2014年1月18日土曜日

ドラッグ・ウォー 毒戦


麻薬(ドラッグ)にはじまり劇薬(ドラッグ)に終わる まさにドラッグ・ウォー!

ジョニー・トーが中国本土で撮影に挑んだガンアクション。ラストの至近距離銃撃戦は凄まじい。
巨大麻薬組織に挑む中国公安警察の捜査を得意のアクションとサスペンス性をもって描く。

麻薬製造の罪で逮捕されたテンミンは、中国の法律では死刑になる。そこで死刑と引き換えにジャン警部は潜入捜査の取引を持ちかける。やがて麻薬取引を仕切る黒幕や、香港・韓国・日本をも巻き込んだシンジケートの存在が見えてくる。捜査に協力するテンミンだが果たして信用できるのか、本当のことを言っているのか、サスペンス要素を帯びながら、黒幕に迫っていく。


ジョニー・トーの作品と言われなければ、分からなかったかもしれない。映像は80年代の刑事ドラマのように古めかしい。男臭い物語ではあるのだけれど、ジョニー・トーといえば大げさなほど“侠気”を表現し、反体制でいて、“義”のため、“男の約束”のために死ぬ。そしてガンアクションといえば2丁拳銃は当たり前、アクロバティックな銃さばきやオマエは何発打たれてんだ、と突っ込みたくなるほどのタフガイぶりが象徴的だが、それに比べると正統派にまとまってしまった感が否めない。


それでも最後のガンアクションは凄い! 至近距離での撃ち合い、生き残ろうとする貪欲さは見物だった。

パンフレットにあるジョニー・トー監督のインタビューを読むと分かるが、(インタビュアーはミルクマン斉藤)監督本人も決して納得はしていないようだ。
やはり中国本土で撮るということは規制も多く、更に中国公安警察を描くので、公安と映画と二重の検閲が必要で、大分削ったそうだ。本当はもっと撃ちまくって、もっとたくさん死んでいたらしい(笑)
監督曰く、「本来考えていたものとは全然違う作品になってしまった。今までとは違う“大陸で撮ったジョニー・トー作品”と思って欲しい、申し訳ない。」だそう。

それくらい本土で撮影することは困難なことなのだ。
今後は香港で思う存分“ジョニー節”を発揮してもらいたい。


<作品概要>
ドラッグ・ウォー」 毒戦
(2013年 香港=中国 103分)
監督:ジョニー・トー
出演:ルイス・クー、スン・ホイレン、クリスタル・ホアン、ウォレス・チョン、ラム・シュー
配給:アルシネテラン

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