2013年12月19日木曜日

かぐや姫の物語


全編が水彩画 美しい日本古来の物語

高畑勲監督77歳、製作期間8年間、製作費50億円。 日本人の誰も知っている“日本最古の物語”である「竹取物語」を描く。

プロデューサーの西村義明氏によると、原画に手作業で水彩画で色をつけ始めたとき「あぁ、この映画は終わらない」と思ったとか。
そのくらいこの映画は製作期間を要した。
遅れ癖があり終わらす気のない監督に釘を刺すために設定された宮崎駿監督の「風立ちぬ」との同時公開。その公開日も結局間にあわなかった。制作の遅れを挽回するために後半はアニメーターを追加投入。このために「新世紀エヴァンゲリオン」の制作が遅れたとまで言われた。(ちなみに「エヴァンゲリオン」の庵野監督は「風立ちぬ」に声優(主役)として参加している)

ジブリ作品と言えば、いつも主題歌が話題になる。
今作では、二階堂和美の「いのちの記憶」。音楽はいつも通り久石譲だ。


こだわりにこだわって完成にこぎつけた本作は、こだわった甲斐がある、とてもすばらしい作品に仕上がった。
この水彩画のタッチで描くアニメーションが珍しいし、それを2時間を超える大作に仕上げてみせた。予告編でもそうだったけどすごく躍動感がある。この水彩画の絵巻を見ているかのような画なのに表情や動きにエネルギーが感じられて、このくらいの長編では観たことがないタイプの作品だからすごく新鮮だった。
アニメーションはCG全盛の昨今なのでこの“手作り感”は貴重だ。


物語は完全に「竹取物語」。とても忠実に作っているから誰もが知っている展開だ。
今回なぜ「竹取物語」なのか? 企画が始まる際にプロデューサー西村氏の質問に監督は逆に聞き返したと言う。
「なぜ、数ある星からかぐや姫は地球を選んだのか、そして何故去らなくてはならなかったのか分かりますか?」
「かぐや姫は地球にいる間、何を考え、何を思っていたのか分かりますか?」
「かぐや姫は月での罪で地球に来たけれど、その罪とは?罰とは何か分かりますか?」

果たして誰か答えられるのだろうか?
その答えを映画の中で描く、それが高畑監督が今作で実現しようとしたことだ。


<作品概要>
かぐや姫の物語
(2013年 日本 137分)
監督:高畑勲
プロデューサー:西村義明
出演(声):朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子、立川志の輔、上川隆也、伊集院光、宇崎竜童、中村七之助、橋爪功、朝丘雪路、仲代達矢、古城環
音楽:久石譲
配給:東宝

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