2013年9月8日日曜日

東京家族


山田洋次流「東京物語」

小津安二郎の「東京物語」は、日本を代表する名作だ。東京で暮らす子供たち家族に会うために初上京した老夫婦だが、仕事に忙しい子供たち家族には相手にされず、親身になってくれた未亡人とあった次男の嫁も苦悩がある。大切だけど煩わしい家族の絆や夫婦と子供、老いと死、人間の一生を描く。

小津作品のミューズは原節子だが、このひとがいないと始まらないという女優がいる。
杉村春子だ。
いつも意地悪な嫁や、おせっかいな近所の主婦などで脇を固めることが多いがその存在感と作品のテンポにアクセントをつけられる演技力は絶品。

本作では中嶋朋子がその役所を演じている。山田組で常連俳優だが杉村春子と比べてしまうと残念ながら足下にも及ばない。とてもいい女優さんではあるが比べる相手が悪すぎた。

「東京物語」の設定を現代に置き換えてはいるがオリジナルにとても忠実。
テーマが普遍的なだけあって忠実に描かれていても全く違和感なく現代の物語として受け取れる。やはり名作は普遍的なテーマのものが多い。


キャスト陣も豪華な面々。
年配俳優が多いが若手も起用されている。蒼井優は「おとうと」に続いての起用。それにしても蒼井優はカワイイ。

山田洋次は監督名で客が呼べる数少ない監督だろう。ファンの多くが年配層なのであとどのくらいそれが持つかは分からないが、ずっとこの看板監督に頼ってきた松竹は脱山田と新しいヒットの構図を早く見いだしてもらいたい。

ちなみに山田監督の映画は、1000円で鑑賞できる。映画を親しんでもらいたい監督のこだわりだがこんな融通がきくんだから相当の実力者だ。
せっかく1000円で観れるのだから是非次回作も観に行きたい。


<作品概要>
東京家族
(2012年 日本 146分)
監督:山田洋次
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正藏、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン
配給:松竹

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