2013年9月14日土曜日

ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区  Centro Historico



ポルトガルが結んだ豪華アンサンブル!

こんな競演があるだろうか!ポルトガル北西部の小さな街ギマランイスが欧州文化首都に選定されたことによる文化事業の一環でこの奇跡のアンサンブルが実現した。

ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタ、現役最年長(なんと104歳!)のマノエル・ド・オリヴェイラ、お隣スペインからは寡作で知られるビクトル・エリセ、そしてフィンランド人ながらポルトガル在住のアキ・カウリスマキ!この個性あふれる4監督によってギマランイス歴史地区が描かれる。

カウリスマキはこの地区で店を切り盛りするあるバーテンダーの話、ペドロ・コスタはポルトガルの歴史を背景とした会話劇、ビクトル・エリセはかつて発展し今は閉鎖した工場の関係者へのインタビュー形式でその興廃の歴史を描く、オリヴェイラは何とも軽妙でユーモアたっぷりにこの歴史地区を観光させてくれる。


なんとも個性的!それぞれの個性ある作家たちが個性ある作品としてギマランイス歴史地区を描いた。
カウリスマキ節は相変わらずだ。たとえポルトガルで撮っても独特の色彩ですぐにカウリスマキの世界だと分かる。(前作「ル・アーブルの靴磨き」でもそう、フランスでもその色彩でつくられる世界はカウリスマキの世界だ)そして主役のバーテンダーはやっぱり無表情で無口(笑)なんと本作ではひとこともしゃべらない!その中で感情の表現をさせる演出が面白い。


ペドロ・コスタとビクトル・エリセはなんだか小難しい。エレベーターの中で兵士の亡霊との会話劇や廃墟となった工場の元従業員へのインタビューなど独特の演出もその歴史を知っていないとなかなか入っていけない。その中でオリヴェイラの若々しさはどうだろう。この4人の中で一番いきいきとしている。軽妙でユーモアにあふれシャレがきいている。トリにふさわしい締めくくりをしてくれた。
グレン・グールドの美しい旋律がよく似合う。


<作品概要>
ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区」  Centro Historico
(2012年 ポルトガル 96分)
監督:アキ・カウリスマキ、ペドロ・コスタ、ビクトル・エリセ、マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:
配給:ロングライド

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