2016年3月5日土曜日

ホール・イン・マネー  A DANGEROUS GAME

ドナルド・トランプの実業家の側面との皮肉

いつになく混戦と盛り上がりをみせる2016年のアメリカ大統領選。その中でも特に異彩を放つのがドナルド・トランプ氏。
アメリカ有数の大富豪で、テレビ番組でホストを務めていたり知名度は抜群。
この大統領選の最中だから面白い。ニュースだけでは分からないドナルド・トランプの一面が垣間見れる。

ドナルド・トランプが代表を務めるトランプ・インターナショナルはスコットランドの自然豊かな景観の海岸沿いの土地を買収し、ゴルフ場建設を始めるが、それに伴う環境破壊はものともせず、近隣住民に強引な地上げを開始する。スコットランド出身のジャーナリストのアンソニー・バクスターは、その実情を訴えるために突撃取材を開始する。


トランプのビジネスは富裕層向けの高級リゾート開発。スコットランドに建設し始めたのも高級ゴルフ場で、近隣住民の家がみすぼらしいからと井戸を枯らして住めないようにしようとしたり、契約違反でもある高い壁を築いて視界から消そうとしたり、とにかくやり方が強引。
富裕層のため、自分のビジネスのためなら邪魔な貧乏人は容赦なく排除するという姿勢が際立つ。
この映画の面白いところは監督が執拗にトランプの負の部分を映し出すことで、今の大統領選との矛盾があぶり出されていくところ。


トランプの支持層は、低所得の白人層で失業をして貧しく、肉体労働では移民に仕事を奪われる脅威を感じている人たち。だから移民排除や強いアメリカの復活など耳障りの良い主張をするトランプは支持を集めるが、実際の彼のビジネスをみると矛盾だらけ。
ちょっと考えれば分かりそうなものだけど、長年テレビ番組で培った視聴者に受けるパフォーマンンスを会得したトランプは予想外に躍進している。
社会主義寄りのサンダース氏といい、今までは考えられなかった候補者が支持を集めているアメリカ大統領選。それだけワシントンD.Cの政治不信ということでもあり、そのアンチテーゼとしての反対票がトランプにも注がれている。

それにしても、彼がもし本当に大統領になったとしたら、日本はどうなるんだろうか。


<作品概要>
「ホール・イン・マネー」  A DANGEROUS GAME
(2014 イギリス 97分)
監督:アンソニー・バクスター
出演:ドナルド・トランプ、アレック・ボールドウィン、マイケル・フォーブス、ロバート・ケネディJr、アンソニー・バクスター、ドナルド・トランプJr
配給:Akari Films

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