2014年4月18日金曜日

あなたを抱きしめる日まで  PHILOMENA


ジュディ・デンチが貫禄の立ち回り!

赤木春恵といい、この年の女優恐るべし。アカデミー賞ノミネートは大納得の名演技。ユーモアがあってエネルギーある老女を熱演。

原題の「PHILOMENA」はそのまま主人公のフィロメナの名前。

10代で未婚の母になったフィロメナは、親に強制的に修道院に入れられてしまう。そして息子アンソニーが3才の時、修道院から養子に出されてしまう。50年後、ずっと心に秘めていたその事実を娘に打ち明ける。そして、娘が知り合ったジャーナリストとともに50年前に生き別れた息子を探す旅にでる。


実話ベースということだけど、修道院が子どもたちをアメリカに1000ポンドで売っていたとはすごい。そのお金は修道院の運営のために使われ、子どもたちもお金持ちの家に引き取られる。子どもたちも幸せで、親たちも納得の上であれば、そんなに悪いことだけではないような気もするが、愛する我が子と強制的に引き離されるのであれば、母親にとってこんなに辛いことはない。
そして相手は純潔を守ることを高貴とするシスターたちだ。貞節を守らなかった不貞の娘たちへは厳しい処置は当然という考え方だ。カトリックの教会が人身売買をしていたという衝撃の真実。


フィロメナは、大好きなロマンス小説のストーリーを長々と、しかもオチまできっちりと説明した後で、「この本貸してあげるわよ?」と本気で言ってのけるおちゃめなおばあちゃん。
パンフレットでもジャズシンガーの綾戸智絵さんがレビューを書いてるけど、母親目線&おばちゃん目線で、(関西弁の文面で)フィロメナの息子愛と彼女のユーモアを絶賛している。

1980年代、共和党政権時代の保守的な空気や、大スターのロック・ハドソンがエイズに倒れたというニュースが衝撃だったことは、「ダラス・バイヤーズクラブ」で詳しく描かれている。

bunkamuraル・シネマらしい良作。こういう映画はやっぱりル・シネマみたいな劇場で観たい。


<作品概要>
あなたを抱きしめる日まで」  PHILOMENA
(2013年 イギリス=アメリカ=フランス 98分)
監督:スティーブン・フリアーズ
原作:マーティン・シックススミス
出演:ジュディ・デンチ、スティーブ、クーガン、ソフィ・ケネディ・クラーク、アンナ・マックスウェル・マーティン、ミシェル・フェアリー、バーバラ・ジェフォード
配給:ファントム・フィルム

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