2014年3月21日金曜日

ダラス・バイヤーズクラブ  DALLAS Buyers Club


エイズによってビジネスマンに。

実在の人物をベースにマシュー・マコノヒーが熱演。21キロの減量も話題になりアカデミー賞の候補にもなった。
マシューは本作で主演男優賞を見事に受賞。助演のジャレッド・レトも助演男優賞にノミネートされる好演となった。

1980年代、アメリカでも最も保守的なテキサスでHIVウィルスに感染した実在の男がモデル。ゲイがなる病気や触っただけで移るなど、HIVに対する偏見があり知識は乏しかった時代。推奨されている治療薬は副作用のわりに効果が低いことから未認可の薬を独自のルートで輸入し、法に触れないようそれを売るのではなく、有料会員に無償で配るという「ダラスバイヤーズ・クラブ」を設立。その噂はたちまち広がり、エイズ向けの病院の45倍もの患者を抱える会員組織になっていく、やがて患者を取られた病院や薬の規制を取り仕切るFDAに目を付けられ窮地に陥るが。


余命30日と宣告されてから結局7年もの間生きたんだからすごい。彼が用いた薬が結局良かったということなのか、彼の精神力のたまものなのか、医者の余命宣告に対して生き延びる例は多々あるが、30日から7年はすごい。

余命30日と宣告されたらどうするか、「死ぬまでにしたい10のこと」を決めて実行するか、「最高の人生の見つけ方」のように楽しむか、このあたりのテーマは結構映画になっていたりする。ジョセフ=ゴードン・レヴィットの「50/50 フィフティ・フィフティ」、ダコタ・ファニングの「17歳のエンディング・ノート」、ベネディクト・カンバーバッチの「僕が星になるまえに」などなど ここ最近の作品でもいくつかある。


でもロンは薬を求めあがく、そして他の映画と違うところは彼がその未認可の薬にビジネスチャンスを見いだしたこと。余命30日をまともに信じていたら時間のかかるようなことはしないだろう。だから彼は半分信じつつもどこか「大丈夫だろう」という楽観的な気持ちや、こんなホモの病気に負けてたまるかという気持ちがあったのだろう。それは良くも悪くもダラス(保守的なテキサス)という土地柄からきているのかもしれない。

その後の彼の気力を支えたのは何だったのか、ひとつはこのダラスバイヤーズ・クラブという自らのビジネスではなかろうか。多くの人に支持されるそのビジネスを軌道に乗せることがやりがいにもなって、彼の気力を支えていたのかもしれない。
彼はビジネスマンとして、サンフランシスコ、アムステルダム、東京など世界中を飛び回る。そのフットワークの軽さは本当に世界を股にかけるビジネスマンの姿そのものだ。


本作では、マシュー・マコノヒーの減量が話題になったけど、引けを取らないのがジャレッド・レト。「チャプター27」でジョン・レノンを殺害するチャップマンを演じた時は、30キロもの増量を行い、今回は13キロの減量。その差42キロ!これもかなりすごい。
トランスジェンダーの役を見事に体現。ゲイ嫌いのロイに替わって販路を広げるパートナー役をかなり好演していた。

「チャプター27」

劇中に東京・渋谷が出てくるけど、明らかに現代。80年代の設定のはずなのに。。。渋谷のスクランブル交差点には思いっきり「TSUTAYA」のネオンが。。あれを観る日本人は一気に現代に感覚が戻されちゃってかなりマイナス効果。日本人役で出てくる役者の日本語もちょっと怪しいし。 日本はハリウッド映画のマーケットとしてかなり大きなシェアを占める国なんだから、このあたりの詰めの甘さはかなり残念。

明らかに中国人な日本人役や忍者な日本人は、さすがに見かけなくなってきたけど、このあたりの精度は更に向上してもらいたい。それには日本の役者がもっとハリウッドに行き、こういった端役でもしっかり担ってもらいたい。



<作品概要>
ダラス・バイヤーズクラブ」  DALLAS Buyers Club
(2013年 アメリカ 117分)
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:マシュー・マコノヒー、ジェニファー・ガーナー、ジャレッド・レト、ダラス・ロバーツ、グリフィス・ダン
配給:ファインフィルムズ

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