開された。

1970年代初頭。ペルシャ湾沿いの港町で暮らす孤児のアミルは、空きビンを集めたり、靴磨きや、コップ一杯の水を販売しながら生計を立てている。貧しく厳しい環境ながら仲間とともに毎日を精一杯、元気に、逞しく生き抜いていくアミルたちの姿を描く。

とにかく子どもたちが元気でよく駆ける! そしてアミルは吠える(笑)

この映画が製作されたのは1985年。
イランではちょうどイラン・イラク戦争の真っ最中で、国中が暗い雰囲気の中でこの映画は作られた。
そして、多くのイラン国民がこれを観て、貧しくも元気で逞しく明るい未来に向かって生き抜く少年たちの姿に心を打たれ、元気を取り戻したのだとか。


1杯の水代をもらい損ねてどこまでも自転車に乗った大人を追いかけていき、ついには追いつきお代をちょうだいするアミルのあの根性はすごい。

そしてお代をもらっときのあの笑顔。
水代をケチって“飲み逃げ”した上に子どもに追いつかれ、しぶしぶ支払うも満面の笑みという一切の嫌みがないオトナな対応で返されるという、あの最悪すぎるおっさんのバツの悪そうなシーンとかも面白い。


子どもが主人公、さらに素人の子どもを巧みに演出して起用するという展開は、イラン映画のお家芸。
バイオレンスやセックス、ドラッグといったハリウッドではヒット要素が一切NGという規制の多い環境で発展したイラン映画は、やさしく、普遍的で教育的な内容が多い。

その中で、この作品の力強さは、完全に他のイラン映画とは一線を画している。
ナデリ監督の溢れ出すエネルギーや衝動が、その規制の中ではちきれそうになっている。

だから、外国で映画を作るとあんなにすごいの作っちゃうのでしょう(笑)


<作品概要>
「駆ける少年」  Davandeh
(1985年 イラン 91分)
監督:アミール・ナデリ
出演:マジット・ニルマンド、ムサ・トルキザデエ、アッバス・ナゼ
配給:「駆ける少年」上映委員会

2014年11月27日木曜日

島の色 静かな声


ゆっくりと流れるそこだけの時間

染織家、石垣明子さんとその夫で三線奏者の金星さんに寄り添ったドキュメンタリー。
西表島でマイペースに昔からのスタイルで暮らす夫婦をみていると本当に自由を感じる。
とても自由でとても豊かな時がそこにはある。
そんな体験ができる不思議なドキュメンタリー。

夏の夜に星空の下で観てみたい作品。

監督は、茂木綾子。もともとは写真家で、現在は旦那さんとともにノマドスタイルで世界を巡る映像作家。
その旦那さんは本作でも撮影に参加しているベルナー・ペンツェル。茂木監督が自身のビデオ作品のことでヨーロッパまで会いに行ったことがキッカケで意気投合し結婚。現在はノマド映像作家夫婦として淡路島に在住なのだとか。


監督はもともと、志村ふくみさんを被写体に映像を撮ろうと思っていたところ、ご本人が高齢を理由に辞退されて、石垣明子さんにたどり着く。(石垣さんが志村さんの弟子だったというのは後から知ったらしい)

とにかく映像がキレイ。
そしてこの夫婦に焦点を当てたことが正解。沖縄・西表島に流れる独特のゆったりとしたとても豊かな時間が流れていく。
途中に都会の風景が差し込まれるのでその対比で"ゆったり時間”が際立つ。
逆に都会の映像は見慣れているはずなのに息苦しく感じるのはなぜだろう。


石垣夫妻のコメントもいい。
誰かのために織ると心がこもり、それは相手にも伝わる。
そういうモノ作りをしていきたい、と。
現代の大量生産には耳が痛い話。


そして、金星さんの歌がいい。
「ピースでは〜、強すぎて〜♪」
サイコーだ(笑)


<作品概要>
島の色 静かな声
(2008年 日本 75分)
監督:茂木綾子
出演:石垣明子、石垣金星
配給:silent voice

2014年11月24日月曜日

[CM] GAPのショートフィルム デヴィット・フィンチャー


GAPの2014年秋キャンペーンのCMを映画監督のデヴィット・フィンチャーが制作

「Dress Normal」
というスローガンで展開される秋キャンペーンの一環で、前編モノクロのスタイリッシュなショートムービーが4本公開。

カッコいい映像美をつくらせたらホントにすごい、鬼才デヴィット・フィンチャーがお届け。
カッコいいけど、ちょっと可笑しい。そんなユーモアのある4作品。

▼「Stairs」
階段を駆け上がる男の先に待つものは...




▼「Drive」
ずぶ濡れの女性が車中でとった行動は...




▼「Golf」
ゴルフの練習場、集中したいところだが...



▼「Kiss」
恋人とのキスも...



なんともオシャレで絶妙!
「ソーシャル・ネットワーク」や「ファイト・クラブ」といったダークトーンな作品を撮った監督とは思えない、オシャレ感とユーモアが絶妙。

CMを作ったのは、NIKEなどを手がけるクリエイティブエージェンシー、ワイデン&ケネディ ニューヨーク(Wieden+Kennedy New York


<作品概要>
「Dress Normal」
(2014年 アメリカ 45秒)
監督:デヴィット・フィンチャー
出演:
制作:ワイデン&ケネディ ニューヨーク
製作:GAP

2014年11月23日日曜日

エヴァンゲリヲン新劇場版:Q


スゴすぎる庵野監督の世界観!

はっきり言って全く意味は分からない。
デヴィト・リンチのような分かりそうで分からない感が激しく、内容からは置いてけぼりをくらってしまうが、観客の期待や予想を裏切りまくるその展開はスゴすぎる。

とにかく説明が全然ない、なぜ急に14年後なのか、いったい何が起こったのか、結局どういうことなのか、謎は一切解決されないまま物語は進む。

前作から14年後の世界。ニアサードインパクトが起こり、ネルフと敵対する組織ヴィレの指揮官である葛城ミサトは、アスカ、マリとともに初号機に搭乗するシンジの奪還を試みる。


結局解決されないだろう。この謎。
でもそれこそが「エヴァンゲリオン」の魅力。
何よりも、庵野監督の創り出す世界観こそが最大の魅力ポイント。

ファンの間で、いろいろと憶測が飛び交い、様々な解釈がなされ、それによって盛り上がることができるのがエヴァのスゴさだ。

4部作の最終章がどういう形で締めくくられるのかはすごく楽しみ。
来年2015年は、エヴァの舞台設定の年であるとともに、エヴァ20周年の年。
このメモリアルイヤーに最終章が公開されるのかどうかも最大の関心どころ。


<作品概要>
エヴァンゲリオン新劇場版:Q
(2012年 日本 95分)
監督:庵野秀明
出演:(声)緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山口由里子、石田彰、立木文彦、清川元夢、
配給:ティジョイ、カラー


2014年11月22日土曜日

[短編] レクサスのショートフィルム LEXUS SHORT FILMS 2014


レクサスが新鋭監督による2本のショートフィルムを発表。

“Life is Amazing”を掲げるレクサスが、クエンティン・タランティーノなどを育てたハリウッドの映画製作会社ワインスタイン・カンパニーと共同して日米の新鋭監督による2本のショートフィルムをお届け。

▼MARKET HOURS
気のいい警備員ランダルは同じマーケットで働くアンジェラに気があるが...



▼OPERATION BARN OWL
親友ジョナのプロポーズを演出エレンだが、本当の気持ちは...



それぞれちょっと心暖まったり、キュンとする良い作品。
劇中にはレクサス車もそれとなく登場。

それにしても14分ほどの短編でエンドロールが3分以上あるって長すぎでしょ・・・
せめてそこは短編サイズにしてほしかった。


<作品概要>
MARKET HOURS
(2014年 日本 14分)
監督:ジョシュ・ゴールドマン

OPERATION BARN OWL
監督:大川五月
脚本:落合賢

製作:LEXUS

2014年11月21日金曜日

世界の映画祭  International Film Festival


世界の映画祭って何がある?

世界中に映画祭ってあるけど、何がどう違うのか?
「カンヌ映画祭」って聞くけど、アカデミー賞と何が違うの?

アメリカのアカデミー賞とは、アメリカ国内で製作、上映された過去1年間の作品を対象としていて、6000人以上と言われる映画業界関係者からなるアカデミー会員によって選考されるもの。
そこから、作品賞や監督賞、主演女優賞などが決まります。

だから、その年のナンバー1を決めるアメリカだけのイベントです。
日本アカデミー賞、英国アカデミー賞、セザール賞(フランス)も同じ。


それに対して、世界中の作品を対象として、“まだ公開されていない作品が観れる”のが「国際映画祭」です。
大体2週間くらい開催していて、その期間に世界中からやってきた“初出し”作品が会場で上映されます。そして、コンペティション部門では、その中から映画監督などから構成された審査委員会によってグランプリや男女優勝が決められます。

国際映画祭は、
・初出し作品の中からグランプリなど賞を与える
・一般の映画ファンが映画祭上映作品を鑑賞できる
・各国のバイヤー(配給会社)が自国での公開のために買い付けにくる
という意味合いがあります。

ロカルノ映画祭

<主な世界の国際映画祭>

2月 ベルリン国際映画祭(ドイツ)  最高賞:金熊賞  来場規模41万人
5月 カンヌ国際映画祭(フランス)  最高賞:パルムドール 来場規模1.1万人
8月 トロント国際映画祭(カナダ)  来場規模32万人
8月 ロカルノ国際映画祭(スイス)  最高賞:金豹賞  来場規模8000人
8月 モントリオール国際映画祭(カナダ) 来場規模25万人 フランス語圏のためフランス作品が多い
9月 ヴェネチア国際映画祭(イタリア)最高賞:金獅子賞(作品) 監督は銀獅子賞 “ベネチア”とも表記 来場規模17万人
10月 釜山国際映画祭  アジアの新人監督中心  来場規模22万人
10月 東京国際映画祭  長編のみが対象 最高賞:東京グランプリ 来場規模12万人
2年に1度 モスクワ国際映画祭(ロシア) 最高賞:最優秀作品賞

※カンヌ、ベルリン、ヴェネチアが世界三大映画祭

日本を代表する国際映画祭と言えば、「東京国際映画祭」だけど、最近はおとなり韓国の釜山映画祭にだいぶ押され気味。アジアでの地位はぜひ築いてもらいたい。

星空の映画祭

国内にも映画祭はいろいろあって、地域の振興に役立っているものもある。
温泉街にある「湯布院映画祭」は、映画館のない街ということでも有名だし、八ヶ岳で夏の夜空の下で開催される「星空の映画祭」など。

短編専門の「ショートショートフィルムフェスティバル」、
こどもが主役の「キンダーフィルム映画祭」、
ドキュメンタリーに焦点を当てた「やまがた国際ドキュメンタリー映画際」、
料理メインな「東京ごはん映画祭」、
お笑いの「したまちコメディ映画祭」、
などなど。

けっこう個性的な映画祭は意外とあるものです。
何はともあれ是非体験を。




2014年11月19日水曜日

[CM] ソフィア・コッポラによるGAPのショートフィルム


GAPホリデーシーズンのキャンペーンCMをソフィア・コッポラが制作

「You Don't have to get them to give them Gap.」(知っているようで知らない、身近なあなたへ)というコンセプトで、冬商品を贈り物しようというキャンペーン。

アメリカの家族や恋人といった身近な人たちと過ごすちょっとした心あたたまるひと時を、4つのショートフィルムでソフィアが映像化。
何とも言えない雰囲気で見せるあたりがいい。

▼Gauntlet(ガントレット)

▼Mistletoe(ヤドリギ)

▼Crooner(クルーナー)

▼Pinball(ピンボール)


GAPは秋編をデヴィット・フィンチャーでも撮っていて、CMに旬な映画監督を連続で起用していてとても贅沢。
そして、次回もとても楽しみ!


<作品概要>
「Gap Dress Normal Holiday 2014」
(2014年 アメリカ 30秒〜1分)
監督:ソフィア・コッポラ
出演:
製作:GAP

2014年11月18日火曜日

[CM] 花王サクセス Dance with SUCCESS


花王サクセスのショートムービー

育毛剤のサクセスが、
「髪型は変わっても、頭皮は変わらない」をコンセプトにWEB限定のショートムービーを公開。




男が街で見かけた女性を音楽に合わせて口説き倒す!
主演の男性は、ダンサーのつとむ。
実写に髪型だけアニメーションをコラージュしてアフロからモヒカンまで、音楽に合わせて様々な髪型に七変化していく。

つとむのコミカルな踊りも楽しい。

最後に登場する赤い服の美女は、ロシア人モデルのマルガリータだとか。


<作品概要>
Dance With Success
(2014年 日本 2分)
監督:
出演:つとむ
製作:花王

2014年11月17日月曜日

[PV] 鉄拳のパラパラ漫画PV 映画「ベイマックス」


ディズニー映画「ベイマックス」のPVに、鉄拳がパラパラ漫画を描きおろし!

この映画の本質をよく表現できているということで制作サイドからもお墨付きをもらった感動の3分間。


鉄拳のやさしいタッチで、くるくると回りながら時が経過していく独特のタッチでヒロとタダシの兄弟とロボットのベイマックスが誕生する姿を丁寧に描いている。

この映像に使用された楽曲は、AIの名曲「STORY」。
これがまた映像にめちゃくちゃマッチしている!


<作品概要>
(2014年 日本 3分)
監督:鉄拳
出演:

製作:ディズニー

2014年11月16日日曜日

私にだってなれる!夢のナレーター嘆願志望  IN A WORLD


キャメロン・ディアスがカメオ出演!? アメリカの声優業界を描くコメディ

それにしても、この邦題は何なんでしょうか?
内容的にも、原題のままでいいように思うけど。

声優というと洋画の吹替えやアニメの声優を連想してしまうけれど、アメリカの(この映画の)場合は、映画予告編のナレーターのお話。

ハリウッド映画の予告編でよく聞く、男性が低い声でナレーションする、アレ。

大物声優の娘のキャロルは自身も声優を夢見るが、今は方言指導で細々とやっているが、父親の再婚で実家から追い出されることに。自立できる仕事が必要になったキャロルは、声優のオーディションを受ける。

劇中に登場する亡くなってしまった大物声優のドン・ラフォンティーヌは、実在の人物。
あの低音ボイスで、なんと日に7〜10本のナレーションをこなし、ハリウッドで最も多忙な声優として活躍していたのだとか。

★代表作
「2001年宇宙の旅」「ランボー」「13日の金曜日」「ターミネーター」「危険な情事」「ホーム・アローン」「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」etc


このドン・ラフォンティーヌの決め台詞が、原題の「in a world...」となっている。
そして、そのセリフを復活させる超大作の予告編を巡って、新旧の声優陣がこぞってオーディションを受けるのだけど、その予告編映像に映る戦闘スタイルの女優に見覚えがある、「ん? キャメロン・ディアス?」。でも、まさか。
そしたらクレジットされていた(笑)


監督は、主演も務め脚本も自ら書き上げたレイク・ベル。
女優としては、「べガスの恋に勝つルール」(キャメロン・ディアス主演)などに出演。
ここのつながりでキャメロンにカメオ出演をオファーしたのかも。
モー役のロブ・コードリーも「べガス〜」に出てました。


<作品概要>
「私にだってなれる!夢のナレーター嘆願志望」  In a World
(2013年 アメリカ 93分)
監督:レイク・ベル
脚本:レイク・ベル
出演:レイク・ベル、ディミトリ・マーティン、フレッド・メラメッド、ロブ・コードリー、ケン・マリーノ、エヴァ・ロンゴリア、ドン・ラフォンティーヌ、キャメロン・ディアス
販売元:ソニー・ピクチャーズ

2014年11月15日土曜日

天才スピヴェット  The Young and Prodigious T.S.SPIVET


ジュネの描く映像世界は、3Dとの相性がバツグン!

映像へのこだわりが尋常ではないジャン=ピエール・ジュネが、遂に3D機器を手に嬉々として撮ったであろう最新作は、マーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴの不思議な発明」のごとき不思議な映像世界で、天才科学少年スピヴェットが頭の中に描くことがスクリーンから飛び出してくる!というまさに飛び出す絵本のよう。

カウボーイのお父さんと昆虫学者のお母さん、それにアイドルを目指すお姉さんとモンタナの牧場で暮らすT.S.スピヴェットは、わずか10歳にして、応募した発明が権威ある科学賞に選ばれてしまう。授賞式のスピーチを引き受けてしまったスピヴェットは家族には内緒でひとりアメリカを横断して会場のあるワシントンD.C.への向かうのだが。

スピヴェット役のカイル・キャトレットくんがたまらない! 彼の採用を決めたことで年齢設定を原作の12歳から10歳に変えたり、彼より背の低い弟役が見つからず二卵性双生児で彼より背の高い弟という設定にしたという苦労はあったらしいが、それだけの価値がある逸材だった。
そして、カウボーイのお父さん役も今まで知らなかったけどかなりカッコいい役者さん。


舞台はアメリカなのだけど、ジュネらしいシュールで不思議な世界観と変わり者ではみ出し者が主人公なのが嬉しい。
そして何と言ってもジュネ組のドミニク・ピノンが健在なのがいい。


<作品概要>
天才スピヴェット」  The Young and Prodigious T.S.SPIVET
(2014年 フランス=カナダ 105分)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
原作:ライフ・ラーセン「天才スピヴェット君傑作集」
出演:ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニー、カイル・キャトレット、ニーアム・ウィルソン、ジェイコブ・デヴィース、リック・マーサー、ドミニク・ピノン
配給:GAGA