2016年2月9日火曜日

ヤクザと憲法

ヤクザを密着して見えてきたもの

「これな、わしら人権ないんとちゃう?」
という何とも面白いコピーに惹かれて観たものの、想像以上に面白かった。

"ヤクザと人権"という一見かけ離れたテーマを描くドキュメンタリーだが、そこから浮かび上がってくるのは現代の日本社会が抱える闇だったりする。

暴力団対策法によって逆境に立たされているヤクザ。そんな中で彼らヤクザはどのような日常をおくっているのか。大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」に密着したドキュメンタリー。

ヤクザの事務所に密着するだけで面白そう。
だけど拳銃も持っていないし、抗争もない。意外と平和な日々を過ごしている組員たち。あまりに穏和な日々にキャンプ道具の入れ物を指して「それはもしかしてマシンガンでは?」と投げかけるスタッフ。何かしらヤクザらしいネタを見つけようと必死になっている感じがうかがえる。
その中で、「拳銃とか持ってないんですか?」という質問に、「え!? も、持って入る訳ないじゃないですか、、、」という素直すぎる組員のリアクションは笑える。


ヤクザということで、保険に入れない。子どもが幼稚園から追い出される。などなど組員たちの悩みが組長に寄せられる。
暴対法によってヤクザにとって過ごしづらい環境になってきている。
ヤクザなんだからしょうがないじゃん、と思いつつも映画の中で提示される日本国憲法第14条。

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。」

そこから暗示されるのは、映画はヤクザを対象にはしているけれど、マイノリティだからということで社会から排除しようする、今の日本社会の闇の部分が強烈に浮かび上がってくる。


そこはさすが東海テレビ。
ただのドキュメンタリーではない。
組員がヤクザになった理由、山口組の顧問弁護士の行く末、ヤクザっぽくない見習い。
ヤクザの事務所を通して、現代の日本の問題点が見えて来る良質なドキュメンタリー。


<作品概要>
(2015年 日本 96分)
監督:ひじ方宏史
出演:
配給:東海テレビ 

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