2013年9月30日月曜日

エリジウム  Elysium


風刺家ニール・ブロムカンプのハリウッドデビュー作!

前作「第9地区」では、南アフリカのアパルトヘイトでの人種差別を痛烈に皮肉った。今作では貧富の差からくる世界的な格差社会がテーマだ。

2154年、汚染で荒廃した地球を離れ一部の富裕層は宇宙にあるスペースコロニーである“エリジウム”に移住。大多数は地球で労働者として過酷な環境下にいる。エリジウムに憧れる少年期を過ごしてきたマックス(マット・デイモン)はある日、職場の工場で致死量の照射線を浴びる事故にあってしまう。エリジウムにしかない医療装置を目指し、闇証人やスラム街の仲間、幼なじみの女性など様々な思惑とともにエリジウム潜入を試みる。

前作から登場しているクルーガー役のシャールト・コプリーが悪役として大活躍。しかし彼の言葉は南アフリカ訛りなのかものすごい独特なアクセント。英語があまり分からなくても彼の訛りはちょっと気になる。「オン・ザ・ロード」にも出演しているアリシー・ブラガは笑顔がとてもチャーミング。クルーガーにつかまり大ピンチに。


地球上はスラム化してみんなごちゃごちゃしたところに住んでいるけど、エリジウムの人口はわずか8000人。そして彼らの区画は各戸なんと1エーカー(約4000平方メートル)!全部が豪邸。そして全戸に標準装備されているのがどんな病気や怪我でも直してしまう装置“医療ポッド3000”。これのおかげでなんと寿命も違う。
“持てる者は何でも持ち、持たざる者は何もない” その格差、激しすぎ(笑)
このあたり監督の風刺具合がかなり効いている。
前作でもそうだったけど、手持ちカメラで臨場感を出す戦闘シーンを描くのがとても巧い。前作よりもスケールアップしてる分、みどころだ。


エリジウムのリセットがウルトラブックなみに早い(笑)など、設定や展開に突っ込みどころはあるものの、エリジウムの歴史やエリジウムを作ったアーマダイン社について、医療ポッドのことなど映画では説明されていない設定がわりとしっかりパンフレットには書いてあって面白い。公式ホームページでも説明がされている。
(エリジウムのコンセプチャルデザインの一部は、「ブレードランナー」や「トロン」の伝説的デザイナー、シド・ミード)

自分都合でエリジウムを目指したマックスも救世主のごとく運命を背負うことになる。資本主義社会の格差から社会主義が生まれたが、格差社会もいくとこまでいくと歴史は繰り返されるのか。


<作品概要>
「エリジウム」  Elysium
(2013年 アメリカ 109分)
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:マット・デイモン、ジョディ・フォスター、アリシー・ブラガ、ディエゴ・ルナ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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