2014年1月5日日曜日

反撥 Repulsion


ドヌーブによる「こわれゆく女」

ジーナ・ローランズによる「こわれゆく女」は1974年。本作は1965年なので、こちらの方が本家ではあるが、徐々に狂気をはらみこわれてゆく美女を描くあたりは共通した作品だ。だけどジョン・カサベテスの「こわれゆく女」の方が痛さを感じる。

姉と暮らすキャロルは、奔放な姉とは対照的に潔癖で男性を受け付けない。コリンからは口説かれ続けているがどうしても前向きになれない。男性に犯される幻覚を見たり男性恐怖症の兆候があらわれ始め、仕事場でもミスが目立つようになる。そんなある日、姉が恋人と旅行に行くことになり、ひとりになると、ついに兆候に歯止めがきかなくなっていく。

とにかく、カトリーヌ・ドヌーブが若く美しい。
この時代のドヌーブは見ているだけでもいい。
それに、あまり演技を気になしたことがなかったけどこわれゆく姿をよく表現できていた。演技ということで言えばジーナ・ローランズの方がすごいけど。


監督のロマン・ポランスキーは、この頃の初期作品で評価され、アメリカに渡り「ローズマリーの赤ちゃん」を監督することになる。
サスペンスの手法が今見るととても古典的で全然怖くない(笑)だけどこの当時はこういう演出が最先端だったのだろう。「ローズマリーの赤ちゃん」でもそうだけど、ホラーやハラハラドキドキが苦手な人でもこの頃の作品なら安心して観れるからオススメ。

それにしてもこの作品は最後の最後まで良くできている。
キャロルの暴走に歯止めがかからなくなってしまった衝撃のラストを迎えた後。

最後の家族写真。
少女の目線の先にいる父親らしき笑顔の男、そして写真がクローズアップされるにつれ少女の恐るべき形相によって何故ここまで男性恐怖症になってしまったのかが暗示されるという種明かしが。
最後の最後にぞぞっとさせる仕掛けを用意して「なるほど」と締めくくる。
とても良くできている映画だ。


<作品概要>
「反撥」 Repulsion
(1965年 イギリス 105分)
監督:ロマン・ポランスキー
出演:カトリーヌ・ドヌーブ、イヴォンヌ・フルノー、イアン・ヘンドリー、ジョン・フレイザー、パトリック・ワイマーク
配給:マーメイドフィルム

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