2014年5月24日土曜日

未来の食卓  Nos Enfants Accuseront


オーガニックブームをフランスで巻き起こした、いのちを考える秀作

食にうるさいフランスだからなのか。食べるものにおいしさだけでなく、安心と安全も真剣に考えている。
学校の生徒や先生、親たちだけでなく、実際に野菜を作っている農家の人たちの意見も面白い。

南仏の緑豊かで小さなバルジャック村の村長ショーレさんは、学校給食と高齢者の宅配給食を全てオーガニックにするという前代未聞のチャレンジをする。村民の協力もあり、学校菜園で野菜作りを始める子どもたちを通してみんなの意識は徐々に変わっていく。

一見すごくのどかで自然にあふれたバルジャックの村だけど、土や水は汚染されている。化学薬品での農業によって土が痩せてしまったり、地下水まで汚染が進んでいたりする。


農家同士のディスカッションも印象的だった。
オーガニック農家と一般農家がそれぞれの主張をぶつけ合う。経済的な部分もあり、きれいごとばかりは言ってられない。だけど無農薬畑との境を見ると明らかな土壌の変化があって、誰が見ても農薬の土壌への影響が見て取れてしまうのはちょっと驚き。
自分たちが食べるものは本当に大丈夫なのかと心配になる。


そして、この映画が訴えるのは「未来をささえる、子どもたちが全て」ということ。
企業の利益追求など大人の身勝手で、未来ある子どもたちに影響を与えてはいけない。

冒頭のシーンで「知り合いにガンや糖尿病のひとは?」という問いに会場の大部分の人が手を挙げる。フランスではガンは死因の第1位で、その7割は食生活など環境からきていると言われている。自身もガンにおかされ(現在は完治)、ガンの原因や食や環境を真剣に考えるうちに多くの人にそこにある事実を伝えたいと思ったのが、監督が本作を作るキッカケだったとか。
監督のジャン=ポール・ジョーは、この後、遺伝子組み換え食品にせまる「世界が食べられなくなる日」など食べることに関するドキュメンタリーを撮り続けている。


<作品概要>
未来の食卓」  Nos Enfants Accuseront
(2008年 フランス 102分)
監督:ジャン=ポール・ジョー
製作:Nos Enfants Nous Aaccuseront
出演:エドゥアール・ショーレ、ペルコ・ルガッス
配給:アップリンク

0 件のコメント:

コメントを投稿