2013年9月9日月曜日
ザ・マスター The master
ポール・トーマス・アンダーソン渾身の新作。
信仰の宗教の教祖とその弟子となった屈折した男の子弟とも友情ともとれる関係性を描く。
ポール・トーマス・アンダーソン監督。相変わらず重厚な作品を作ります。40代そこそこには思えない、巨匠感すらただよう雰囲気。
「ブギーナイツ」で注目され、「マグノリア」でベルリン、「パンチドランク・ラブ」ではカンヌで受賞する。どの作品もなかなかうまくいかない人生や生きることに不器用なひとたちが登場する、そういうあたりは全作共通なものがある。(それとどれも長尺)
そして前作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」からグッとそれに重厚感が増した。(こちらはアカデミー賞8部門ノミネート)当時監督はまだ30代なのに人生を達観したかのような厳しい視線。監督を一気に老けさせる出来事でも何かあったのか(笑)そのぐらい大人びてしまった。
今作では、フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスという素晴らしい役者の演技でその二人の関係性を見事にみせている。P・T・アンダーソンの作り出す狂気の世界の中で二人の怪物が危ういバランス関係のまま共存する。いつ壊れるか分からないこの危ういバランスにドキドキする。
哲学的にか宗教的にか分からないけれども、P・T・アンダーソンは人間の「業」を強く意識させる。彼は人間の「業」を追い求めているのだろうか。どこに行こうとしているんだPTA!
それにしてもホアキンの演技はすごかった。狂気すら感じる役作りは役者魂を感じる。やっぱりすごい俳優なんだ。前作「容疑者ホアキン」で晒しただらしない肉体を絞りにしぼり、“フレディ”という人物をホアキンにしかできないほどに完璧に作り込んだ。
そもそも前作「容疑者ホアキン」もこの「ザ・マスター」を観る前だから観た。ホアキンの俳優復帰作ではそのギャップを確かめるのもひとつの楽しみだったが、ギャップがありすぎ(笑) お見事、ホアキン!
<作品概要>
「ザ・マスター」 The Master
(2012年 アメリカ 143分)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン、アンビル・チルダース
配給:ファントム・フィルム
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